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TPP首席閣僚会合 ISDS条項、知財、国有企業 2015.7.29

TPPの主席閣僚会合がハワイで行われている。7月28日に首席交渉官会合が終わり、7月29日に主席閣僚会合が開催されている。つまり、今

TPPは多岐にわたる貿易交渉であり、日本国民には全く利益がなく、むしろ大損害をもたらすであろう売国交渉だが、多国籍企業や財閥グループにとっては利益のある貿易交渉なので、進められていると言っていい。今日は、その交渉されている内容で重要な点が報道されていないので、そこを中心に書いてみたい。

7月29日から始まる閣僚会合で政治レベルの決着が図られるという部分にかなり危険な条項が含まれている。

1.ISDS条項(投資条項)

  • 海外に進出した企業が、その国の急な政策変更によって損害を受けた場合に投資家が国家を訴え賠償させることが出来るようにした自由貿易協定に基づく国際司法制度のこと、本来は国家が外資企業に対する国内資産の接収などの不当行為を裁くためのものであったが、これをアメリカの投資家が乱用し、投資家に国家を超える権限を与えるような判例北米自由貿易協定NAFTA)などで続出したため、オーストラリア、マレーシアなどが反対している。訴えを起こすことができる期間を制限することで訴訟が乱発できないような規定などを設けることで、制度自体は導入する方向で最終的な調整が進められているとNHKで報道されているが、その程度の制限で、アメリカの強欲な投資家相手にISDS条項をマレーシアやオーストラリアが認めるとは思えない。乱用すると民主主義の三権の否定に繋がりかねない危険な条項なので、この部分はかなり揉めるのではないかと考える。日本ではISDS条項は、名前は報道されても、内容の危険性の割に小さな扱いでしかないか具体的な内容が報道されないことが多い。乱用する投資家が沢山いて、それが認められるアメリカとISDS条項を結ぶ国は、植民地になりますと言っているに等しい。
  • 5分で分るISD条項

2.国有企業

  • 国有企業と民間企業の競争条件を同一にしろというと、一見、公平なように聞こえるが、実際は、税金を投入して安く公共サービスが受けられるようにしている国有企業の否定につながりかねない。特に国が実質的に経営する企業の範囲を拡大解釈すれば、国から農業補助金をもらっている農家や国民健康保険制度で運営されている病院などが、その対象になりかねず、それらが「公平な競争を妨げるような低い価格での商品やサービスを提供することを禁止する」となると、国の医療保険制度で3割負担で済んでいる公的医療保険制度が否定される可能性があるか、または民間医療保険が参入するのに邪魔だと考えられているのは確実だろう。北米自由貿易協定におけるISDS条項で他国の環境基準を歪めてまで企業の利益を追求するという人権を無視するアメリカの投資家の強欲さを見れば、そう言う事をやりかねない恐ろしさがある。

3.知的財産

  • 特許権の強化など、知財コストが跳ね上がります。同様に知財が強化されたアメリカの医療費は日本の4〜15倍します。TPPでアメリカと同様な制度になると、非常に高額な医療費を払う事になります。薬価、医療設備、手術法、様々な医療行為に特許がかぶさり、価格が高騰し、その結果、健康保険制度が財政的に破綻すると言われています。ISDS条項で訴えられる以前に、知財で公的医療保険制度が形骸化し、民間の営利の医療保険制度が参入することにより、とても高い保険料を払うことになります。
  • 盲腸の手術 保険適用されても、4〜9倍のコスト           
  • 日本   36万円    3割負担:10万8000円
  • アメリカ 200〜500万円 2割負担:40〜100万円(日本の4倍〜9倍)
  • もし、これでガンなどになったら、数千万円クラスの負担となり、2割負担の保険でも数百万円、ヘタすると数千万円、そうなると医療費が払えなくて、肉親の命を諦めなくてはならない事態になることが容易に想像できます。だから、恐ろしいのです。そう言う意味で死の知財です。この知財権の怖さに比べればデスノートなんて可愛いものです。高額な医療費で何万人も一気に殺す事になるからです。恐らく、この知財の強化で日本人の平均寿命は5年縮まることでしょう。(現在の83才が、アメリカ同様に78歳になる)ちなみに私の母は大腸がんになりましたが、その手術費用は保険なしで平均140万円位ですが、公的医療保険で10万円以下となりました。もし、アメリカだったら手術で数百万は軽く取られるでしょう。私がアメリカ人だったら母の治療を諦めなくてはいけませんでした。日本で本当に良かったと思います。

TPPの本丸は上記の3つの条項です。これが悪用されると、民主主義を否定しかねない非常に凶悪な内容なので、各国間でもめています。マレーシアやオーストラリアでは、その凶悪性が報道されており、反対が根強く、日本では大手メディアを中心に、この重要な点は報道されていないので、何のことやらわからないというのが実状ではないかと思われます。つまり、知らぬは日本人ばかりなりという状況です。TPPで真に恐ろしいのは、実態がブラックボックスで、それが報道されないことで、非常に重要な問題が、そこに潜んでいることが分からずに交渉が妥結され、事実上、民主主義が形骸化してしまって、知らないうちに経済植民地になってしまったということになりかねないのが現状です。幸いなことに安保法制の問題で安部政権が傾きかけているので、政権ごとTPPを潰すという選択肢が残っています。このカードが切れるかどうかは、倒閣運動の成功の是非にかかっていると言っていいでしょう。

  • TPPのような制度の凶悪さを14分程度の動画で説明しています。
  • 『TPPの国内法整備の国家戦略特区法案が日本を貧しくする!①』坂の上零 AJER2015.7.29(11)