SKY NOTE

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TPPの「大筋合意」という言葉について

日本時間10月5日午前10:00に閣僚会合を終え、発表になるはずだった。TPP条約交渉だが、それが大幅にずれこみ、マスコミ各社は「TPPは大筋合意した」と報道した。しかし、単純に「合意」ではなく「大筋」という言葉がひっついていることが引っかかった。というのは、事実で人に嘘をつく時のテクニックとして、言葉で事実を伝えるが、同時にその言葉の印象は正反対になる言葉を使うというのがある。今回のマスコミ報道を見ると、大筋合意というのは、要するに大まかなところでは合意したけれども、そうでないところでは合意していないという事だ。つまり、部分合意であり、完全な合意ではないため「大筋合意」という言葉を使っている。

実際、ニュージーランドが不満を表明している事からも、それは伺える。
 NHK:TPP合意 NZは乳製品で不満残る 各国は
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151006/k10010260641000.html

TPPは秘密交渉であるため、外部にハッキリとした形では情報は漏れてこない。ただ、乳業が基幹産業であるニュージーランドの立場から察すると、妥協はあり得ない。もし、妥協したらニュージーランドがTPPに入るメリットがなくなってしまう。そうなれば、議会では批准されない。だから、妥協はしない。ニュージーランドにとって妥協は交渉離脱を意味し、無意味なのである。(わざわざ国益にならない事をする日本という変な国もあるが…)

TPPは加盟各国の議会で批准されないと履行されない為、当然、ニュージーランドが合意しなければ、履行されない。履行されるとすれば、ニュージーランドが交渉から離脱し、改めて、残った加盟国で交渉をして妥結する事が求められる。交渉手続きのプロセスからすると、ニュージーランドが不満を表明している段階でTPP条約が完全に合意締結されたようには見えない。

しかし、マスコミは、締結されたと報道している。ここをどう解釈するかだが、御用報道としてみる事も可能だと思う。というのは、最近のマスコミ報道は劣化が激しい、国民にとって重要な情報を報道する義務を怠っている。例えば、2015年8月30日、国会前に安保法制反対で10万人規模のデモがあったのに、NHKは、それを殆ど報道しなかった。これほど大きな国内のデモを報道しない段階で政権側に立った報道をしている。
 
 2015年8月30日 安保法制反対の国会前デモ
 

しかし、報道が権力側に配慮するという事は、世界的に見て、それほどマイナーな事ではない。民主主義のレベルが低い国ほどそうなのだ。我が国の報道の自由度は、世界ランクで61位(180カ国中)であり、あまり高いレベルとは言えない。日本は60位の韓国より一つ下であり、22位のアフリカのガーナより低い、独裁政権のハイチ(53位)などのような発展途上国よりも低いのだ。日本の報道の自由度は菅内閣の時の11位が最高だったが、それ以後は右肩下がりである。特に安倍政権時の下落幅大きい。(安倍政権:22位→61位へ大幅下落)

 報道の自由度ランキング
 http://ecodb.net/ranking/pfi.html
 日本の報道の自由度ランキングの推移
 http://ryusoku.com/archives/4365734.html
 
 第二次安倍政権になって、22位から61位と極端に落ちている。

このような状況の中で「大筋合意」というのは、玉虫色の言葉ではないかと思う。この言葉は、原発事故時の「ただちに影響はない」という言葉と同じで、一見、安心できる内容のように思えて、その言葉をよく考えてみれば、「ただちに影響はない」という事だから、直近では影響はないものの、その後は影響があるかもしれないという意味でもある。実際、原発事故後、福島県で子供達が100人以上、甲状腺がんの診断を受けたのは、記憶に新しい。このTPP交渉の「大筋合意」という言葉も、それと同じで、大まかなところでは合意したが、合意していない部分もあるという意味ではないかと思う。