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産総研:1枚に10TB記録できる可能性のある光記録材料を開発

産総研は、光ディスク1枚に10TB(テラバイト)記録できる可能性のある光記録材料を開発した。

 

 産総研:高記録容量光ディスクを目指した高速光記録材料を開発

 http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2016/nr20161130/nr20161130.html#d

 

 PCWatch:産総研、1枚の光ディスクにBD 400枚相当10TB記録実現の可能性

 http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1032766.html

 

主な特徴

1.大容量 従来の100倍(100GB → 10TB)

 25GBの記録層を最大400層記録することにより1枚に10TB可能な材料技術

2.高速 従来の3.5倍(30Mbps → 100Mbps)

 従来の3倍高速な書き込み速度

3.長期保存 → 低消費電力 → 二酸化炭素排出量削減

 長期保存記録に用いる事で消費電力の削減

 

産総研ダイキン工業が共同で開発した光記録材料で、多段階多光子吸収ホログラム技術を用いて、従来の3倍の記録速度と100倍の大容量である10TBの記録できる可能性のある技術を開発した。

 

多段階多光子吸収(多段階多光子吸収の一種:2光子吸収)

2光子吸収過程 - Wikipedia

多段階多光子吸収とは、分子に二つ以上の光子が吸収され、高いエネルギーになる事。通常は起きにくい現象だが、レーザー光を収束させるなどして光子密度を上げると、高確率で発生させる事が出来る。この原理を用いて光記録を行う。

 

従来の記録材料では、レーザーパルスを100ナノ秒程度照射しなければ記録できなかったものが、新材料では8ナノ秒で記録できると言う。

大幅な多層化が可能な光ディスク材料における、今回開発した材料と従来の材料での記録時間の違いを示した図

なぜ、それが出来るようになったかと言うと、ホログラムを記録したディスク面にレーザー(Blu-rayと同じ波長405nm)を照射すると、僅かな照射でホログラムが乱され、大きく反射率が落ちると言う。これにより、実用的なシグナルノイズ比(15db)を達成したとの事。

f:id:skymouse:20161203161214p:plain

このようにして記録された記録ビットの深さは2.7マイクロメートルとなり、100マイクロメートル厚の記録層であれば、20層記録できると言う。平面方向には、0.7マイクロメートルであり、現状ではDVD程度の密度しかないが、Blu-rayレベルまで記録密度が上げられれば、記録ビットが平面方向、深さ共に小さくなり、100マイクロメートル(0.1mm)の記録層に50層記録(1.25TB)できるとの事。

 

 単位 マイクロメートル:1/1000mm

 

さらに、今回開発した記録材料の透過特性から、800マイクロメートル厚(0.8mm)の記録層が可能と考えられており、実現できれば、400層のBlu-rayディスク(25GB×400層=10TB)の記録が可能との事。今後は高密度記録と超多層化の実証とともに、無機材料との複合化による耐久性向上も含めた、ディスクとしての実用耐久性の評価、光源の小型化、ドライブ開発など、他企業の参画も募り実用化に向けた研究開発を進めるとの事。

 

まとめ

この類いの高密度光記録ディスクは、良く出てくるんだけど、実用化しない事が多い。ただ、今回の技術は、既存のBlu-rayと似たような技術を使っているので、案外、Blu-rayの次世代規格として登場する可能性がある。4Kや8K、そして、3D映像など、大容量の映像規格が続けざまに出てきているので、データは沢山記録できた方がいい。ただ、このディスク10TB記録できるのに、書き込みが100Mbps(12.5Mbyte)と遅いのは困るな。1GB記録するのに80秒、10TB全部記録するのに800000秒(9.25日位かかる)、恐らく追記する事になるんだと思う。そういう意味では、Blu-rayディスク400枚が1つのディスクになって、普通のBlu-rayよりも3倍書き込みが速いと言う感じではないかと思う。H.265でも8K映像は100〜200Mbpsとギリギリで書き込み速度が足りなくなる。

 

 8Kスーパーハイビジョンの 伝送技術 P.6

 https://www.nhk.or.jp/strl/publica/rd/rd152/PDF/P56-65.pdf

 

これに3D情報を加えると完全に足りない。よって、この技術は書き込みスピードが、あと2倍くらいは上がって欲しい。もしかしたら、その間に動画圧縮技術が進歩して、このスペックのままでもいいかもしれないが、8Kだと、あと2倍は性能が欲しい。この光ディスク技術の書き込み速度ならば4Kの3D動画がリアルタイム記録の上限。でも、光ファイバーでも安い回線はVDSL接続で最大30Mbps程度なので、そこからすると、100〜200Mbpsを必要とする8Kは普及しそうにない。H.265で4K+3D情報+ハイレゾ音声が、実用的なビットレートでの最高画質といえる。そう考えると、実用面では8Kは非現実的と言う事になり、4K+3Dがリアルタイム記録できるメディア技術と考えれば、このディスクの記録速度で充分と言えなくもない。