SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

Pref..
Speech
STOP
Follow..
QR Code
|◀
▶|
QR
×
voice
volume
0
rate
0
pitch
0

日本経済が凋落した本当の理由

問題が起きたとき、その原因に立ち返って考えるのが普通であるが、マスコミの経済報道は、低迷の原因については、あまり深く伝えられず、専ら対策について報道されている。これでは順番が逆である。病気でも、まず最初に何の病気か診断して、その後に治療するが、日本のマスコミの経済報道は、治療が先で原因究明がないというのが、致命的である。これは、原因を適格に究明してしまうと、間違った対処法をしているイカサマ報道がバレてしまうためと思われる。よって、まず、そのイカサマを見破るためには、原理原則に基づいたオーソドックスな手法、つまり、原因究明から対処法を探っていきたい。

1.円高による価格競争力の低下

  • 日本は、円安の時は輸出によって儲けてきたが、円高が進むと価格競争力がなくなり、国際競争力が低迷した。

2.成果主義による技術開発力の低下

  • 成果主義方式は、成果の予測が困難な新規の技術開発には全く向かない考え方で、円高で価格競争力が落ちたのならば、新規の技術開発による高付加価値路線を追求しなければいけなかったのだが、そのタイミングで成果主義を導入した結果、新しいものが全然出来なくなり、競争力をさらに低下させる要因となった。成果主義導入後のSONYがそのいい例だ。そもそも予測できないものを予測する時点で無理があり、成果主義は自由な開発風土を毀損する考え方だった。成果主義の問題点は私は、日本最大の技術品評会CEATECで肌で感じた。成果主義を導入する前には、面白いものがいくつかあったのだが、成果主義導入後、まるで窒息したかのように全く面白いものがなくなり、つまらない退屈なものとなった。要するに成果主義は自由という新しい価値を生み出す風土を完全に消滅させてしまったのである。

3.非正規雇用による内需低迷

  • 外需で儲けられないのならば、内需で儲ける必要がある。なにせ、日本は内需86%の国なのだから、むしろ、ここを充実させないといけない。しかし、ここでも2000年に非正規雇用を拡大してしまい、格差を拡大してしまった。これの問題点は、可処分所得にあらわれている。
  • 正規、非正規の可処分所得の格差(平均賃金から生活費180万円を引いた値)
  • 雇用形態(2014年10〜12月)
  • 資料:総務省 http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/
  • 正規雇用 :3281万人
  • 非正規雇用:2003万人
  • 雇用者の37.9%が非正規ということは、正規に比べて1/3の購買力(可処分所得)しかない消費者が4割近くもいる。非正規労働者は、本来、消費が旺盛と言われている若者が殆どで、それが1/3の購買力しかもたないのだから、消費が低迷するのは当たり前である。彼らは家も車も買えず、結婚も出来ないから子供も出来ない。つまり、少子化の原因は非正規雇用なのである。

4.企業間収益格差

  • 「そんな事を言ったって、そんな金はどこにもないだろう賃下げは仕方がない」と思われる人が多いと思います。そこで、具体的にいくらあれば、非正規労働者を正規労働者に格上げできるか考えてみます。
  • 非正規平均年収260万円を400万円にするために必要な額
  • 140万円×2003万人=28兆0420億円
  • つまり、28兆円をどこからか持ってくれば、非正規労働は解消できる。どこにそんなお金があるのか?それは法人企業統計に書いてある。
  • 財務総合政策研究所
  • http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/index.htm#01
  • 法人企業統計(平成25年度:2013年度 毎年去年の数字が6月に公開)
  • http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/h25.pdf
  • このPDFの5ページ目に利益余剰金の中の内部留保と配当金の項目を見てみる。
  • 2013年、企業の内部留保
  • 2013年
  • 内部留保:23兆1878億円(企業の銀行口座に入るお金)
  • 配当金 :14兆4002億円(株主に配当金として支払われたお金)
  • 合計  :37兆5880億円(純利益)
  • 内部留保を5兆円、配当金を4兆円程度にすれば、十分、非正規をなくすだけの28兆円のお金が捻出できそうな利益を企業が上げていることが分かります。しかし、「うちの会社、そんな利益はないぞ、どこにあるんだ?そんな金」という人がほとんどだと思います。実は、このお金の90%が収益トップ500社に集約しているのです。
  • 日本の資本金10億円以上の大企業は5962社あります。その内の500社、つまり、大企業の8%程度に日本企業の全利益の90%が集約しているのです。
  • 大企業内部留保 1000企業1年で23兆円増
  • http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-06-08/2014060801_01_1.html
  • 具体的には、内部留保313兆円の内90%程度が上位500社、さらに言えば、59%が上位100社に集中している事が分かる。つまり、企業間の極端な収益格差が非正規雇用の温床であることが分かります。

5.消費税による格差拡大(企業、消費者ともに格差を拡大する悪税)

