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桜島の大正噴火の記録にみる現状 2015.8.20

気象庁が8月15日から、桜島に対し、警戒レベル4を発令している。

 桜島の火山活動について
 −桜島に噴火警戒レベル4(避難準備)の特別警報を発表−
 http://www.jma.go.jp/jma/press/1508/15a/sakurajima150815.html

これは、火山の噴火が近いとして周辺住民の避難を促すというレベルの高い警戒警報。気象庁によれば、8月15日午前7時頃から、島内を震源とする地震が多発しており、島内に設置している傾斜計および伸縮計で、山体膨張を示す急激な地殻変動が観測されているとのこと、規模の大きな噴火が発生する可能性が非常に高くなっており、昭和火口および南岳山頂火口から3km以内の鹿児島市有村町および古里町では、重大な影響を及ぼす噴火が切迫しているとのこと。

気象庁は、1914年1月12日の大正噴火レベルを想定しているようだ。そこで大正噴火の記録についてYouTubeコミックがあるので、それを紹介したい。

  • 桜島大噴火 1月12日を忘れない!!
  • 動画(桜島大正噴火100週年実行委員会制作)


1.桜島の過去の噴火

  • まず、大正噴火の前日1914年1月11日の記録から
  • 1月11日 夜
  • 地の底から突き上げるような地震が起きる。この揺れで住民が本格的に避難する。それ以前に井戸の水が少なくなるなどの前兆現象があり、一部の集落では避難がそれ以前から始まっていた。
  • 1月12日
  • 午前8:00過ぎ
    • 桜島から白煙が出て収まるが、地震が酷くなる一方だった。避難中に海水から泡と軽石が湧き上がっているのが観測される。これを「たぎり」という。
  • 午前10:05
    • 桜島の西側で噴火が起こる。
  • 午前10:15
    • 桜島の東側で噴火が起こる。噴煙は8000mに昇り、噴石がお手玉のように跳ね上がったという。避難で駅に人がごった返して、朝、切符を買った人が午後になっても汽車に乗れないという事態が続き、歩いて避難する人もいたという。
  • 午後6:29
    • 震度6,M7.1の大地震が起きる。この地震によって家屋が倒壊、がけ崩れが発生
  • 前兆があり、噴火と地震が同時に起こる。交通の麻痺により避難が困難。
    • これらのことから、まず、噴火の直前に井戸の水が少なくなったり、地震が起き、海底から「たぎり」とよばれる泡が吹き出すなどの前兆現象がある。そして、翌日に大噴火を起こし、それと同日に震度6クラスの地震も起きている。つまり、噴火と同時に地震にも警戒が必要である。そして、避難の際に交通渋滞など、移動が十分にできないという事態も想定される。
  • 大正噴火の規模
    • 大正噴火は、日本における20世紀最大の火山噴火で、噴出物の総量は2キロ立法メートルと、雲仙普賢岳の10倍で、富士山の宝永噴火を上回る量だったという。そして、噴火活動は、その後、断続的に1年続いたという。
      • 桜島内の埋もれた神社の鳥居(黒神埋没鳥居)
      • 3mあった鳥居が2mほど埋没していることが分かる。これは、桜島内の神社だが、カルデラ噴火になると、これを九州全域に降らせるだけの量の火山灰が降るとのことだから注意が必要なのだ。特に原発などは、非常用発電機の吸気フィルタどころの話ではなく、吸気口が火山灰で塞がれてしまうことも考慮しなくてはいけないレベルなのだ。
  • 大正噴火の時との現在の状況
    • では、現在の状況は、既に8月15日8月18日に、大正噴火当時に見られた「たぎり」という海底面から泡が噴出す現象が観測されており、また、6月頃の火山灰で、火口が塞がれて、山体が膨張しており、爆発的噴火のリスクが高まっているという。というのは、噴火というのは炭酸飲料のようなもので、1000度以上の高温のマグマに水や二酸化炭素硫化水素などが溶け込み、それがある時を境に爆発するというものなので、この爆発のメカニズムが炭酸飲料と同じ原理で中にある液体だった炭酸物質などが一気に気体化して膨張して爆発するというものです。火口に火山灰が降り積もってしまうと、コーラの瓶に栓をしたまま、コーラを振っているような状況です。
    • 食卓で学ぶ地学5〜コーラと火山噴火
    • http://www.tmblog.jp/1021_0_0_2013-11-7_2013_11_0_0.html
    • 地下に溜まったマグマが何かのきっかけで上昇をはじめると、地上に近づくにつれて圧力が低下し、マグマ中で泡立ちが始まります。マグマの上昇速度が遅い時は、泡立ちも緩やかですが、上昇速度が速い場合は急速に泡立ちが起こります。すると、泡立ちによってマグマが膨張し、密度も小さくなることから、上昇する力が加速され、これに伴って泡立ちもさらに増して行きます。泡立ちと上昇速度の加速が双方作用しあうことでマグマはどんどん上昇し、ついには地上へ噴出します。泡立ちが急激に起こった時には、火山灰や軽石を一気に放出する爆発的な噴火を引き起こすこともあります。とりわけ、粘り気が強いマグマが、急速かつ大量に地表近くまで上昇した時には、破滅的な大噴火を引き起こし、巨大カルデラを形成することがあります。すなわち、加速度的に起こる泡立ちが液体を膨張させ、噴出させるという点で、火山噴火とコーラの噴出はよく似ているのです。

