SKY NOTE

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奴隷根性が卑しい理由

奴隷というのは虐げられた人々である。でも、だからといって、それを美化してはいけない。なぜなら、美化すれば、その奴隷というものが正しいものだと認めてしまうからだ。そして、認めた先には、他人を奴隷にしようとする心理が自然に働く、自分が奴隷になるのならば、それはそれで自己責任だが、他人を奴隷にするのはいただけない。

阪神大震災が起きて、5年がたった時、家などを失った人達はまだまだ苦しい日々が続いていた。5年程度で家を失うという大きな問題を抱えたまま、生活再建など出来るわけがないのだ。しかし、そんな人々に「甘えるな」という信じられない言葉が浴びせかけられたという。

それは、家を失った厳しい状況に対して、あまりにも無慈悲な言葉だった。私は、これこそが奴隷根性の卑しいところなのだと思っている。つまり、彼らの論理では、どんなに厳しい状況でも耐え抜く事が美徳であり、その美意識から外れた人間は、甘えているのであって、美しくないので否定していいと考えているのだ。

私に言わせると、本当に苦しい立場に立った事のない人間の身勝手な理屈にしか聞こえないのだが、そういう身勝手さというのは、どこから来るかというと、奴隷根性なのだ。奴隷として耐えるのが美徳だと思っているから、そう考えてしまう。奴隷ではなく普通の人間ならば、苦しい人に手を差し伸べるのが、普通である。だが奴隷根性に犯された人間は、そういう考え方が出来ない。だから、卑しいのだ。不幸の我慢比べをし始めて、他人を苦しめる。それも自分が苦しんでもいないのに、他人に無条件に苦難に耐えろと言い出す。そう、この他人に無条件で苦難を要求する。この発想こそ、奴隷の常識なのだ。だが、それは奴隷の常識であって、常人の常識ではない。苦しいものは救うというのが普通なのだ。奴隷根性というのは、相互扶助の精神が忍耐に置き換えられて破綻している人間なのだ。だから、人を助けない冷たい社会になる。

だから卑しいのだ。私がそのことを理解したのは、祖母の姿勢だった。とにかく忍耐で物事を説明してしまい、その忍耐が必要な異常な状態を否定する方向に発想が向かわない。私は、そういう祖母に最後に言った事は、のどが渇いてうめき声を出していた祖母に向かい水を持っていき「お前はどうしてこの家を出たのだ」と聞かれた。「あなたの正義は偽物、苦しい人を助けるのが正義、あなたは助けなかった」その一言を言った後、祖母は私に差し出された水差しを見ながら、「そうか、お前は一人だったんだな」と一言いっただけで、謝罪の言葉はなかった。

奴隷根性の人は、このように普通の感覚がマヒしているので、他人を助けないのだ。とにかく物事を安易に忍耐に置き換えて説明してしまうので、使役する側にとってはとても都合がいい考え方をしている。この発想の人が度し難いのは使役する人間がいなくなっても、心の中にご主人様がいて、それに縛られ続ける。そういう心の鎖に発想が縛られている事だ。その心の鎖とは、耐えないと罰を与える使役者のイメージを彼らは反射的に想起し、恐怖するがゆえにそういう発想をするのだ。だが、使役者がいないのだから、奴隷的な忍耐が必要ないのに、人を無用に我慢させる。そして、虐待を放置する。

本来は、虐待するものを批判するのが筋なのだが、こういう人はそれが出来ない。祖母は、家の中で最高の権威を持っていたのにも関わらず、その権力を正しい方向に使わず、もっぱら苦しんでいるものに我慢しろと命令するだけに使ってしまった。だからこそ、私は「あなたの正義は偽物」と言い切ったのだ。

私は「苦しんでいる人を救ってこそ正義」だと思う。それがまともな人間の発想だ。いみじくも、祖母への最後の言葉は、そういう普通の発想を伝える事だった。最後まで奴隷のままで死んでいった祖母の人生は貧しいものだったと私は思う。奴隷でなくてもいい立場には、もう何十年も前になっていたのに、考え方が奴隷のままで生きてしまった。そして、他人に我慢を強いる事で無用な苦しみを人に与えて死んでいった。思えば哀れな人である。

私は、そういう人間になって、人を苦しめてはいけないと思う。だから、私は奴隷根性は卑しいという。なぜなら、それは人に無用の忍耐を要求し、苦しめるから。心の中のご主人様が実体のないものだと気付いて欲しい。安倍政権によって日本国憲法が壊される前にそれに気付かないと、再び、本当のご主人様を生み出してしまい、哀れな祖母のような人を生み出した一億総奴隷社会に戻ってしまう。

奴隷根性から抜け出す方法は、自分が怒っている事は、大抵、それに恐れているという事を自覚してください。そして、その恐れているものの実態を把握してください。恐らく、その実体はありません。それが根拠のない実体のないものだとイメージして、無視するイメージをし、そして、苦しんでいる人を助けるのが普通であり、忍耐で物事を説明しない訓練をしてください。それを繰り返す事で、奴隷根性の不幸の呪縛から逃れる事が出来ます。

あるいは、恐れている自分の実体は、自分の子供の時の姿かもしれません。もし、子供の自分が怖がって泣いていたら、大人の自分がそれをなだめ、励まし、勇気づけ、恐れる必要はもうないのだと教えてあげてください。そうする事で、子供の心は満足して、恐怖のイメージが消える筈です。