SKY NOTE

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中国は、AIIBでシャドーバンク問題を解決するだろう

中国のシャドーバンクの問題をNHKで見ていて、どのように解決すればいいかグーグルで探してみると、面白い記事があったので紹介する。

 中国版シャドーバンキングの規模は31兆元
 政治リスクが崩壊後の処理を難しくする
 http://diamond.jp/articles/-/49719

中国のシャドーバンクの規模は2013年6月末で31兆元:600兆円(19.36円/元)である。しかし、600兆円の債権が全て不良債券になるのではない。上記の記事の高橋洋一氏は元大蔵官僚であり、金融の専門家だ。彼によれば…

  • 筆者の現場感覚からいえば、バブルは、証券・土地規制の抜け穴によって、証券・土地のみで起こったことだ。その是正には証券・土地規制の適正化で十分だった。金融引き締めは余計なことだった。

…との事、つまり、日本の失敗から学んだ中国政府がしてくると考えられるのは、土地や証券の規制強化と、緩やかな金融緩和である。つまり、当局としてはシャドーバンクのような非合法の金融機関を一旦取り潰し、残った債権をAIIBなどの外部資金と金融緩和資金を使って償却、土地であれば開発途中のものを完成させて収益化するが、20%という高利回りのリターンではなく7%程度の適正な利率の債権に切り替える。金融緩和の継続による経済成長によって、不良債券の損失を吸収していきソフトランディングをする。

Wikipedia:不良債券

2001年初頭のサミット・G7において、日本は各国特にアメリカから不良債権処理の推進を強く要求された。
2002年度の、全国銀行の不良債権の処分による損失の累計額は、81兆円5000億円に達した。不良債権処理にともなった銀行の損失累計額は、1992-2002年度末で94兆円となった。
不良債権比率は、1999年3月時点で6.1%であったが、2006年9月には1.5%にまで減少した。
2009年9月期の全国銀行の金融再生法開示債権残高は12.3兆円まで収縮した。
全銀行の不良債権の純損失の総額は100兆円という規模となった。 バブル崩壊で発生した不良債権は、約200兆円と言われている。

思えば、日本の不良債権処理で問題だったのは、バブル崩壊後、不良債権処理のために銀行の自己資本比率が悪化し、金融機関が極端な貸し渋りをしたため、中小企業がバタバタと倒れる事態になった。多くの人々は、中国の不良債権問題に対しても同様の認識を持っていると思うが、中国は日本という失敗例を見て学んでいるので同じようにはならない。まず、金融引締めをせず、成長経済を続ける。これにより、ソフトランディングが出来る。場合によっては需要増加により、不良債券も正常債権に転換することが可能。その際に必要なのは、高額な利回りの金融商品を厳しく規制するとともに、土地の転売などで地価が急激に膨れ上がるのを規制することだ。その上で経済を成長させるためには、現金が必要となる。そこで重要なのが、AIIBだ。外国の投資資金と国内の金融緩和資金が合わせて、お金を供給し続ければ、中国は7%の経済成長を持続できる。中国のGDPは、2013年の時点で9.24兆ドルである。日本円にして1108兆円(120円/$)に相当する。7%経済成長を10年続けると、中国のGDPは2216兆円となる。つまり、シャドーバンクの一部の債権が不良債権化し、仮に300兆円規模の不良債券が生じても、中国が7%の経済成長を10年続ければ、GDP比14%程度の問題にまで矮小化するのである。日本のように金融引締めをして、20年もデフレを引きずるのではなく、適度に金融緩和をして、経済成長することで、不良債券のGDP比を減らすことは可能なのである。その前提となるのが、土地や証券に対する厳しい規制だ。これをきちんとしておかないと、資金流入をした途端にまた、土地バブルが再燃してしまう。恐らく、中国当局は日本と同じ轍を踏むまいと、慎重に問題に対処していくだろう。そして恐らくは成功するだろう。

私達が不良債券と聞くと、銀行が貸し渋りをして、中小企業がバタバタと倒れる事をイメージするが、適正に対処すれば、そういう事は小規模に抑えられるのだ。重要なのは、中国がこれから経済成長するかということなのだ。自分は楽観視している。なぜなら、中国には、まだまだ貧しい人たちがたくさんいて、需要はあるからだ。中国政府がAIIBの投資資金を使い国内のインフラ投資を続けて富の分配を適正に行い、需要を増やしていけば、内需経済の拡大によって、経済成長を持続することが可能になるだろう。そして、10年もすれば、不良債券は、当局の適正な経済政策により、その多くが対GDP比で矮小化するか、経済成長の過程で正常債権になり、問題とはならなくなるだろう。つまり、不況は一時的に生じるが、中長期的には、状況は好転し、対処可能な状況になると見る。

日本と決定的に違うのは、中国は恐らく金融引締めをしないだろうということ、日本のデフレは、バブル崩壊が原因ではなくて、その後の無用な金融引締めによるものだった。ここのところを勘違いすると、中国の不良債権問題を見誤ってしまうと思う。

中国はまだインフラが整備されていない国なので、そういう分野にきちんと投資していけば、沿岸部の豊かさを内陸部にまで持って行くことが出来、さらに富の分配をきちんとしていけば、内需も拡大し、経済は成長する余地がある。日本もそれに協力することが出来るだろう。中国がするべきなのは、水道や高速鉄道スマートグリッド(電線)、再生可能エネルギーなど、日本が得意とする分野の公共投資が目白押しである。故に、この分野において日本は中国に対して、ビジネスチャンスがあるのであり、悲観する必要はない。そして、需要の増加で、家電製品や車の需要も多くなるだろう。その時に求められるのは、省エネ家電、排気ガスを出さない電気自動車である。

また、エネルギー分野では、バイオコークス精製プラント、高効率火力発電なども有望だ。それらがAIIBの資金によって開発されていくだろう。そして、それらは、中国国内できちんと富の分配をされれば、需要となって内需が拡大していく。そして、10年後にはアメリカを抜き、世界第一位の経済大国になっているだろう。その時には、不良債権?、なんのこと?みたいな状態になっているのではないかと思う。