SKY NOTE

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中国の景気とAIIB

中国の景気について、毎年7%の経済成長を維持するのには、外需に頼らず、内需経済の拡大が必須であるが、この点において、中国は13億5700万人(2003年)もおり、富の分配を適切に行えば、まだまだ需要を掘り起こせるレベルにある。

 中国の一人当たりの名目GDPの推移
 http://ecodb.net/country/CN/imf_gdp2.html
 2014年 47131元(19.36円/元)→91万2456円

この日本に比べて1/4程度の数字から察するに、中国が将来的に日本と同等になるとすれば、あと4倍位、伸びしろがあることになる。しかし、世界には中国をあと、4倍経済成長させるだけの資源やエネルギーはない。従来の化石エネルギーに依存した経済モデルでは、資源価格の高騰を招き、成長は頭打ちになるだろう。

しかし、再生可能エネルギーや高強度プラスチック、藻から作る石油など、地下資源に頼らない経済モデルが確立できれば、この限りではない。また、沿岸部と内陸部との経済格差を是正するために、新幹線や高速鉄道などの交通機関の整備が必要であり、日本の田中内閣が行った日本大改造計画のようなものが現在の中国には必要である。AIIBの投資資金は、こういったインフラ整備に使われるだろう。

思えば、私の居た長野の田舎は、中央道が通るということで地方が潤っていた。土方のおっちゃん達が、母の経営する酒場にたくさん来ていた。あの頃は景気が良かった。残念ながら高速道路が完成してしまうと地方の需要がしぼみ、日本の地方経済は低迷した。だから、多くの日本人は、公共投資なんて一時的な泡銭と思っている。確かに一時的な工事受注では、そうなる可能性が高い。交通機関が整備されても都市に人が集中する状態は是正されなかった。中国も恐らくそうなるだろう。

しかし、今は、別の公共投資がある。それは再生可能ネルギーである。これは、地方の新たな産業になる。高速道路のような一時的な工事受注で終わる公共投資ではないのである。また、食料の生産に伴う農業廃棄物に圧力をかけて石炭化するバイオコークスという技術もあり、従来、廃棄物として捨てていた稲わらなどの農業ゴミもエネルギー資源として活用できる。つまり、田んぼがバイオマス炭鉱になるのである。

発電所の排熱を活用したハウス栽培による高付加価値食品を都市に供給したり、日本の高効率でクリーンな排気による大気汚染のない発電設備、発生する二酸化炭素を抽出してボトリオコッカスなどの藻を大量に栽培し、石油を取り出すなど、地方に再生可能エネルギーやバイオ産業を誘致して、長期的な発展につなげる。いわば、地方にバイオ技術による油田や炭鉱が生まれるのである。また、今後10年以内に、仮想空間で仕事ができる社会が生まれる。そうなると、地方でも、オンラインで仕事ができる機会が増えるだろう。それらから生まれる富により、地方と都市の経済格差を是正し、富の分配を適正に行い、内需を全体的に底上げすれば、中国の一人あたりのGDPが今の4倍になったとしてもおかしくないのである。今後20年にわたってそれをやれば、中国は日本の10倍の規模を持つ経済大国になっているだろう。そして、一人あたりの所得も日本と大して変わらなくなり、中国人は日本人と変わらない生活水準を得ることが出来るだろう。しかも、化石燃料に依存することなく、それが可能になっているだろう。

長期的に見ると、今後20年で中国は今の4〜5倍程度にまで経済成長することが可能だと思う。それには、日本の省エネ技術やエネルギー生産技術を中国は必ず必要とする。ということは、日本は中国と仲良くして、その発展に貢献することで、巨大な中国市場の恩恵に浴することが可能であろう。日本は中国にとって必要な様々なものを売り込める。新幹線などの高速鉄道スマートグリッド、バイオコークスプラント、電気自動車、省エネ家電、高性能断熱材、そのどれもが中国の今後の発展のために必要不可欠なものだ。故に中国にとって日本は敵視する国ではない。むしろ、その発展に不可欠なパートナーである。