SKY NOTE

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GPIF、7-9月の運用損失7兆8899億円

年金基金の株投資で7兆8899億円の損失が生じた。これは、安倍政権が通常、株投資に以前の12%とされていた年金基金の運用ポートフォリオ安倍政権は、非常識にも50%に上げた結果といえる。

 GPIF、運用改革後初の赤字 7―9月に7.8兆円の損失
 http://jp.reuters.com/article/2015/11/30/gpif-jp-idJPKBN0TJ0ND20151130

これは明らかに安倍政権の失政であり、株を知っている人ならば誰もが、まずいと思っていた事である。実際私も当ブログでアベノミクス批判と一緒の記事で、以下のように書きました。

 日銀の金融緩和、70〜80兆円に 2014.11.3
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20141103/1414954937

  • 年金資金の50%を株に投資するという内容を見て、マウスを持つ手が震えました。年金のような安定した利回りを追求する資産に対して、株のようなリスク資産に50%も割り当てるなんて非常識であり、安倍政権の異常さを感じました。とても危険です

以前の年金の運用割合は、株は12%であり、最大50%などというものではありませんでした。現在のGPIFの株の運用比率は42.99%(2015年9月末時点)、もし、以前の12%のままであったのならば、損害は7.9兆円ではなく、2.1兆円程度であったはずです。つまり、安倍政権の失政によって5.7兆円も年金受給者は損失を被ったのです。株価が上がればこの数字も変わりますが、株は常に上がり続けるものではありません。不況になれば、これよりも遥かに大きな損失になる事もありえるのです。よく考えてみてください、7〜9月というたった3ヶ月の間に7.9兆円もの損害が生じているのです。もし、リーマンショックのような大不況が起きてしまったら、もっと運用損は生じる筈です。以前の12%時ならば、大不況で株価が1/3になったとしても、被害は最大8%で済みますが、50%だと全体の33%と、実に1/3が消失する恐れがあります。だから、1年前の記事で「マウスを持つ手が震えた」と書いたんですね。

では、具体的に数字を見ていきましょう。

2015年6月末 :141兆1209億円(過去最大) 
現在の年金の積立金:135兆1087億円(−6兆0122億円)

運用成績(2015年7-9月期)
 国内株式:−4兆3154億円(利回り−12.78%)
 外国株式:−3兆6552億円(利回り−10.97%)
 外国債券:−  2408億円(利回り−1.26%)
 合計  :−8兆2116億円

安倍政権の運用見直しで、比重を高めた資産が軒並みマイナス運用という結果になっている。これは、株価の変動、為替の影響などで生じるリスクが運用割合を増やした為に大幅に増大した事によるものである。非常に不安定な運用であり、年金基金のような安定した利回りを求める資産にはふさわしくない事は、この大規模なマイナス運用利率から見れば、誰が見ても異常な数字である事が分かる。一方、プラスだったのが比較的、リスクの少ない国内債券である。

 国内債券:+3022億円(利回り+0.6%)

年金基金は、基本的に利回りが少なくても、損を出さなければいいのである。足りなくなったら国が通貨発行を順次すればいいだけなので、損失を低くしておけば、通貨発行量も抑制でき、円安による物価高も抑制できる。これを将来の年金が足りないと危機感をあおって株式などのリスク資産に投資した結果が、現在の7.9兆円の損失なのである。案の定、予想通り、日本人の老後の蓄えが外資のハゲタカの餌になってしまった。

現状の年金の運用割合(2015年9月末時点)

株式:42.99%
 国内株式:21.35%
 外国株式:21.64%
債券:52.55%
 国内債券:38.95% 
 外国債券:13.60% 

ロイターの記事によると、四半期ベースで見ると、リーマンショックで2008年10月-12月の損失の5兆7398億円を上回る損失を出していという。つまり、今回の運用見直しの損失はリーマンショック以上になってしまったという事なのだ。株式12%の以前の運用割合で言えば、どのようになるかというと、以下のようになる。括弧内は運用割当比率

2015年7-9月期を以前の株式の運用割当で計算した場合
 株式:−2兆2224億円(12%) ←−7兆9706億円(42.99%)
 債券:+   614億円(計算が面倒なので、株式以外はそのまま)
 合計:−2兆1610億円(現行の割当−7兆8899億円)

…となる。実際は以前の運用割当であれば、株式運用割合が少ない分、債券の運用割合が増えるので、国内債券で利益が増えて、損失はもっと少ない数字になると考えられるが、計算が複雑になって分かりにくいので、今回は株にだけ焦点を当てた。これを見ると分かる通り、以前の割当比率に比べると、2015年7-9月に5.7兆円、有権者安倍政権の失政で損害を被った事になる。リーマンショック級の不況になれば、この程度じゃすまない。株価が1/3になることも大不況であれば考えられるので、50%の運用割当であれば、1/3になると33%損失を被るので、年金基金135兆円の1/3の45兆円の損害が生じるのである。そこからすると、今回の7.9兆円の損失は、安倍政権の年金政策の失政の片鱗を見たに過ぎない。大不況になれば、この5倍以上の損害額(45兆円)が生じる恐れもあるのだ。これだけの損失額を通貨発行で補うと、不況の時に円安になって、物価高になってダブルパンチを食らう。以前の運用割当であればリーマンショック級の不況でも8%程度に収まり、92%の資産が保全される事を考えれば、いかに安倍政権が異常な年金運用をやっているのか分かるというものだ。このような経済音痴の首相を野放しにしておいては、日本人の老後が危うい。一刻も早く政権交代が必要である。