2.桁が違うカルデラ噴火

  • 一番恐ろしい爆発が、カルデラ噴火で別名「破局噴火」と言われるほどの破壊的な爆発です。上記の引用の中で、赤字で説明している所が、それに該当し、これの被害は大正噴火の比ではなく、二桁違う被害を及ぼします。つまり、100倍以上です。大正噴火の噴出物の量は2キロ立法メートルでしたが破局噴火(カルデラ噴火)の場合は100〜200キロ立法メートルと、桁違いに多いのです。この量は、九州全域を火山灰をメートル単位で埋もれさせてしまう量であり、非常に危険です。火山灰は非常に重いので、このレベルの噴火が起きてしまうと、火山灰がメートル単位で積もり、大抵の住居は、その重みで倒壊してしまいます。その被害範囲は、九州全域のみならず、恐らく、四国、中国地方にも甚大な被害が及び、巻き上がった火山灰で地球規模の寒冷化が起き、世界の穀物価格が高騰し餓死する人が出てくるでしょう。
  • 日本では7000年 - 1万年に1回程度の頻度で、破局噴火が起きている。
  • Wikipedia:破局噴火(カルデラ噴火)
  • 直近の破局噴火は7300年前の鹿児島県南方沖の海底火山(鬼界カルデラ)で起きた巨大噴火、当時の南九州で栄えていた縄文文化を壊滅させた。
  • Wikipedia:姶良カルデラ(あいらカルデラ)
  • 桜島付近では、姶良カルデラ(あいらカルデラ)が2万6000年から2万9000年前に破局噴火を起こし、その時の噴出部は400キロ立法メートルと推定されている。
  • 引用
    • 現在の桜島付近で大噴火が発生し、軽石(大隅降下軽石)や火山灰が風下の大隅半島付近に降り積もった。続いて数回にわたって火砕流(妻屋火砕流、垂水火砕流)が発生し、カルデラ周辺に粒の細かい火山灰が降り積もった。ここで一旦、数ヶ月程度活動が中断した後、破局的な巨大噴火が発生した。この噴火は現在の桜島付近で始まった。次第に火道が拡張されるとともに岩盤が粉砕されて空中に放出され周辺に落下した。粉砕された岩塊(亀割坂角礫)は現在の霧島市牧之原付近を中心とした地域に最大30メートルの厚さで降り積もり、中には直径2メートルの巨礫も含まれている。最後にカルデラ北東部の若尊付近から大量の軽石や火山灰が一度に噴出した。素材となったマグマは温度が770-780℃、圧力が1600-1900気圧であったと推定されている。噴出物は巨大な火砕流(入戸火砕流)となって地表を走り九州南部に広がっていった。一方、空中に吹き上げられた火山灰(姶良Tn火山灰)は偏西風に流されて北東へ広がり日本列島各地に降り積もった。関東地方で10cmの厚さの降灰があったとされる。

