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Panasonic、従来より100倍ダイナミックレンジの広い有機薄膜CMOSセンサーを開発

Panasonicがダイナミックレンジが広い、有機薄膜CMOSイメージセンサーを開発した。

 プレスリリース 有機薄膜を用いたCMOSイメージセンサによる広ダイナミックレンジ化技術を開発

このセンサーの特徴は、その広いダイナミックレンジ(明暗差を捉える能力)にある。通常、カメラというのは暗いところに合わせれば、白飛びし、明るいところに合わせれば黒潰れをしてしまう。このセンサーは、有機薄膜を使う事で、暗いところに適した高感度センサーと、明るいところに適したセンサーを一画素に2セルまとめた事により、ダイナミックレンジ123db(従来のイメージセンサよりも100倍の明暗差に対応できる)という広いダイナミックレンジを達成した。

高感度センサ部分(暗い映像用:黒潰れに対応するセンサー:画像のメイン)
・従来比1.2倍(光の入射角:30〜40度→60度)

  • 有機薄膜は従来のCMOSセンサーに比べて薄くできるので、その分、光の入射角を広くでき、その結果、感度が20%向上し、混色のない忠実な色再現、レンズの設計の自由度が上がるという。

低感度センサ部分(明るい映像用:白潰れに対応するセンサー)

  • 明るい映像に対応するセンサー、白飛びして分からなくなってしまうところを、きちんと捉える事が出来る。
  • 1画素2セルの有機薄膜CMOSセンサのダイナミックレンジ(123db)

サンプルの画像を見ると、明暗差の多くの部分は、明るい部分にあるようだ。つまり、従来白飛びしていた部分がかなり改善されるのだろう。このセンサ技術が12〜16bit階調(4096〜65536)に対応する事で、物体の凹凸を正確にスキャンできるだろう。つまり、3Dカメラのセンサに適しているように思える。特にプレスリリースの「有機薄膜を自由に選択することで、波長、感度など、光を電気信号に変換する時の特性を自由に設定することが可能」この部分について3Dカメラとしての素養が高いと感じた。というのは、2015年12月に発表されたMITの従来よりも1000倍高精度な3Dスキャナーというのは、特定の波長の光に限定する事で、物体の凹凸を高精度に捉えるというものだったからだ。

 MIT、既存の3Dスキャナが1000倍高精度になる技術を開発
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20151205/1449243092

こういう3Dセンサに必要なのは、ダイナミックレンジの広さなのだ。このセンサを複数使う事で、正確な立体像が認識できるようになると、車の自動運転や3Dカメラなどに応用が可能になる。単にキレイな写真が撮れるという性能に留まらない性能を持つ事になる。そして、このセンサーの性能を十分に発揮する為には、10bit以上の階調を記録できるDeepColor画像フォーマットである。スマホは十分にキレイな画像を撮れるようになったが、新しい画像フォーマットでDeepColorや3D性能が次のトレンドになるだろう。この有機薄膜センサーは、そういう次世代のセンサーとして有望だと思う。