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トランプ政権のTPP離脱、NAFTA再交渉の狙い

2017年1月20日、トランプ大統領が就任し、就任初日からTPP離脱、NAFTA再交渉、拒否されれば離脱と表明しました。そこで、トランプ政権におけるTPP離脱、NAFTA再交渉の狙いについて書いてみたい。結論から言うと、TPPNAFTAの共通項は関税です。それを見直すという事は、本気で高率の関税をかける方針であると見るべきです。

 

 丸紅経済研究所:「メキシコ自動車産業の台頭」 

 http://www.marubeni.co.jp/research/report/political_economy/global/data/USFocus03.pdf

 

アメリカの輸入自動車の約25%は、メキシコから輸入されたものです。なぜかといえば、北米自由貿易協定NAFTA(1994年〜)によって、関税ゼロで輸出できるからです。つまり、自動車メーカーはメキシコを経由すれば、関税を払わずにアメリカに輸出できるのです。しかもメキシコはアメリカに比べて人件費が安く、低コストに生産でき、しかも国境をアメリカに接している為、輸送にも有利です。どのくらい輸出しているかというと、アメリカで販売される自動車のうち輸入車は741万台(44.8%)ですが、その内190万台(輸入車全体の25.6% アメリカの自動車全体の11%)がメキシコから輸入された自動車です。実にアメリカで消費される自動車の9台に1台は、メキシコ車なのです。

 

 アメリカ 2014年

  自動車販売台数:1652万台

   内、輸入車 :741万台(全体の44.8%が輸入車

    メキシコ :190万台(輸入車全体の25.6%がメキシコ製)

 

 メキシコ 2014年

  自動車生産:322万台(生産台数世界第7位)

  輸出台数 :264万台(輸出台数世界第4位:190万台がアメリカ向け)

  米国系 3 社、日系 4 社、VW グループが主にメキシコで自動車生産

 

引用元:丸紅経済研究所:「メキシコ自動車産業の台頭」 

 http://www.marubeni.co.jp/research/report/political_economy/global/data/USFocus03.pdf

f:id:skymouse:20170122033357g:plainトランプ政権は、これを問題視しているのは明らかです。つまり、関税をかけて高コストにして、メキシコを経由するコストメリットをゼロあるいはマイナスにするのがトランプ政権の目的と見られます。特に日産がメキシコで81万台も生産しており、トヨタも2019年にメキシコで新工場を稼働する予定との事ですが、今回のTPP離脱、NAFTA再交渉で、これらは御破算にになる可能性がある。

 

アメリカの貿易赤字国をまとめたグラフ

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アメリカの対メキシコの貿易赤字は538億ドルです。日本は688億ドル、その殆どは自動車輸入による赤字です。つまり、日本やメキシコから輸入される自動車に対して関税をかけるのが今回のトランプ政権の狙いであり、日米FTA交渉においても自動車分野の関税引き上げが交渉の議題に上ってくる可能性は高いと考えられます。日本はアメリカの要求の殆どを飲む事になるでしょう。結果として、日本の自動車メーカーは国内の工場の生産縮小を強いられるのは、ほぼ確実と見て良いと考えられます。そして、将来的に輸出先を中国に向ける事になる。中国の自動車関税は25%、大気汚染が酷く、また新米ドライバーが多くて交通事故も多発しているので、将来的に求められる自動車は排気ガスのない低コストな自動運転の電気自動車になるでしょう。今は、あまり輸出規模も大きくないですが、米国に匹敵する新市場という点で見れば、中国しかない。

 

中国の自動車市場:https://www.marklines.com/ja/statistics/flash_sales/salesfig_china_2016

 自動車販売台数 2803万台

 

中国の自動車関税

 高すぎる中国の輸入車 最大の原因は関税にあらず--人民網日本語版--人民日報

  

日本メーカーはアメリカで売る車はアメリカで生産する事になるでしょう。日本は、大体、輸出規模から言うと500億ドル程度を失う事になる。

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つまり日本は最終的に5.7兆円(現在の為替114円/ドル)の市場を失う。GDPに換算して1.1%程度を、この事で失うと見られますが、他国の貿易赤字で自国の経済を成長させる時代は、トランプ政権の誕生によって終わったと見るべきでしょう。よって、日本の取るべき政策は、国内の格差を是正し、内需拡大による経済成長をするべきです。大企業の内部留保に課税すれば、日本はGDPを700兆円に出来る余地があるので、それで経済成長は可能です。

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また、エネルギーや食料においても自給政策に切り替えるべきです。日本は、毎年石油を10兆円程度かけて購入していますので、再生可能エネルギー電気自動車を普及させて石油輸入を減らせば5.7兆円分のマイナスの殆どは吸収できるはずです。地熱発電の開発、エコポイントの復活で省エネ家電を普及させて発電用の天然ガスの輸入量を減らせば、数兆円の輸入エネルギーコストの削減になります。つまり、再分配と省エネで日本は、この難局を切り抜ける事が出来る。あとは、それが出来る政権を国民が選ぶだけです。

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その政権は大企業よりの自民党ではありません。労働者側の野党連合にしか、それは出来ません。自公政権に入れると、この難局は乗り切れません。貿易赤字が膨らむ上に経済成長も出来ず、AIによって失業者の山が出来る社会が生じます。くれぐれも、トランプのネガキャンばかりをして、この深刻な事態を報道しないお馬鹿なマスコミの言う事を信じないようにお願いします。日本のヘボメディアが、アメリカ大統領を批判しても、ほとんど何の意味もありません。意味があるのは、その状況を日本がどのように対処するかという情報です。そういう有益な情報をきちんと数字をセットにして報道しないマスコミはクズです。クズの言うことを聞く必要はないと思いませんか?自分がおかしいと思うのは金の話なのに日本のメディアの報道には、数字が殆どないというのがおかしい。要するに彼らのやっている事は茶番なんです。