SKY NOTE

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2016年 東京都知事選 鳥越氏の敗退、小池氏の躍進の理由

東京都知事選の世論について分析してみる。自分は野党4党の統一候補である鳥越氏を支持していたのだが、なぜ、鳥越氏が小池氏に2倍もの差をつけられて敗退したのかを考えてみる。

野党4党の支持基盤(得票数にして半数程度)が鳥越氏が充分固める事が出来れば、自民党候補が分裂していたので、この選挙、野党4党の統一候補が十分勝っていた選挙戦であった。しかし、選挙のフタを開けてみると、小池氏にダブルスコアで鳥越氏が負けていました。

資料:http://sokuho.h28tochijisen.metro.tokyo.jp/

   平成28年(2016) 東京都知事選挙 投票結果より
   http://sokuho.h28tochijisen.metro.tokyo.jp/h28chi_tou_2200.html

投票内容
 有権者の総数 1108万3304人
 投票者数    662万0407人(男:316万0220人 / 女:346万0182人)
 投票率     59.73%

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前回の都知事選よりも投票率が上がり、女性の得票数が男性よりも多いと言う珍しい現象が起きている。この事から、女性票が同じ女性である小池氏に傾いたという目線で見る事も可能かもしれない。

1.目線があっていなかった鳥越氏
鳥越氏がなぜ負けたのかという要素としては、最初の情勢調査では、鳥越氏は、その知名度により、トップであったが、その後ジリジリと下がっていったという。

 

以下はJX通信社の米重氏のツイートより抜粋(情勢調査)

序盤に鳥越氏が、その知名度によってトップだが、その後、ジリジリ下がっていくのが分かる。

逆に言えば、序盤に鳥越氏が上手に主張すれば、その知名度により勝てる可能性があった。

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これは、序盤の鳥越氏の演説に致命的な問題があったと言える。それは「1に平和、2に憲法、3に脱原発。東京都はまず非核都市宣言をやりたい」という演説だった。これは完全に失敗だったと思う。都民にとって都政をなんとかして欲しいと思っているのに、国政の話題を一番に持ってきてしまったのは、首都東京の選挙なので、それ自体は間違いではないにせよ。極めてマズい対応だった。有権者との目線のズレは、選挙には致命的だ。というのは、2005年の民主党が大敗した時の岡田代表のCMにそれを見る事が出来る。この時のCM映像では、岡田代表が立ち去って有権者の目線をすり抜ける所があった。このCMは、有権者を無視しているのかと批判された。この時の選挙は大敗。この問題のコマーシャルを見て、自分は、選挙では、相手と目線があっていないと致命的な結果を招くと思った。それと同じ事を鳥越氏が開口一番にやってしまったので「かなりまずい」と思った。テレビの仕事をしていたのに、「相手と目線を合わせる」という基本的な事が分かっていないのか…と自分の鳥越氏支持の目算のズレに動揺した。

 

2.文春報道による女性票の離反
選挙期間は短いので、鳥越氏は、なるべく宇都宮氏を支持した人達を取り込む為、宇都宮氏の政策を引き継ぐと明確に主張するべきだったし、それが妥当と思えたが、ここに文春が鳥越氏の女性スキャンダルを報じた。数十年前のものであり、しかも、被害者の証言ではなくて、被害者とされる女性の夫のコメントによるものと言う間接的なもので、記事も断言を避けている事から、明確な内容とは言えない記事であった。そういう記事を文春は、選挙期間中に流した。選挙期間中のスキャンダル報道と言うのも異例だが、それによって、協力要請を受けていた宇都宮氏が、明確に問題について都民に語る事を条件として要請し、これを鳥越氏が拒否した為、宇都宮氏の応援演説を受けられなくなった。結果として、この文春の記事によって、宇都宮氏の選挙協力はなくなり、鳥越氏は孤軍奮闘する事になった。また、女性スキャンダルについて明確な主張を出来なかった為、鳥越氏は、この時点で女性票の離反を招いたと見られる。

 

3.小池氏に有利な印象操作された報道(特にフジテレビ)

