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IBMの相変化メモリと将来のメモリ階層

今回のIBMのPCM(相変化メモリ)は、記録耐性でNAND Flash(3000回)を3333倍(1000万回)上回ると同時に量産時には同等のコストというから、DRAMの半分と言われる3D-XPointよりも低いと考えられる。つまり、3D-XPointは出鼻を挫かれるだろう。

 IBM、相変化メモリでセルあたり3ビットのマルチビット記録を実現 2016.5.18
 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20160518_757977.html

メモリ部品のコスト(1Gバイトあたり)
DRAM     405円/GB
 2倍
3D-XPoint   200円/GB(推定:DRAMの半額というコメントから)
 6.6倍
IBM-PCM 3bit 30円/GB(量産時の想定:Flashと同等というコメントから)
NAND FLASH 30円/GB
 10倍
ハードディスク 3円/GB

NAND Flashは、大容量化と積層化でビット単価が2020年にもハードディスクに追いつくと言われている。おそらく、量産すれば同等のセルコストと言われる相変化メモリの方が信頼性と高速性の点でジリジリと追い上げて来るだろう。そして、最終的には性能的に劣るNANDは、このPCMに駆逐される事になるだろう。恐らく東芝のNAND事業は終わる。東芝にとって逃げ道があるとすれば、第三のスピンが発見されたMRAMに出来るだけ早く事業の軸足を移す事だろう。低消費電力で高速大容量なメインメモリの最有力になる可能性がある。

 東北大学ら、MRAMにおける“第3のスピン軌道トルク磁化反転方式”を開発
 2016.3.23
 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20160323_749624.html

将来的なメモリ積層
CPU/GPU(CPUとGPUは統合:マルチコア)
・HBMバス---MRAM(DRAM並のコストで不揮発/低消費電力/高速1ns)
PCI Express---PCMメモリ(高密度化と積層化でハードディスク並に低コスト化)

メインメモリは第三のスピンを活用したMRAMで1GHzまでならば、ノーレイテンシでアクセス可能、これは従来の10倍、相変化メモリも従来のNANDよりも遥かに速いスピードで読み書きでき、耐久性も3333倍。これらのスペックから、キャッシュメモリを省いたマイクロコアを多数並べたプロセッサとHBMバスで繋がれたMRAMとPCI-expressで繋がれた相変化メモリという構成になると予想される。この高い並列性能はAIの性能を飛躍的に向上させるだろう。どの程度かと考えると、x86チップで考えると、Pentium 32bit(310万トランジスタ)を2つ並べて64bitチップとして考えるとトランジスタ数は620万個、大体、22nmプロセスのプロセッサコアのトランジスタ数は8億個くらい(14億トランジスタの6割)これを8億÷620万で計算すると129個となる。キャッシュメモリを省くとコアの集積度は1.5倍に跳ね上がるとして計算すると、193個となる。切りのいい数字にすると192個の64bitコアが集積可能である。それらのプロセッサが1GHzで駆動し64bitのデータを必要としていると計算すると、8byte(64bit)×1GHz×192=1.536TB/sとなる。HBM2の最大転送速度は1TB/sであるため、コアの数は128個に減らすのが妥当かもしれない。つまり、HBM2を使えば64bit Coreを128個並列で駆動する事も可能という事になる。

現在の4コアで2GHz程度のプロセッサよりも、128個で1GHzのプロセッサの方が32倍のタスクをこなす事が出来るだろう。同じダイサイズのプロセッサで、そうなる。消費電力はクロック周波数が半分程度なので1/4で済むだろう。32倍の処理能力が1/4の電力で可能になるという事は1Wあたりの処理スピードは128倍という事になる。これはサーバなど24時間駆動する用途には、最適といえる性能だろう。そして、それは、ユーザーがウェブで使う転送速度も同じコストならば128倍になる事を意味する。現在、光回線があったとしても、サーバ側の力不足によってその転送速度が引き出せないという事はよくある。しかし、それが本来のスピードが出せるようになるだろう。多分、今から10年以内に、そういう時代が来るだろう。そして、ワット当たり128倍の性能は、AIの性能も飛躍的に向上させるだろうし、都市もVRになって、仮想化されるだろう。そして、データは積層PCMに格納され、メインメモリは第三のスピンのMRAMになるだろう。