SamsungがHBM2の量産を開始した。今回量産が始まるのは積層メモリで1スタック（1層）当たり4Gbitの製品である。HBM2規格では、1モジュール当たり8層重ねる事が出来、4Gbitのメモリを8層重ねて1モジュール4Gbyteとなり、これを最大4モジュール同時に接続する事で、1スタック4Gbitならば、1モジュールが4Gbyteとなり、それを4モジュール接続する事で16GByteとなる。そして、1モジュール当たり256GB/sの転送速度をもつので、これを4つ同時接続する事で1TB/sのデータ転送速度になる｡
Samsung，次世代GPU用DRAM「HBM2」の生産開始を発表。
メモリ容量は1スタックで4GB，容量8GBも年内に
http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20160119070/
Samsung、帯域が2倍になった第2世代HBMの量産を開始
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20160119_739745.html
HBM2
- HBM2はHBM1の後継規格で、メモリを積層し、沢山のピン数で並列にデータを転送する事で従来のメモリよりも高速、低消費電力、省スペースという特徴を備える次世代メモリ規格、従来のGDDR5メモリよりも7倍高速で、転送速度は最大1TB/sであり、極めて高速かつ低消費電力、省スペースというもの。なお、このメモリはプロセッサに直付けされる為、従来のメモリのように増設は出来ない｡
この高速メモリは、当初は、企業や研究所向けに作られるが、年内に量産すると言われている8GB版は、一般のビデオカードに搭載される製品となって出てくるだろう｡Samsungは、この規格で初めての量産なので比較的小規模の量産から始めて問題がなければ一気に量産してくるだろう｡なぜなら、このメモリを搭載した製品は、大幅に性能がアップするからだ｡その上、低消費電力、省スペースなのでスマホなどのモバイル機器にも向いている。
性能がアップするとどうなるかというと、考えられるのがディープラーニングなどのAI分野である。iPhoneのSiriの性能がよくなったり、将来的には自動運転車に搭載されるだろう。AIの性能がよくなるのはいい事ばかりではない。例えば、Siriのように人間の言語を理解する能力が高まれば、簡単な受付などはAIに任せればいい事になり、人間がいらなくなるのだ。機械工業化の時代、工業化とともに民主主義が進歩したおかげで、機械の進歩を人々の利益の追求に使う事が出来た｡しかし、現在、民主主義を退化させようとしている流れが生まれている。これとAIが結びつくと、人間はお払い箱になる。
野村総研：日本の労働人口の49％が人工知能やロボット等で代替可能に
2015.12.2
https://www.nri.com/jp/news/2015/151202_1.aspx
人工知能やロボット等による代替可能性が高い労働人口の割合
AIによって49％もの仕事がなくなるという｡ただ、これは、悪い事だけではない。それを良くするも悪くするのも、民主主義を進化させる事にかかっている｡労働者の権利をきちんと主張できるように市民が政治的なイニシアティブをとれば、このAIは、過重労働を減らせる。なにせ半分の仕事がなくなるのならば、その分、労働時間を減らして、単位時間当たりの賃金を増やしても、生産性は変わらない。それに高齢化によって労働人口が減る事も合わせれば、むしろ治安やテロのリスクのある移民などよりもAIを使った方がいいだろう。問題なのは、そういうメリットがある一方で、資本の論理だけが暴走する自由貿易協定などで、そういう労働者の権利（規制）が蔑ろにされると、99％の奴隷と1％の資本家という関係になってしまう｡働く人と、それを使う人の関係を50:50にするためには、きちんと選挙に行って、そういう労働者の立場を代弁する政党に票を入れないといけないのだ。HBM2によってAIの性能が大幅に上がる事に合わせて、そういう民主主義の話をしなければいけないとは因果な事だが、重要な事なので書いてみた｡
よく、日本の政治家は国民の方を向いていないからという話があるが、それは逆である｡国民が政治に関心がなく投票に行かないから、相対的に献金を出す大企業の組織票がモノを言うのである｡投票率50％台では、組織票によって、政治家が決まってしまう。組織票で当選した議員は、大企業の言いなりになる｡それは、ある意味当たり前、みんなが投票しないから、政治が悪くなっている｡そこを自覚して、今年の参院選は最低でも投票率70％台にしないと、AIが進化した途端にあなたはリストラされる可能性が49％ですよという話なのだ｡