北朝鮮並におかしくなってきた日本のテレビ局
今回の都知事選の選挙報道は異常であった。というのは、主要3候補の政策のみを紹介し、他の候補の政策を全く報道しないと言う異常事態が起きた事だ。これは放送法4条に明確に違反する行為である。しかも特定候補(特に小池氏)の政策報道のみに明るい曲のBGMをつけて演出まですると言う、やってはならない印象操作までやった。(特にフジテレビ)明るい音楽を入れると、その政策がとても良い政策のように条件反射的に感じてしまう印象操作が可能なのだ。この演出がされたのは、待機児童問題だ。小池氏の待機児童対策は自民党と同じで規制緩和による詰め込み保育に過ぎず、保育士の待遇改善も、実質的な予算処置がない内容で、これでは保育士の増員は出来ず、その上、廃校を利用すると言った非常にチープで人員も増員できない杜撰なものなのに、そのようなものを問題点を指摘するではなく、明るいBGMで紹介する事で、まるでとても節約型の素晴らしく効率的な政策のように明るく報道していた。(それも浮き足立った口調のコメント付きで、どことなく口調が独特な北朝鮮のアナウンサー的だった:口調も、嬉しそうなウキウキしたような感じにすると、勢いのあるよい物のように印象を操作できる)これは、かなり酷いと思った。このように小池氏にあからさまに有利な内容となっていた。鳥越氏の大型公共工事から予算を組み替えて、待機児童対策に予算を回して、保育士の待遇改選をし、同時に施設も拡充すると言う。小池氏よりも遥かに真っ当な待機児童対策は、殆ど報道されず、有権者は、明るいBGMや明るいコメント(それも、わざとらしいウキウキ口調で)で長々と編集(印象操作)された小池氏の政策が素晴らしいと感じ、他方、鳥越氏の政策については、事務的な口調で短く紹介されるのみに留まった。(この事務的な口調がオーソドックスなものであり、報道に感情を挟んで印象を特定方向に歪めてはいけないのだ)このような格差(偏向)のある選挙報道は、三流の報道であり、また、その三流の報道(偏向報道)に有権者は騙されてはいけなかったのであるが、実際にはまんまと印象操作されたレールの上を有権者は歩いて、自分達にとってメリットの薄いチープな政策を提示する小池氏を素晴らしいと勘違いし投票してしまった。

 

4.どのような人が操作されたのか?
選挙結果から、どのような人達がテレビや報道の印象操作に誘導されたのかという事で、政党支持層ごとの投票結果を見ると面白い事が見える。

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4-1 無党派層(そもそも政治に興味がなく、それ故、報道を鵜呑みにする傾向がある)
7割方騙されてしまう。
注目したのは、無党派層が小池氏に51.2%も支持している点。つまり、こういう印象操作に無党派層は弱い事が分かる。無党派層は、若年層に多い事から、ネットは使えるけれども、政治の事が分からず、テレビの言いなりになっている様子がよくわかる。投票比率も、メディアの露出度に比例している感がある。つまり、無党派層はネットが使えるが、政治については疎い知識弱者であり、知らないのでテレビや雑誌などを鵜呑みにする傾向がある。彼らはネットは使えても政治に興味がないので、政治情報にアクセスもしない。よって、知識弱者となり、報道を鵜呑みにする。つまり、この層にアプローチする為には、興味のない状態をクリアしないとダメなのだ。その点で、政治をコミックや風刺漫画で面白おかしく説明したり、図解付きの分かり易い解説が必要になる。

4-2 民進党支持層(より賢明になっているが、それでも印象操作に5割程度が影響される)
民進党支持層も自民党と同じような政策を掲げている小池氏に39.3%も投票しているので、報道の印象操作で騙される傾向が強い。ただし、鳥越氏にも49.1%支持しているので、この内容は、無党派層と多少違う。これは、若年層が中心となっている無党派層に比べ、若干歳を取って経験を積み重ね、多少は疑える様になった中年から上の層が民進党支持層と考える事が出来る。しかし、それでも、充分な内容の情報が報道されない上に印象操作をされてしまっているので、あっさり騙されてしまう。この層も政治には興味がなく、知識がないので、ネットが使えても、半分近くが騙されてしまう。

