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盗聴法改正案について

2015年8月5日、盗聴法改正案が衆院法務委員会で自民、公明、民主、維新の賛成多数で可決されました。民主、維新両党は慎重審議を求めてきましたが、急きょ、自民、公明両党と「修正」案を共同提出し、盗聴拡大や司法取引制度の導入など重大問題を残したまま、運用を微修正しただけの修正案に賛成との事。

 共産は反対 改定刑事訴訟法が可決
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-06/2015080602_01_1.html

盗聴法改正案は、改定刑事訴訟法の中にあるもので、事実上の言論統制の実行面を担保するものと言え、民主主義にとって非常に危険な法律です。元来、盗聴は、重大な犯罪に限定するという考え方で認めるという形をとってきました。というのも政府が盗聴行為を乱用すると、言論の自由という民主主義の根幹が破綻してしまうからです。盗聴法改定案には、4つの大きな問題があります。

1.盗聴対象範囲に軽微な犯罪も加わり、盗聴範囲の飛躍的拡大

  • 今回の盗聴法で盗聴可能になる対象範囲
    • 1.殺傷犯関係(殺人、傷害、傷害致死、現住建造物等放火、爆発物使用)
    • 2.逮捕、換金、略取、誘拐関係
    • 3.窃盗・強盗関係、詐欺・恐喝関係
    • 4.児童ポルノ
  • この中の1〜2までは、ある程度、重大犯罪として理解できるとして3番の窃盗、4番目の児童ポルノに関しては、重大として限定できるほどの犯罪ではない上に、児童ポルノに関しては、その傾向の人間という事で盗聴対象(電話、インターネット)になるという理屈です。1〜2は、重大な犯罪で限定できるが3〜4は重大と限定できるほどの犯罪ではない。また、1〜3が明らかに明確な犯罪者を対象にしているのに対し、4の児童ポルノの場合、相手の性的傾向の解釈次第で誰でも盗聴対象にできる可能性がある。つまり、それほど重大でない犯罪や児童ポルノという形で盗聴対象を飛躍的に拡大するバックドアが設けられてしまっている。このバックドアを悪用すれば、言論統制が事実上可能になり、民主主義が崩壊する危険をはらんでいます。民主主義はエログロの規制から崩壊するというのは、過去の歴史から経験済みですが、今回も同様の手口が使われている。いつの時代も独裁者のやることはワンパターンです。

2.盗聴行為が警察のみで出来るようになった。

  • 今までは、盗聴をしていても、通信会社、NTT職員の立ち会いの元で盗聴がされていたため、誰が何を盗聴しているのか、明確にわかり、それが乱用の歯止めと成っていた。
  • しかし、今回の改定案では、礼状さえ取得すれば簡単に傍受が可能となる上に警察内部だけで通信傍受が機械的に行われるようになり、より大規模かつ、広範囲に、通信傍受が行え、なおかつ、誰が何を盗聴しているのかが分からなくなるという状態になる。従来の立会は以下の2つの歯止め効果があった。
  • 1.傍受記録の改ざんの防止
  • 2.通信傍受の濫用を防止する
  • 盗聴法改悪案により、立会の必要がなくなり、盗聴行為全体がブラックボックス化し、政府の都合による不正な盗聴行為が行われていても、それらをチェックすることができなくなり、より乱用の危険度が増している。


3.別件逮捕の問題

  • 盗聴法第14条では、別件逮捕も認めているという。その場合、一般的に罪が重いと認知されている犯罪で「死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮にあたる犯罪」に限定され、言論の自由に影響を与えない歯止めとなっていた筈だったのが、今回、それに加えて比較的、罪の軽い児童ポルノが加わることで、別件盗聴の対象範囲が飛躍的に拡大し、言論の自由を否定しかねない危険がある。このように児童ポルノを使うと、解釈次第で盗聴範囲を飛躍的に拡大しているため、事実上、政府の検閲行為が可能になっている。検閲、これはしてはならないという憲法21条に明確に違反している。(今回の盗聴法そのものが憲法21条に明確に違反している)

4.密告を助長する司法取引

  • 密告の何が問題なのかというと、市民同士でお互いに監視し、市民自ら言論統制に加担するという状態が過去にあったからだ。
  • 捜査機関の焼け太り
  • http://www.jimmin.com/htmldoc/154501.htm
  • そもそも、他人を売って自分を救うという考え方をする人間が正直に供述するかというと、そうでもないらしく、米国の司法取引において、誤った証言の事例も少なからずあるという。
    • 1.死刑冤罪事件の45・9%は、司法取引による誤った証言が根拠とされた。
    • 2.DNA鑑定によって無罪を勝ち取った250人の事例を研究した報告によると、そのうち司法取引によるウソの証言が有罪判決を支える証拠になっていたものが52件あった、と報告している。
  • 司法取引は、物的証拠に基づく捜査ではなく、供述に依存した捜査となるため、実体解明とは、ほど遠いものが裁判で行われることになる可能性があるという。司法取引による嘘の証言で、捜査が歪められ、それに基づいて礼状が発行されて盗聴が可能になると、さらによりひどい状況が想定される。

まとめ

  • 今回8月5日、衆院法務委員会で可決された。(委員会で可決したことを党が実施するという形になるので、まだ議会では可決していない)盗聴法は、以前の盗聴法にあった歯止めがなくなり、より凶悪な法律に変貌していることが分かる。事実上、対象犯罪の拡大や別件逮捕の対象範囲を拡大することで、逮捕権がかなり広がり、言論統制の実行面を担保する法律、これが成立してしまうと本格的に監視社会になるといっても過言ではないくらい凶暴な法律である。この法案に加えて共謀罪がセットになれば、完全な監視社会の完成と言われている。
    • 秘密保護法(可決)+盗聴法(委員会で可決の段階)+共謀罪(まだ可決していない)=監視社会
  • 監視社会のピースの内1.8位が既に出来上がっており、非常に危険だ。できるだけ早く安部政権を潰さないといけない。支持率をできるだけ下げて、安部政権のみならず、自民党政権そのものを葬り去らないと、言論統制の次に来るのは戦争である。戦争を避けるためには、この盗聴法にも注目する必要がある。