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川内原発の安全対策の問題点

2015年8月11日、13時14分、九州の川内原発1号機が再稼働されました。そこで、その問題点、危険性について調べてみました。

川内原発1号機は原子力規制委員会の安全基準をクリアしたということで、一見安全が確保されているように見えますが、具体的に見ていくと、殆ど対策らしいことはされていません。実態は安全ではなく、世界最高水準の安全基準でもありません。そればかりか、場所によっては福島第1原発よりも劣化したところもあるほどです。そういった憂慮すべき問題点を指摘したいと思います。
 
1.免震重要棟がない

  • 原子力規制委員会が求めるのは耐震基準をクリアしたものであれば良いとのこと。つまり、福島第1原発の免震重要棟よりも1グレード落ちる対策で良いという規制緩和とも取れる内容。地震時の司令塔になる重要な設備が入っている建物で、揺れを吸収する免震にするのも原発を制御する重要な機材が揺れによって破損しないためであると考えられるのですが、この部分が福島第1原発よりも劣っている。尚、川内原発では、今年度中に免震重要棟を完成する予定という対応らしく、安全第一というよりも、再稼働第一という姿勢が垣間見れる対応で不安が残る。建物に耐震性があっても、大きな揺れで制御機械が壊れてしまった場合、その時点でアウトという事にもなりかねない危険をはらんでいる。

 
2.フィルタベントがない

  • メルトダウンして圧力が高まった時、それを逃がすベント弁にフィルタがついていない事で放射能が駄々漏れになる。
  • 加圧水型は高温の水に圧力を加えて水蒸気にならないようにして蒸気発生器に渡してタービンを回す構造となっており、高温高圧の水がパイプを通って蒸気発生器に繋がっている。地震などで、メルトダウンしたり、この配管が破損して格納容器の圧力が上昇した時、ベントが必要になるが、川内原発はそのフィルタが装備されておらず、ベント時には周辺を高濃度の放射能汚染することになる。ヨーロッパなどではフィルタベントは標準装備なので、安部総理の言う世界最高水準の安全基準というのは嘘である。世界最高水準ではない安全基準なのに再稼働させたというのが事実。
  • Wikipedia:加圧水型原子炉

 
3.耐震強度が足りない

  • 最近の地震の揺れは2500ガルを超えているのに対し、川内原発は620ガルしか耐震強度がない。複雑な配管をもつ加圧水型は、高温高圧の加圧水がその中を通っており、地震の揺れで一本でも破断すると、そこから高温高圧の蒸気が爆発的に漏れだし、周辺の配管を破壊し連鎖崩壊する可能性もあり、耐震強度の不足は極めて憂慮すべき状況といえる。
  • 原発耐震強度地震の揺れ
  • この図を見ると、赤字の川内(620ガル)、伊方(855ガル)、高浜(700ガル)など再稼働が検討されている原発は、軒並み、過去10年以内の大地震の揺れ(東日本大震災:2933ガル、新潟県中越地震:2516ガル、岩手宮城内陸地震:4022ガル)に対して1/3から1/4の耐震強度しかなく、安全上の対策は十分とはいえない。ここでも安全よりも再稼働ありきの姿勢が垣間見れる。本当に安全を確保しようとしたら原発は稼働できない。耐震強度が足りないというのは、その数字以上だったら安全は保証できないという数字なので、そう言う意味では危険な原発を再稼働させたと言っても過言ではない。それを世界最高水準の安全基準をクリアしたと嘘を言っているわけですから、無責任この上ない。また、この耐震強度の問題を突っ込まないマスコミも酷い。

 
4.加圧水型は沸騰水型よりも安全か?

  • 加圧水型の原子炉は沸騰水型に比べて安全という話がありますが、それは正しくありません。加圧水型も沸騰水型も両方共危険です。壊れ方が違うのですが、場合によっては、加圧水型のほうが危険な壊れ方をします。アメリカの1/4スケールの加圧水型の原子炉の破壊実験の映像がありますが、コンクリートが藁のように崩れ去り、非常に破壊力のある圧力を貯めこむ事が伺えます。
  • PWR格納容器破壊実験 後藤政志氏 2011/8/9
  • http://www.ustream.tv/recorded/16552517
  • 動画の32分頃から破壊実験の映像が始まります。
  • 加圧水型が壊れる様子(正面)
  • 加圧水型が壊れる様子(横)
  • 最初に高圧の水が漏れ始めて爆発し、格納容器のコンクリートが藁のように崩れ、傾いている様子がわかると思います。つまり、それだけ破壊力のある圧力が生じるということです。もし、ベント弁が制御不能になったり、配管が破損して機能しなくなったら、非常に早い段階でメルトダウンし、格納容器内で水素が発生し爆発して超高濃度の汚染が広まる可能性があり、加圧水型も安全ではないことが分かります。加圧水型はECCSなどの非常用の冷却機能もありますが、そういう機能が地震が来た時にきちんと機能すればいいのですが、それに使っている配管などの耐震レベルが日本の地震の振動レベルに達していないわけですから、安全というには程遠い内容であることが分かります。特に破壊実験で見た構造物が破損し傾く様子を見て、これはダメだと思いました。福島第1原発は爆発したとしても、建屋が傾くという事はありませんでしたが、この破壊実験における加圧水型は構造を維持する土台から傾いてしまった。この時点で、破壊のレベルが沸騰水型よりも深刻なのではないかという印象を持ちました。

 
まとめ

  • 今回の川内原発の再稼働は、耐震強度が足りない、フィルタベントがない、免震重要棟がないと、非常に憂慮すべき内容で再稼働されました。それは安全第一というよりも再稼働が優先されていると言っても過言ではないでしょう。川内原発は作られてから31年も経つ老朽原発であり原子炉がガラスのように脆化している上に、高温高圧の水が複雑な配管に流れる構造をもつ加圧水型原子炉は、一度地震で配管が壊れると、連鎖的に他の配管が壊れる可能性が考えられます。ECCSを機能させる配管も地震で壊れてしまえば冷却不能になりメルトダウンという事も耐震強度が足りないのでありえます。圧力を逃がすベントもフィルタがないわけですから、九州のみならず、風下の四国、中国地方、関西が放射能に汚染される可能性も捨て切れません。
  • 川内原発メルトダウン(ベント)した場合の汚染予想図
  • その甚大なリスクを考えれば、再稼働をするべきではないというのが現実的な結論のように思えますが安部政権は、そういう杜撰な安全対策しかしていない原発を再稼働したわけです。思えば、彼は第一次安倍内閣の時も、共産党の吉井議員が、地震による全電源喪失のリスクがあると極めて的確な指摘をしたのにもかかわらず、その指摘を無視して、安全だとして何の対策も取らなかった結果、福島第1原発の事故は起きてしまいました。今回も、それと同様に杜撰な対応しかしておらず、国民の生命財産を守る姿勢に欠けていると言わざるおえません。人々の安全を守るためには、このような政権は、早期に退陣させ、新しい新政権に一刻も早く移行する必要があります。地震が来る前にそれをやる必要があります。日本の各地で火山活動が活発な状態の今、これは喫緊の課題だと思いました。安保法制の問題で若者たちがデモをやってくれているのは心強い限りです。彼等と一緒に安部政権を倒して、安全な日本を取り戻すしかないと思いました。そうでないと、第二、第三の福島第1原発事故が繰り返されることになるでしょう。なぜなら、何も失敗から学習していないのですから。