SKY NOTE

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次郎法師に見るリーダーシップ

大河ドラマ、女城主「直虎」を見てリーダーシップというものを考えさせられた。昔の記録には、女性の記録は非常に乏しく、直虎に関する情報も例に漏れず、非常に乏しい。よって、この作品は、その大半が創作なのだが、自分はこのドラマを見ていて、リーダーについて考えさせられた。

 

井伊の次郎法師は2つの要素でリーダーの素質がある。それは真心と公平さである。真心は、人の心(感情)を支配できる。そして、公平さは能力を正当に評価するので理知と力を支配する。次郎法師は、人の感情と理知において、リーダとしてふさわしい素養を持っている。

第8話の「赤ちゃんはまだか」で次郎法師の公平さと真心について描かれている。自分の元許婚の直親がしのを正室に迎えて、早4年、子供が産まれないので、正室のしのは、焦っていた。次郎法師はそれを心配し、自分の直親との思い出の鼓を売ってでも、子宝に恵まれるという麝香を求めたいと、幼なじみの政次に頼む、政次は、その鼓を売る事は断ったが駿府で麝香を買い求めてくる。これを見るとわかるように、政次は高価な麝香を次郎法師の頼みで買うんですね。それもタダで、政次は次郎法師の優しさに感銘を受けたのだと思います。だから、とても高価なものでも買ってあげたいと思わせる。これが真心のリーダーシップです。人の感情を動かして高価な麝香でも買わせてしまう。恐ろしい小悪魔ぶりですが、本人に悪意はありません。ただ、真心からした事なのです。

 

この作品では、もう一つ、次郎法師の公平さが描かれています。そんなこんなで手に入れた麝香をしのに与えようとするのですが、しのは、それを疑って、流産をする薬をくれようとしていると騒ぎ立てるんですね。それには、さすがに次郎法師も呆れ果て怒るのですが、しのは、自分の孤独な苦しみを切々と語ります。それを聞いた次郎法師は、怒るのを辞めます。ここが次郎法師の公平な所です。相手の情状酌量のある主張には耳を傾ける。それがどんなに無礼な扱いをした相手であってもです。次郎法師の度量の広さが、ここに現れています。そして、直親が自分の妻の行状に呆れ果てているところへ、次郎法師は怒るのです。「なぜ、お前は一緒に悲しんでやらぬ」「なぜ、しの殿は、こんなに孤独なのだ」と、この一言で、次郎法師の優しさが、反目していたしのにも伝わるのです。次郎法師の真心は、反目している人間ですらも心を許してしまうほどに…こんなに優しい人が上に立っていたら、どんな事をしても、この人の為に働くぞとなりませんか?

 

優しくて、同時に公平な次郎法師は、リーダーとしての素質は充分です。誰もが、それに付き従う人間的な魅力に溢れています。優しさが人の心を動かして結束させ、公平さが力をもたらします。有能な人間にとって公平なリーダーほどありがたいものはありません。なぜなら、自分の能力を正当に評価し、取り立ててくれるのですから、そういうリーダーには、自ずと力のあるものが付き従います。そういう人間がいると、自然とそこに人が集まり、問題を解決する流れというか、渦が出来る。その渦の中心に次郎法師のようなリーダーがいるわけです。それは自然と生じるもので、誰もが納得する事なのです。誰もが認めるリーダー、それが次郎法師。第8話は、そういう次郎法師のリーダーとしての素質が描かれていたように思います。反目するしのですら認めるほどの、度量の広さと優しさ。みんなを納得させ巻き込む力。政次に高価な麝香を買わせてしまったりね。子に恵まれず焦るしのと直親のに出来た溝ですら、その優しさで埋めてしまう。その素質で、自然と人を結束させ、まとめてしまう力。これこそリーダーといえる。