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東北大学、0.5nsで書き換え可能な不揮発メモリを動作実証

東北大学電気通信研究所の大野英男教授、深見俊輔准教授らが0.5nsでデータを書き換え可能な不揮発磁気メモリ素子の動作実証に成功したと発表

 

 0.5nsで書き換え可能な不揮発性メモリの動作実証 (1/2)
 http://eetimes.jp/ee/articles/1606/20/news034.html

 

不揮発、低消費電力、高速化を同時に達成したメモリ素子
従来のMRAMは、超高速で磁化を反転させるために、書き換え時間を短くするほど、大きな電流が必要になる上に回路上の制約もあって、30〜100MHz駆動が限界であった。しかし、今回、実証された新しいメモリ素子は、ギガヘルツクラスで駆動するSRAM並のスピードでありながら、超低消費電力であるという。消費電力が低いと高密度化しても熱の問題が生じにくいので、高集積化(大容量化)しやすい。書き換え時間が0.5nsなので2GHz駆動という事になり、これは、現在のプロセッサとほぼ同じクロック周波数であり、SRAMを置き換え、同時に不揮発である事から、大幅な低消費電力化が可能となる。(不揮発化により従来よりもメモリの電力消費を1/100に出来る事が示されている)今までのプロセッサーは、使わない時でも電力を消費していたが、このメモリ素子を使えば、使わない時は完全に電力を消しておける。つまり、低負荷時には、殆ど電力を消費しない状態になる。加えてこのメモリ素子は動作時の消費電力も低いと言う。

 

新しいメモリ素子の方式
この新しいメモリ素子の駆動方式は2016年3月に発表された。新しい磁気スピン駆動を用いたもので、従来のスピン移行トルクではなく、スピン軌道トルクによって磁化反転を誘起すると言う。磁化反転に定常的な外部磁場や比較的大きな電流も必要ないという。

 

 スピン軌道トルクを用いた第三の新方式、動作を実証

 http://eetimes.jp/ee/articles/1603/23/news032.html

 

スピン軌道トルクによる磁化反転

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新しいメモリ素子の構造

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今回開発した素子は実用化が迫る2端子構造とは異なる3端子構造で、情報の書き換えにスピン軌道トルク磁化反転、いわゆる第三のスピンを活用したメモリ素子である。その構造は、3端子型で書き込みと読み込みで電流系統が異なる事で、大きな動作マージンが得られ、これによってギガヘルツ級の超高速動作が可能になったと言う。

 

 読み込みと書き込みの電流系統を変える事で動作マージンを確保

  

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 従来のものに比べて高速駆動時の動作マージンが確保されている事が分かる。

 

まとめ
このメモリは、従来30〜100MHz駆動しか出来なかったMRAMを一気に2000MHzと20倍に高速化する上に、不揮発で書き換えに必要な電力が少ないと言う所がポイントである。これだけ高速だと、まず、SRAMがいらない。2GHzだと、光の速度でも15cmしか進めない時間であり、往復を含めると7.5cm程度しかない。回路の中の電流はこれよりも遅いだろうから、最高の性能を実現する為には、実際にはもっと短い配線が必要になる。そうなると、当然TSV接続でプロセッサーと積層する事になる。プロセッサーも2GHz駆動出来るので遅延はゼロ、故にキャッシュ機構を省く事が出来る。そうなるとコンパクトでシンプルなプロセッサーコアを沢山並べて、並列バスで繋ぐ事になる。プロセッサはキャッシュや投機命令などが省かれると、コアは、かなりシンプルになり小さくなる。それを並列でつなぎ、出来るだけ高速なメモリバスで接続するという構造が、これからのトレンドになると覆う。こういったメモリが実用化されれば、メニーコアプロセッサーが普通の事となり、それを使ったAIの性能も大幅に向上する事だろう。現在でも人間のように喋るスマートフォンが存在するが、人間のように物事を認識し、考える事が出来るようになる。しかも電力消費が大幅に抑えられているので、モバイル機器のみならず、電気自動車などにも応用される。そして、ロボットにも活用されるだろう。それもかなり性能がいいヤツが出来る。また、ルータやサーバなど24時間動作するシステムにおいても、低負荷時には大幅に電力消費が抑えられるなど、非常にメリットが多い。将来的に高速回線時代になったとしても、電力の消費量は今よりも少ないであろう。それだけ、このメモリは実用化されれば影響力が大きい。