SKY NOTE

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グローバリゼーションの終焉

世の中がグローバルと言われている中、グローバリゼーションが終焉について書いてみたい。グローバリゼーションとは20世紀の概念で21世紀は、インターネットとローカリゼーションの社会になる。自分は「ネットローカリゼーション」と名付けてみた。グローバリゼーションは、人やモノの移動を自由化する事で社会を発展させるという経済モデルであったが弊害も目立っている。例えば、イギリスのEU離脱などは、その最たるものである。人口6410万人の国に毎年30万人もの大量の移民が来てイギリスの社会システムを疲弊させた結果、イギリス人はEUにNOといった。つまり、イギリス人は「モノの移動はオッケーだけど、人の移動は勘弁してくれ」と言ってる。

そこで、人の移動、モノの移動の観点から、なぜグローバリゼーションがなぜ終焉を迎えているのか解説していきたい。

1.人の移動
政情不安や貧困から逃れたい一心できた移民などが自国に流入すると、その国で第2市民階級が生まれる。教育も技能も十分でない彼らは、その国の重荷になる。財政負担や社会インフラを疲弊させたり、文化の衝突、テロのリスク、貧困、犯罪の増加など、様々な問題の温床になり、当然、それを背負う国民に不満が募る。これがイギリスが、EUを否定した最大の要因と言える。グローバリゼーションは、この問題を悪化させる事があっても改善する事はない。要するに節度を超えた自由は、逆に、その自由にかかるコストを増大させ、そのコストを支払う市民に重荷を背負わせる事になる。つまり、グローバリゼーションにおける人の移動の自由化は、社会保障コストの増大要因になり、それに限度が設定されない為、継続が絶望的なまでに困難となる。このままだといずれ破綻する。そして、イギリスのEU離脱という形で既に破綻が始まっている。

2.モノの移動
モノの移動で、その最たるものは、石油である。石油は、重要なエネルギー源だ。しかし、その石油の時代も終わりを迎えようとしていると言ったら、現時点では、誰も信じないであろう。多くの国は、石油を自由に買いたいがためにグローバリゼーションを肯定していると言っても過言ではない。しかしながら、その石油が重要なエネルギー源でなくなったら、グローバリゼーションの半分くらいは意味を失う。どこの国でも石油の40%くらいは自動車が使っている。しかし、それが電気自動車で動く時代が目前に迫っている。そして、その電気も次世代のペロブスカイト太陽電池で低コストで供給される段階が目前まで近づいている。ペロブスカイト太陽電池は、非常に低コストに電力を発電できる太陽電池で、従来の1/3程度のコストで発電できると言われている。これは石油火力発電(7円/kWh)と同等のコストである。実用化は、現在の開発状況だと、あと1〜2年で達成できる段階まで来ている。つまり、石油に代わるエネルギーは、ペロブスカイト太陽電池による低コストな電気である。その電気は、太陽の光なので自分の国で作れてしまう為、石油の40パーセントは、そこで意味を失う。つまり、電気自動車とペロブスカイト太陽電池の普及が、今後20年以内に、石油の意味を半減させてしまう。
もう半分残っている石油の意味も、省エネ技術と都市の電子化で消滅する。LEDや断熱窓の普及、都市の電子化である。どこの国も照明に電気エネルギーの10〜20%を消費し、エアコンに全電力の25パーセント程度は使っている。LEDによって、照明の消費電力は1/3になり、断熱窓によってエアコンは30%エネルギーがカットされる。

LED  :10〜20%→3%〜7%
エアコン:25%→18%(断熱窓)
合計  :35〜45%→21%〜25%

省エネ技術の進歩により、再生可能エネルギーでエネルギーの殆どが賄える社会が到来する。そうなると、グローバルに石油を調達する意味は、ほぼなくなる。そして、極め付けは都市の電子化だ。都市の電力消費は大きいがこれが電子化される事で大幅にエネルギーを削減できる。その一端はAmazonを見ればわかる。巨大なショッピングモールに匹敵するものが、電子化される事で、安くて便利になっている。このショッピングモールが動くのに必要なのは、商品を配送するトラックのエネルギー源と、サーバを動かす電気だ。店舗でディスプレイする照明やエアコンは必要ない。その分、電力消費が削減できる。実際に触ってみないと分からない、大きさも色もわかりにくいと思うかもしれないが、VR技術が、そういうものを補うようになる。人々は店舗で物を買うのは、生鮮食料品に限られるようになってくるだろう。

石油以外のモノの移動のグローバリゼーションで問題になるのは、自動車や機械である。これらのものは、単価が高い。しかしながら、構成部品の中で重要になってくるのは、情報になってきている。電気自動車であれば自動運転ソフトである。携帯電話やPCも、重要なのはOSである。そして、貿易摩擦の観点から言って、グローバル企業は、その国の消費物は、その国で生産するというスタンスをとっている。付加価値を生み出す重要なコア技術は、ソフトウェアなので、これは、インターネットがあれば事足りる。グローバリゼーションは必要ないのだ。

また、製品の材料となるプラスチックもオーランチオキトリウムなどの藻から作られる石油で代替できる可能性が出てきている。研究中であるが、現在は、低コストで油を抽出する方法に移っている。今後10年以内に実用化されると言われている。この藻の生産は、どこの国でも可能であり、その国の有機廃棄物から生成できる。つまり、バイオ油田である。これがプラスチックの需要を賄う事が出来るようになれば、石油はもう殆どいらなくなる。そして、その石油から作られる様々な商品も、そのバイオ石油から作られるようになるので、大抵は自国生産である。重要なのは、それを生産する為に必要な設計データのみであり、それはインターネットがあればいい事で、弊害のあるグローバリゼーションは必要ない。それをAIによる製造機械が生産する時代になる。物品の多くが自国で生産できるので、グローバル経済など重要でなくなる。必要なのはインターネットによる情報の共有の自由だけだ。

つまり、人の移動は、社会システムの疲弊をもたらし、弊害が大きすぎてダメ、モノの移動はモノの情報化でインターネットで代用でき、エネルギーは、再生可能エネルギーや省エネ技術で代替され、プラスチックやポリマーは藻によるバイオ油田で代替される為、重要でなくなる。食料は大抵の国で自給できているため、必要なモノだけを輸出入すればいいと言う事になると、グローバル経済が重要と言う時代は終わりに近いと言える。つまり、もはやグローバル経済と言うのは、技術の進歩や、その非現実性から終わりを迎えているのである。グローバルユートピアは、壮大な夢想だったのである。