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TPPの混合診療の危険性 国民健康保険の形骸化の恐れ

アメリカはISD条項によって日本の国民健康保険制度を訴追する事はないと言っているが、ここで重要なのは「ISD条項によって」という所に注意すべきなのだ。ISD条項以外の方法で日本の国民健康保険制度を無力化する方法がTPPにはあるのだ。今日はその手口について書きたい。

1.知的所有権を強化して薬価を高くする

  • TPPでは、知的所有権が強化されます。特に特許の切れた薬を安く製造するジェネリック薬に対し、様々な形で、その販売を規制しようとする方向性が示されています。

 国境なき医師団
 TPP:協定の全文公開に対する声明を発表 2015.11.9
 http://www.msf.or.jp/news/detail/pressrelease_2563.html

  • 国境なき医師団がTPP協定の全文公開を受けて声明を発した内容によれば、TPPは以下の点で問題があるそうです。
    • 1.特許が切れても臨床データを利用できなくする事で販売認可が出せない。
    • 特許がない場合でも生物製剤の安全性と有効性を証す既存のデータを利用することができなくなり、競合他社製品の販売認可を行えなくなります。
    • 2.特許保護機関を20年以上に延長
    • 各国政府は製薬会社の要請に応じて特許による独占を現行の20年間からさらに延長する義務が生じる。
    • 3.部分的に変更を加えただけでも特許延長
    • 医薬品特許の部分的に変更を加えただけで既存の医薬品に新規特許を付与する義務も生じる。
  • TPPでは、特許期間を延長する事で、ジェネリック薬が作れる時期を20年から後ろ倒しにした上に、僅かな変更でも特許と認める事で、事実上の再延長が可能であり、さらに、特許が切れても臨床データを使わせないようにして安いジェネリック薬を作らせないようにするという徹底ぶりを見れば、TPPというのは、ジェネリック薬を作らせないようにする製薬業界の意向が色濃く現れています。こうすることで、特許を保有する企業は高値で永続的に薬を売る事が出来るというわけです。これでTPPで薬が高くなる理由がわかります。その内容からTPPはジェネリック薬を狙い撃ちしている事が分かると思います。

2.医薬品価格規制の撤廃

  • しかしながら、日本では医薬品価格規制があり、薬の値段は国が決めるもので民間企業が決めるものではありません。この項目では、その点について説明します。

"_blank">TPPでどうなる? 日本の医療 第6回

  • 日本は国が薬価を決めます。これは自由価格制にすると製薬会社が法外な値段を付けて全ての患者が公平な治療を受けられなくなる可能性があるからです。それを防ぐ為に薬の値段を国が決めて、国民の健康を守ってきたのです。この規制価格は下がる事はあっても、上がる事はありません。しかしながら、TPPにおいては、これが撤廃される可能性があります。というのは、日本政府が米国と取り交わした文書に以下のようなものがあります。
  • 規制改革については外国人投資家等からの意見を求め、これらを規制改革会議に付託する事にした。
  • この文書を見れば分かる通り、外国人投資家の意見を聞いて、日本の規制を変えると言う売国奴といっても過言ではない文言が記されている。外国人投資家というのは、ウォール街を知っている人ならば分かる通り、金儲けにならなければ死ねという文化の住人です。彼らは当然、民間製薬企業が儲からない日本の薬価規制の撤廃を求め、規制委員会に付託する事でしょう。そして、日本の薬価規制が撤廃されるのです。これによって、製薬業界がアメリカのように自由に医薬品の価格を決定する事が出来るというわけです。これにより、アメリカのように高い薬を買わされるというわけです。そんなのは陰謀論だよと思う人もいるかもしれません。しかし、先例があるのです。それはアメリカと韓国の自由貿易協定である米韓FTAです。
  • 【TPPの先例は今 米韓FTA韓国リポート】(5)医療 2013.6.11
  • http://www.tokachi.co.jp/feature/201306/20130611-0015843.php
  • 米韓FTAで、アメリカと韓国は共同で委員会を作り、韓国の国内薬価をアメリカと共同で決める事になりました。これにより、韓国は自分の国の薬価を自分で決められなくなりました。もっというと、アメリカの薬科に合わせさせられるのです。このような先例がある事と、アメリカの高官がTPPの内容について「米韓FTAを見ろ」と言った事からも分かる通り、日本に対しても同様の要求がされるものと考えてほぼ間違いないでしょう。では、アメリカの薬の値段とはどういうものなのでしょうか、それについて書かれた記事をみつけたので、紹介します。

