SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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成果主義で競争に負ける理由

人は結果が出る事しかやりたくない。しかし、そういう成果主義型の思考をしていると失敗するというのを、私の経験から書いてみたいと思います。私の義父は天才という種類の人で、当然将棋も滅茶苦茶強かったです。テレビでやっているプロ同士の対局が中断して明日に持ち越した時、次の一手を記した封じ手というのがあるんだけど、義父は、それを言い当てた。義父によると「そこにしか置く所がない」という話なのだが、将棋が全然できない自分にとってはプロのやっている事と同じ事が出来てしまうのが驚きだった。

 

さて、プロの対局も言い当ててしまう、そういう、将棋が強い義父をもちながら、私が将棋が出来ない理由は、義父と一局も対局をしなかったからである。大人になって田舎に帰って、義父と会話した時「お前は俺と一局も対局しなかったな」と言われたんだけど、「そんな100%負ける事なんてやるのは嫌だ」「それに天才と対局するのは恐いからヤダ」と答えた。そういう成果を気にして(予測して)、義父のような、いい勉強相手と対局しなかったのは、本当に勿体ない事をしたと思う。確かに義父のような天才タイプの人間と直接対決するのは、非常に恐い。天才クラスの人間と戦うというのは、「強い」を通り越して「恐い」のだ。いや、これはマジで。まず、ケタ違いに速い、あっという間に自分がやられる。その勢いを例えると、東日本大震災津波のように、勢いよく、自陣がなぎ倒される。そして、全ての選択肢が塞がれ、強い絶望感に打ちひしがれる事は、大体予測がつく。だが、もし、その恐さと戦う事が出来、我慢して戦い抜けば、義父のような強い相手と何度も対局しているうちに、私はとても将棋が巧くなった筈である。でも、私はそれを恐れて、その機会を逃したのである。

 

私のこの成果を絶対的に望む発想のルーツは、孫子の兵法にある。しかし、これは、参考にしてはいけなかった。その理由について以前ツィートしたものがあるので、それを引用すると。

 

孫子の兵法と一般的な行動理論の違いは、兵法は命の是非を前提にしているため成果について絶対的な意識で望むのに対し、一般的な行動では、それほどの絶対性は必要なく、むしろ、行動そのものを評価する事も必要だという事。

 

なぜ、行動そのものを評価する必要があるかというと、兵法の世界では、失敗は即、死を意味し、その先がありませんが、一般的な行動において人が死ぬ事はなく、先があるのです。であるので、失敗を分析し、改善する事によって、より強くなれるというメリットがあるからです。

 

死ぬわけではない戦いでは、負けても生きていられるので挑戦する事で強くなれる機会が得られるのである。私で言えば、天才の義父との対局を恐れなければ、私は将棋が強くなれる機会を得る事が出来、将棋において成長する事が出来たわけだ。ここで分かるように、成果主義型の発想は、戦争のように生き死にがかかる戦いと違って、成果が得られないと予測して挑戦しない事により、強くなる機会を失う。つまり、機会損失が大きくなるわけです。そういう発想で挑戦を避け続ける者がこの競争社会で生き残れるでしょうか?答えは、NOです。このように、成果主義というのは、成長を阻害する要素が多分にあり、競争社会において、非常に有害な思想です。機会損失が大きすぎます。実際、日本は、成果主義を導入してから殆ど、新しいものが生まれていません。恐らく、この思想のマイナス面の影響をかなり受けている。日本のようにアイデアにお金を払わない文化の国で成果主義を導入すると、まず、成果に対して賞与を与えるというプラス面は、殆ど望めず、むしろ、成果を出さなければ、減俸、降格みたいな対応をするような会社が多い中では、成果主義は非常に挑戦しない要素が強くなる。挑戦しても損をするだけで、マイナスしかない。挑戦をして失敗したら成果が出なかったと減俸、降格、挑戦して成功しても賞与は、なしでは、どっちにしても挑戦はマイナスでしかない。そうやって新しいものが何も生まれない社会になり、最後には国全体の経済が落ち込む。

 

つまり、成果主義は、非常に競争において有害な思想です。社員を成長させません。成果主義は、日本のようにアイデアに金を払わない文化の国では、挑戦にペナルティを課すだけの制度になり、有害無益この上ない。即刻やめるべき制度です。また、成果主義は変革を阻害します。挑戦を阻害するので、その成果としての変革を阻害するのです。例えば、デモに行っても無駄だ。結果が出ないという考え方をしてしまうと、変革が起きないわけです。目先の成果を気にしすぎると、どうすれば、結果をだせるかという挑戦的な発想が出来なくなる。成果主義は、そういう意味では奴隷の思想です。世の中を変えたいとか、新しいものを生み出したいというのならば、成果主義は向きません。なぜなら、この思想は挑戦にペナルティを課すからです。成果主義は、日本を競争力のない駄目な国にした思想です。日本が変わる為には、この成果主義を捨てる事から始めるべきです。