  • どうして、こんなに企業間収益格差ができてしまったのか、その原因は消費税にあります。「え?消費税って財政再建社会福祉に使われるんでしょ?企業間の収益格差には関係ないでしょ」と思われる人が多いと思います。なぜなら、そのように報道されていましたから、でも、統計資料を見ると、それは嘘です。その殆どは法人税減税に使われているのです。
  • ここでお分かりですね。法人税は、黒字企業が支払う税金です。その税金が減ったということは、企業の純利益が増えますね。だったら、健全経営の企業は皆そうじゃないかと思われるかもしれませんが、消費税にはもうひとつの問題があるのです。それは、下請けイジメの問題です。
  • 問題は、消費税が増税される度に、元請けの大企業が増税分を払わないで、事実上の値下げを下請けに強要している事です。しかし、大手企業は消費者からきっちり消費税分を払ってもらっていますから、そこで利益が生じるのです。つまり、大企業に利益が偏るのは、このような下請けイジメが消費税を介して実施されている。そうやって黒字になった企業に対して、消費税を原資とする法人税減税などが加わるのですから、大企業にとっては消費税は二度美味しいのです。消費税として支払ったお金は丸々法人税減税で帰ってきているのですから、事実上、大企業は消費税は払っていないどころか、そこで利益まで生じているのです。さらに輸出企業には輸出戻し税なるものまであり、輸出した分は消費税がとれないから、輸出分の消費税分の還付までされています。そうやって大企業に利益の大半が偏る構造が生まれているわけです。(これが消費税5%時で10兆円、8%時、15兆円の規模なのです)
  • 大企業の搾取構造

 まとめ

  • 消費税が企業間収益格差を生み、それが非正規雇用を拡大させ、個人の所得格差を生み、デフレとなって、景気が悪化しているのが実情です。つまり、消費税こそが不況の元凶なのです。国際競争力は、あまり関係ありません。なぜなら、日本のGDPにおける外需の比率は14%程度でしかなく、86%は内需、つまり、国内消費の問題なのです。そして、この消費の問題は、需要者を困窮させることによって生じ、その諸悪の根源は消費税なのです。消費税とそれを原資とする法人税減税や輸出戻し税、下請けイジメによって生じる企業間所得格差を、国際競争力の問題としてミスリードさせ、実際の所得不均衡を隠匿し、その中で、消費税は大企業と株主(企業の利益→配当金)に利益供与する形で、この悪政が行われてきたのです。では、どうすれば、この状況を脱することが出来るのでしょう。
  • まず、313兆円もある内部留保に課税する事、5%課税できただけでも15兆円ほどの税収になるはずです。また、消費税は廃止するべきです。これによって15兆円ほど減収しますが、内部留保への課税で15兆円ほど徴収できれば、減収分は吸収できます。法人税の各種控除制度を外した上で25%に税率を下げても、2.5兆円(10兆円→12.5兆円:2013年)ほど増収する計算になります。残りは、消費税を廃止したことで生じる消費の拡大によって企業と個人の所得が増えて、それが5兆円ほどの増収になるはずです。そうなるとどうでしょうか?消費税がなくなっても税収は減らないばかりか、適切な税金を設定することで増収する可能性まで出てきます。また、消費税が廃止されることで、それを口実にした下請けイジメも減り、同時に非正規雇用に対する規制を強化します。非正規を減らすためには、企業間収益格差を是正する必要があるので公正取引委員会の機能強化および、規模と予算と権限の拡大によって、大企業の下請けイジメを是正し、非正規雇用を減らしていき、所得格差を是正する。大企業には非正規をなくすだけの利益があるので、それを中小企業に還元するような税制や法改正をする。そうやって所得格差を是正すれば、可処分所得が3倍になって、若者が家や車を買い、結婚をするようになる。そして、子供が生まれれば、あれやこれや必要になって、いろいろなものを買うでしょう。そうしたら、消費が増えますから景気が回復するわけです。
  • 消費税 → 企業間所得格差 → 非正規雇用 → デフレ → 景気悪化
  • 外需は、企業は糞の役にも立たない成果主義を廃止することで研究開発の自由度を上げ、競争力を強化し、市場開拓が出来るようにする。
  • 内需は、省エネ機器への補助金、再生可能ネルギーへの投資(通過発行し20年間無利子融資)や食料自給率の改善に補助金を投じて、85%の内需を90%にまで拡大し、外需依存度を下げることで経済を安定化させる。もちろんTPPは経済を悪化させるだけなので脱退する。
  • 原因から考えれば、何をすればいいか明らかです。消費税を廃止し、内部留保に課税し、法人税の控除制度の大半を廃止し、公正取引委員会の機能強化をし、非正規雇用に対する規制強化により、所得格差を減らし、消費を拡大することです。そうすることで景気は回復するのです。また、市民の情報をミスリードさせ、不況の長期化を招いた記者クラブ制度は、刷新された公正取引委員会の一番目の仕事として、報道カルテルとして厳しく取り締まり、自由な報道を実現し、誤った搾取政策が再び世の中に蔓延らないようにすることが大切なのです。