SKY NOTE

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デジタルカメラ市場、コンパクトは終焉へ(敗北の理由は成果主義にあり)

デジタルカメラのコンパクト市場の輸出が急速に縮小している。スマートフォンのカメラに押されて、息も絶え絶えだ。

アメリカのウォールマートでは、陳列棚の2/3に商品がなく、名札と価格表示があるだけとの事。まるで、Appleが潰れそうになっている時のMacコーナーの扱いと同じですね。店員に聞くと、最近は在庫がないとのこと。

BestBuyでも、コンパクトカメラは2〜3機種あるだけで大部分の陳列棚は一眼レフタイプと、そのアクセサリーで占められているという。売り場には客はまばらで店員は手持ち無沙汰な感じという。

大手事務用品チェーン店のStaplesでは、デジタルカメラの製品は1つもなく、全てIPカメラ(ネットワークカメラ)で、店員に聞いてみると、デジタルカメラは売れなくなってしまったので、もう扱わないとのこと。

2007年にはデジタルカメラは1億台を突破したが、それがピークで2008年世界同時不況と同時に市場が縮小し始め、2010年以降は出荷台数が毎年30〜40%縮小し、2014年の出荷台数はピーク時の1/3にまで縮小、変わって中国メーカーが台頭しているという。コンパクト市場は世界的なレベルで縮小しているという。

デジタルカメラは、コンパクト市場で終焉を迎えようとしている。恐らく、Appleがこの間、買収したLinX社のセンサをiPhoneに搭載すれば、コンパクト市場は、とどめを刺されるだろう。(このセンサは低価格ながら、一眼並みのダイナミックレンジの写真が撮れるとのこと)

なぜ、日本のカメラメーカーが敗退したのか、それは、本質的な技術革新を怠ったからである。または、技術革新の努力はしていたが、それを完成できなかったというのが正しい。昔は、SONYが、この種のことは得意だったが、成果主義導入後、得意ではなくなった。昔のSONYであれば、新しいものを作って、しつこく市場に投入して市場を自ら作り出す気概があったが、今のソニーは、続けることが出来ない。人々が理解するまで待つ努力が出来ない、他のメーカーも3Dカメラなどを作ったが、続けることが出来なかった。成果主義では、成果の出ないものは切り捨てられるので、こういう新しい市場を作り出すという短期的に利益を生み出さない行為を否定してしまうのだ。

高画素化は、感度不足となり、F値が3.0以上のものばかり、こんな綺麗に撮れないカメラを売り続けて大丈夫かなと思っていたが、質の悪いものを作り続け、イノベーションも怠っていたのでは、市場をスマートフォンに奪われてもしかたがないといえるのではないだろうか?

アップル社が買収したLinX社のセンサは、一眼並みの高感度である上に、奥行き情報まで取得できるとのことで、高品質化とイノベーションの両面で優れている。これがたった2000万ドル(24億円)で買収できたというから、Appleの新技術に対する目利きぶりは見事という他ない。

  • LinX社のセンサによる奥行き情報(非常に高品質であることがわかる)

日本メーカーが敗北した理由
 1.低品質なものを作り続けたこと
 2.イノベーションを完成できなかった
 3.新技術を見つけられなかった

最大の問題は、成果主義にある。現状の延長線上のものしか評価できない、目先の成果しか尊重しない成果主義は、まず、カメラの高画素化のような分かりやすいスペック競争を促した。しかし、これは感度不足を招き、ユーザーが撮る写真の低品質化を招いた。そうなると、スマートフォンとコンパクトカメラの画質は大して変わらず、カメラを持つ理由がなくなってしまった。一眼が売れるのは、この差があるからである。イノベーションの完成においても、人々が新しいものに理解を示すまで、製品投入を続けようとすると、成果主義では、短期的に成果が出ないものを切り捨てられてしまうので、長期的な技術革新が出来ない状態に陥った。また、技術の自前主義も問題、新しく優れた技術があれば、それを素直に導入して、イノベーションに結びつけるべきである。その努力を怠った。合志教授の超解像技術は、日本のメーカーは今からでも導入するべきだと自分は思う。つまり、日本メーカーは負けるべくして負けた。まず、成果主義をやめて、本物を作る。新しいものを作るという姿勢を持つべきだと思う。そうでないと市場そのものが消滅する。

 成果主義導入の罰―ソニーの場合
 http://lecolline1.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/42_1804.html