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東大、限界を越える記録密度を可能とする磁気メモリ材料を発見

東京大学 物性研究所の中辻 知 准教授らの研究グループが、理想的な磁気メモリ材料を発見したという。

 東京大学:革新的磁気メモリ材料の発見
 〜世界で初めて反強磁性体での異常ホール効果を観測〜
 http://www.jst.go.jp/pr/announce/20151029-2/

特徴は以下の通りである
(引用)
・世界で初めて反強磁性体において自発的な巨大異常ホール効果を見出した。
・磁場が無い条件下では強磁性体でのみ観測されていた異常ホール効果を、反強磁性体において初めて、かつ、室温以上(160度まで)の温度で観測した。
・磁気メモリとしては作動原理が画期的であり理想的な特性を持つため、メモリ素子の革新的な進展が期待される。
(引用終了)

従来の磁気メモリは、自分が出してしまう磁場(強磁性体)によって、隣の磁気メモリ素子に干渉してしまう事で、高密度化に限界があった。しかし、この磁気メモリは、自分自身の磁場を打ち消す効果(反強磁性)があり、その結果、干渉が抑えられ、高密度化が可能な為、従来の磁気メモリの限界を超える高速、高密度な不揮発メモリができるという。

  • ホール効果
  • ホール効果(図1)とは、物質中に電流として流れる電子が磁場を感じることによって、電流方向と垂直な方向に電圧が生じる現象
  • 異常ホール効果
  • 強磁性金属など磁化を帯びた物質中では、この磁化に起因するホール電圧が生じることもある。このような強磁性体の磁化に起因するホール効果を特に異常ホール効果と呼ぶ。


 a:ホール効果
 b:自発磁化を持つ場合の異常ホール効果
 c:自発磁化を持たない異常ホール効果

ホール効果を用いる為、素子構造が単純化でき、マンガン化合物は安価で毒性がない元素で構成されている事と簡単に結晶育成ができることなどから、実用材料として好条件がそろっているという。(ウェハーの元となる結晶が材料が安くて作りやすいという話)

今後は、磁気構造の反転をもたらすスピン注入磁化反転注3)の適用の可能性について研究を進めていく必要があり、これが可能となれば更に実用化の道が見えてくるとの事。

まとめ

  • 分からないところは、引用したが、要するに、マンガンとスズの化合物で反強磁性という現象が、従来は低温でないと観測できなかったが室温の160度まで観測でき、その現象が磁気メモリの素子間相互の磁気干渉を消滅させる事から、従来よりも遥かに高密度で高速な読み書きの出来る磁気メモリが作れそうだという話。しかも、材料が安くて毒性がないので結晶が作りやすいから、意外と早い段階で実用化できるかもよという話。
  • 高速・高密度な不揮発メモリが安価に作れる可能性が本研究から見いだされたという事なのだ。それは、何を意味するのかというと、高速で大容量な不揮発メモリによって、メモリボトルネックが解消されたコンピューターが登場する。そして、それはAIの進歩を加速させるだろう。人間以上に優秀なコンピューターが従来よりもコンパクトなボディに集約でき、言って見れば鉄腕アトムのようなアンドロイドのコンピューター素子を実用化できてしまう可能性もあるということ。それが低コストで生産できるという事は、そういうものが大量に作れるという事であり、一家に一台、人間のように考える事が出来るアンドロイドがあるという時代が来るという事であり、まさにSFの世界なのである。また、こういった技術で電子都市を建設すれば、従来の物理的な都市の需要が少なくなり、オフィスや店舗は少なくなり、家の中で仮想都市で人々が仕事をしたりショッピングをする時代が来るのかもしれない。現代の感覚から刷ると、非常に不思議な世界である。
  • 実用化は、2020年以降となると思うが、安価に制作できるという点から考えれば、チップ積層技術を使って、ハードディスクのように大容量で、DRAMの様に高速に読み書きが出来、Flashのように電源が切れてもデータが消えないというスーパーメモリが登場する可能性がある。このメモリがプロセッサとHBMバスで接続され、そのプロセッサ間を光インターコネクトで接続し、並列動作させ、それを人間の頭の容積の中にコンパクトに収納し、動作させる事が出来たら、もろアンドロイドの出来上がりである。恐らくハードよりもソフトの方が作るのに時間がかかるだろうが、そういうハードが出来てしまう可能性が出てきたのではないかと思う。