3.現在の桜島の様子
8月15日 噴火警報レベル4発令
気象庁、桜島に噴火警報レベル4を発令 住民に避難の準備を勧告

8月17日 山体の膨張がほぼ止まる
桜島 京大教授「落ち着いた後に噴火多い」
種子島近海 M5.1 最大震度:3


8月18日 二俣港で「たぎり」のようなもの出現
・午後2:11 鹿児島市桜島の二俣港で「たぎり」火山性ガスが海面に湧出する「たぎり」のような気泡が出現

8月19日 小規模な噴火
・午前3時13分 昭和火口でごく小規模な噴火
 
 西日本新聞:桜島、ごく小規模な噴火 レベル引き上げ後、初

4.想定される被害

  • 8月16日 京都大学の井口正人教授 関係省庁を集めた会議の席上
    • 「桜島の過去の活動では地震の増加や地殻変動の急激な変化が起きて、それがいったん鈍ったあとに噴火が起きる傾向があり、噴火の可能性が非常に高くなっていると考えている。今後、2週間程度は状況を見ていく必要がある」
  • …との事なので、8月末まで噴火に対する警戒が必要という見解が示された。また過去の記録からは、噴火と同時に地震も起きているので地震に対する警戒と、それに伴う迅速な避難体制の整備が必要だろう。これは大正噴火レベルの噴火の場合
  • 破局噴火の場合、これとは様相は全く異なる。破局噴火が起きると恐らく九州全域がメートル単位の火山灰で埋まり、大抵の家屋がその火山灰の重みで倒壊する。
  • 火山灰の量
    • 雲仙普賢岳   :  0.2キロ立法メートル
    • 大正噴火    :  2.0キロ立法メートル
    • 姶良カルデラ噴火:400.0キロ立法メートル
  • 火山灰が偏西風に乗って中国、四国地方にも数十センチ単位で振り、その際でも倒壊する家屋が続出する重さであり、さらにもっと言えば、恐らく稼働中の川内原発は大量の火山灰で、ディーゼル発電機が吸気ができなくなり、全電源喪失メルトダウンを起こすだろう。火山灰15cm程度なら積もっても大丈夫という自然を舐めきった原発村のずさんな対応では、破局噴火のメートル単位の火山灰の影響を防ぎきることは、まずムリだろう。そうなると恐らく、火山灰と一緒に放射性物質も降ってくることになるだろう。しかも、かなり高濃度の放射性物質が落ちてくると想定される。なぜなら、福島第1原発の時は風下が海であり、大半は海に落ちて希釈されて、被害が軽微に収まったが、今回、川内原発メルトダウンをすれば、風下が日本の本州であるため、大量の放射性物質が陸にダイレクトに落ちてくる。しかも、火山灰と一緒に落ちてくることになる。放射能と火山灰の二重のダメージを食らうことだろう。風下の本州の人間は川内原発の停止を今から言うべきではないかと思う。川内原発は作られてから30年以上経つ原発で、脆くなっており、すぐには止められない。だからこそ、大噴火の兆候が見られたら、その時点で停止しないと、手遅れになる恐れがある。一度、大規模噴火が起きてしまうと、大量の火山灰で道路が塞がれて自動車が使えず、ヘリコプターも飛行不能になる可能性があるため、川内原発は、今のうちに停止するのがリスクの大きさを考えれば当然の対応と言わざる負えない。
  • 高濃度の放射能の混じった火山灰が降り積もり、西日本全域の農地が使用不能になるだろう。そうなると、ただでさえ少ない食料自給率が20%以下にまで落ち込み、さらに、破局噴火の影響で地球全体が寒冷化し、農作物が不作になるので、穀物価格が高騰した上に、西日本の放射能汚染によって、工業製品も売れなくなり、壊滅的な打撃を被ることだろう。破局噴火が起きた場合を考えると、川内原発再稼働は日本人にとって自殺行為であったと、後世に語られるような事態になるだろう。

5.火山灰に対する備え

  • 大規模噴火の場合、ガラス質の火山灰を吸い込むと、肺に刺さって、肺炎などを起こす。目の粘膜に入ると結膜炎が起きるので、ゴーグル(水中メガネなどでもいいだろう)とマスクは家族全員分、確保しておく必要があると思う。あと、空気清浄機もあると、窓を開けて入ってきた火山灰を減らすことが出来て、より安全だと思う。特に呼吸器系の疾患のある人は、マスクや空気清浄機はあるべきだと思う。あと、火山学者によると火山と地震はセットで考えるべきとの事なので、地震に対する備えも考えておきたい。
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