 FTAとTPP、国民健康への災い―米韓FTA発効後2年6ヶ月後の現在

  • 喘息の吸入液として使われる薬「プルミコート」
  • アメリカ:175ドル
  • 韓国  : 12ドル
  • イギリス:  7ドル
  • アメリカがぼったくりバー並に薬が高い事が分かります。なぜこれほど高いのかというと、アメリカでは民間企業が自由に薬の価格を決められるからです。でも、競争原理が働けば、安くなるんじゃないかと思うかもしれませんが、薬の特許を持っている企業は、事実上、特許の独占権を行使して、高値を消費者に押し付ける事が出来るのです。今後、韓国は米韓共同委員会において薬価を徐々につり上げられる事が予想されます。TPPのジェネリック薬に対する内容からして製薬業界の意向が強く現れている事から分かる通り、薬の値段を引き上げられることは確実でしょう。彼らは、特許を強化して独占権を長期にわたって主張し、特許がなくても競合のジェネリック薬を薬の臨床データを著作権で保護して作らせず、薬価は政府の規制を非関税障壁として批判し、規制撤廃させて薬価を引き上げる。そうやってTPPで薬の値段が高騰するのです。アメリカの薬の異常な価格を見れば、その危険性がよく分かると思います。このような薬価に日本の医療業界が合わせさせられたら、どういう事が起こるでしょうか?現在、日本の医薬品の市場規模は2011年のデータで9兆3105億円です。その内、医療用医薬品の規模は8兆6619億円です。
  • 国連自由貿易協定(FTA)締結後の特許医薬品の予算(予測値)
  • 国連の予測では、FTA締結後の薬価は39%も値上がりすると予測されています。これを日本の医療用医薬品に適用すると、12兆0400億円になります。TPP締結後、日本人は3兆3000億円も高い薬を買わされる事になると予測されるのです。そうなるとただでさえ、ひっ迫している医療保険財政がさらにひっ迫することは目に見えています。

3.混合診療の危険性

  • そこで登場するのが混合診療というわけです。混合診療について解説している動画を紹介します。
  • 売国奴 安倍内閣】混合診療の本当の目的を解説(7分25秒)
  • 現在の診療料金は、保険の適用されない自由診療枠と適用される保険診療枠に分かれています。この診療は明確に分かれており、混ぜる事は出来ませんでした。そこで登場するのが混合診療です。保険適用の分は保険が効いて、適用されない部分は、その分のコストを支払ってもらう。その支払いを混合しても良いという形にするのが混合診療です。一見、良い事のように思えますが、TPPによって薬価が高騰すると、健康保険財政が悪化し、政府は財政難を理由に混合診療になると、保険適用範囲の医療を保険が適用されない自由診療枠に付け替える事によって公費負担を軽減しようとする可能性があります。つまり、薬価が高騰すると、それに押し出される形で混合診療によって自由診療枠が拡大し、国民健康保険制度が形骸化するというわけです。そうやって国民健康保険を骨抜きにして、彼らが目指しているのは何かというと亜ふラックのような高額な保険料を徴収する民間の医療保険会社が入ってくるわけです。

4.民間医療保険による搾取

  • 知的所有権で膨れ上がった薬価と、混合診療で保険適用外の医療費の拡大によって、医療コストが跳ね上がり、そのコストを賄う為に民間医療保険に人々は入らざる負えなくなるわけです。そうやって、高額な保険料金を徴収される事で多くの人々が収入のかなりの割合のお金を民間保険会社に支払う事になるわけです。そうやって皆さんはTPPによってカツあげされていくわけです。しかも、これで終わりではありません。

5.町医者が淘汰され、大病院が残る。

  • 混合診療を行う大病院が生き残り、保険適用の町医者の所得格差を拡大することによって、町医者が潰れ、大病院が生き残る事になります。そして、お金のある人は最新の医療で治せて、お金のない人は古い医療で治せるものも治せないという事になります。

6.最終的に誰が儲かるのか

  • TPPでは製薬会社、保険会社に毎年、数十兆円の富がわたっていき、最終的には、それらの企業の大株主が配当金などを受け取って儲かるというわけです。これがTPPの実体です。あまりにも馬鹿馬鹿しいので、出来るだけ早く、この条約は脱退するべきです。そうでないと病気になったら、お金持ちしか助からない社会にされてしまいます。主権者としてみんなの命を守る為に、TPPに反対するべきです。推進する政党には絶対に票を入れては行けません。それは自殺行為です。そういう意味では2016年の参議院選挙で棄権したり、投票用紙に自民党公明党と書いたら、DEATH NOTEに自分の名前を書くのと同じ意味があります。少なくとも、年収1000万円以下の一般庶民ならば、そういう事になります。

まとめ

  • TPPでは、1.知的所有権で薬価を釣り上げ、それで財政難になった健康保険を維持するという名目で2.混合診療によって保険の適用されない自由診療枠が拡大され、その結果、高騰した医療費を賄う為に3.民間医療保険会社が高額の保険料を請求し、人々からお金をむしり取っていく、そのお金は、製薬業界、生命保険業界に流れ、その投資家に配当金という形で入っていくという寸法です。つまり、皆さんの命の維持にかかるコストをつり上げて、金を巻き上げるというのがTPPの実体なのです。そんな事あるわけないと思って現実から逃避する事は賢明ではありません。既に韓国がそうなりつつあるからです。また、アメリカは既にそうなっているからです。
  • 2006年 OECD 国民1人あたりの医療費
  • アメリカが諸外国に比べて突出した医療費となっていることがわかる。
  • 世界一高いアメリカの医療費
  • 厚生労働省:OECD加盟国の医療費の状況(2010年).pdf
  • http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken11/dl/02.pdf
  • というわけで、TPPはあまりにも馬鹿馬鹿しいので出来るだけ早く政権交代をして脱退する。その為には皆さんが投票を棄権してはいけないんです。それは、皆さんの死を意味します。どうか、皆さん、自分や他の人の命の為に、投票に行きましょう。今度の国政選挙はそれくらい重要な意味を持ちます。選挙に行かないという人がいたら、このページを教えてください。長文なので、テキストを選択して音声読み上げ機能を使えば、聞くだけでTPPの医療分野の問題の全容が分かります。