社会問題について考えていて、要するに既得権との戦いであると、しかも、彼らは賢く、自分たちの既得権の存在をマスコミを支配するなどして見えないようにしている。これをステルス既得権と呼ぶことにする。
利権隠匿構造
マスコミは、この中で大企業に対しては下級の存在である。
今、日本が景気が悪いのは、国際競争力が下がったからだというけれども、それは、比較的、小さな要因であって、最も大きな要因ではない。日本の外需はGDPの15%なので、全体に占める割合は低い。ではなぜ、全体からしたら矮小である国際競争力が声高に言われるかというと、その裏にある本当に巨大な既得権を隠すためなのである。
私は安部政権によって矢継ぎ早に、おかしな経済政策が展開されていたので、金融を調べてみて分かったことは、本当の既得権は、株主既得権と大企業の内部留保であることがわかった。
これがどれほど大きな既得権である事を示す為に、非正規雇用を正規雇用にするために必要な金額を計算してみようと思う。非正規雇用の平均賃金は260万円程度、そして、正規雇用となると400万円として、非正規雇用者は2000万人として計算すると非正規雇用をなくすための企業の収益はいくらかというと…
非正規→正規雇用
(400万円-260万円)×2000万人=28兆円
28兆円あれば、非正規雇用はなくせる。正確には給与の4割が賃金になると言われていて、それを加味すると、上げなればいけない給与は、大体、6割程度でいい計算になる。
給与を上げて積み上がる消費
1年 16.8兆円×4割が来年の給与の積み上げ分となる。
2年 6.72兆円
3年 2.69兆円
4年 1.08兆円
5年 0.43兆円
合計 27.72兆円
つまり、今より賃金総額を16.8兆円上げれば、5年後に非正規雇用をなくせるだけの売上が生じるのだ。では、ここ5年程度の人件費、内部留保、株主配当金の額を平成26年度の法人企業統計の数字を見てみよう。
ここ5年の人件費の総額が192〜199兆円程度で推移していて、最新の2014年の数字は195兆円程度と2010年と比べて横ばいなのに対し、企業の貯蓄で内部留保や配当金は、かなりの勢いで伸びていることがわかる。最新の2014年の段階で内部留保は24兆4268億円、配当金は16兆8833億円である。合計41兆3101兆円もの余剰金があるのである。その内、非正規をなくすために16.8兆円を差し引いても、24兆円がある事がわかる。つまり、内部留保12兆円、配当金12兆円にし、残りの16.8兆円を給与に回せば、非正規をなくせて、多くの若者が結婚できたり、子供を育て、車や家を買える所得になるのである。しかし、個々で、問題は、これらの収益は上位1000社の大企業にその95%以上が集中しており、これらをダイレクトに給与に転換することは出来ないのだ。
そこで、考えられるのは租税による分配方法である。大企業に蓄財している356354兆円という内部留保に5%課税して、そのお金を省エネ家電や車に対する補助金や再生可能エネルギー、耐震補強などの公共事業に使えば、需要が増え、仕事が増える。また、消費者から8%ものお金をとっている消費税も廃止する必要がある。大企業がこれほど巨額な蓄財できるのは、消費税を原資とする法人減税によるところが大きい。
1989‐2010年
消費税収合計:224兆円
法人減税合計:208兆円
蓄財を減らさないと需要が増えない。蓄財が増えると実体経済に流れるお金が干上がってしまい、デフレになってしまう。既に日本は356354兆円ものお金が大企業を中心にたまっており、これが消費に回って、社会の中でグルグル回れば、毎年356354兆円GDPが膨れ上がる額なのである。通常、私達はお金は一度使ってしまうとなくなってしまうと思いがちだが、社会全体で見ると、お金が右から左へ移動しているだけで、その総量は外国に流出するなどしない限り変わらないのである。つまり、蓄財によって止まっているお金と、実体経済の中で動いているお金の違いを理解することが、日本の景気がなぜ悪くなっているか理解することになる。これがステルス利権を理解する肝なのだ。止まっているお金を動かせば、GDPを飛躍的に大きくすることが出来、その結果、多くの人が幸せに生きられるだけの所得になるのである。
循環構造を最適化すれば、日本の景気は回復するのだ。これが最大の利権であり、私達の最大の勘違いなのである。この問題を提唱したのは、マルサスという経済学者で、過少消費説という。
日本の不況は、この中の所得の不均衡を消費税と法人減税がもたらしている。
税金を集めて、社会福祉に使わず、法人減税に回しているため、大企業を中心に富が集中し、その結果、莫大な額の内部留保金があり、その巨額の貯蓄(2014年356兆円354兆円)が、消費に回らないことで日本は不景気になっているのだ。よって、蓄財の原因となっている消費税廃止、法人減税廃止をし、内部留保に課税して、消費に回すことが日本の景気を回復するのに必要なことなのである。
景気回復に必要な政策
1.356354兆円と言われる内部留保へ5%課税(上位千社)
2.消費税廃止
3.黒字法人に対する税控除制度の大半を廃止し、実質税率を上げる。
合法的脱税に使われている控除制度を廃止
4.エネルギー、食料の自給政策により輸入を減らし貿易赤字を減らす。
5.耐震補強、スマートグリッドなど公共投資で需要喚起
この通りにすれば、大体、皆幸せになれる。お金持っている人、全然使ってないから今と変わらないし、持っていない人はたくさん使えるようになって、幸せになる。それでいいじゃないかと自分は思う。