4-3 自民支持層
自民支持層は、高齢者に多いと見られる。情報はもっぱら新聞とテレビである。ネットが使えないから情報にアクセスできず、正確な情報を持っていない。だから、印象操作された内容に忠実に動く、その傾向は、無党派層と同じくらいであり、無党派層が印象誘導された小池氏に51.2%であるのに対し、自民党支持層は52.3%が支持していると言う類似ぶりである。無党派層と違うのは、鳥越氏に対する支持が3.6%と極端に低く、この点から、無党派の知識弱者に右翼思想を組み入れると自民党支持者という形態がよくわかる。無党派は経験不足による知識弱者だが、自民党支持層は、ネットが使えない事による知識弱者である。同じ知識弱者であるため、テレビや新聞などの旧メディアの印象操作を鵜呑みにしてしまう傾向が強い。

4-4 公明支持層
公明支持層は、創価学会の指示する増田候補に71.3%投票しており、創価学会の方針に7割が従い、23.4%が小池氏に投票、5.3%が鳥越氏と、極めて強力な組織票と言える。

 

まとめ

<若者>

この事から見えるのは、無党派の若者はネットは使えるけれども、政治に興味がないので、知識がなく、疑う事が出来ない。その結果、テレビや新聞を鵜呑みにして投票する傾向が強い。この層へのアプローチは、興味のない状態をクリアしないといけないのでマンガや図解による興味を抱かせる内容、経験不足をカバーする情報が必要と見られる。

<中年>

中年でも適切な情報がなければ、テレビや新聞を鵜呑みにしてしまう傾向が強い。この層も若者よりも若干賢くなっているが、政治に興味がない事は同じなので、簡単に騙される。実際、最も、自分たちを助けてくれる政策を掲げていた鳥越氏の政策を知る事も、理解する事もできず、半分程度が自分達を全然助けてくれない自民党系の候補に入れてしまっている。この層へのアプローチは、ネットは使えるが、目が疲れてしまうので紙媒体やテレビを利用している可能性が高い。それらの問題を解決したアプローチが必要である。

<老人>

老人は、ネット情報にアクセスできないために無党派層と同様に知識弱者となっている。その結果、テレビ報道を鵜呑みにしてしまう。この層へのアクセスは口コミであるが、ネットによるアプローチは、かなり難しくなると考えられる為、ネットで拡散された情報をいかに口コミしやすく加工する事が重要と考えられる。なるべく1ページにコンパクトにまとめた図解いりの分かり易い要点をまとめたテキストをプリントして相手に配りやすくしたり、チラシにQRコードが入っていてスマホをかざすと、より詳しい情報にアクセスできるなど、とにかく口コミが広がるような仕掛けが必要になる。

 

今回の選挙で分かったのは、鳥越氏は、序盤の目線の遭ってない演説でつまずいた上に、文春の女性スキャンダル報道によって女性票を失ったと同時に、それが元で宇都宮氏の選挙協力も失った。それを主導した報道による印象操作が色濃く残る選挙であった。鳥越氏の姿勢は、言っている事は正しかったものの、それらは抽象的で、明瞭ではなく、的もズレていた為、有権者に対して間違ったアプローチをしていたのは否めず、彼自身にも敗北の原因はあるものの、それに輪をかけて、印象操作された報道による妨害も重なった事から、本来は勝てる選挙を負けたという印象が強い。野党支持層をきちんとまとめていれば、票は50%近く獲得できて自民党候補が分裂していたので、勝てたはずなのに、彼が獲得できたのは、たったの20%、実に本来得られる50パーセントの半分以上(60%;全体の30%)の票を取りこぼしてしまっているのだ。この点において野党連合が今回失敗した理由は、人選のミスと、その後の偏向報道による印象操作によるものだったと自分は結論づける。また、テレビ報道の印象操作に弱い日本の有権者の姿が明るみになった選挙でもあった。人々が一致団結できるようにするには、政党による不明瞭な候補者選定プロセスではなく、市民も加えた開かれた候補者選定プロセスによって公明正大に選ばれた候補によらねばならず、また、偏向報道に負けない情報発信の仕組みも並行して必要だと痛感した選挙であった。