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「残業代ゼロ法案」閣議決定(2013.4.3)

2015年4月3日、通称、残業代ゼロ法案と呼ばれる「高度プロフェッショナル制度」が閣議決定された。この法案で過労死する人が出るとみられるため、サラリーマンとにとっては極めて重要な法案なので、その詳細を調べてみた。

 PRESIDENT:サラリーマンにデメリットだけの法案
 http://president.jp/articles/-/14871
 プレジデントはまともだな、それに比べてダイアモンドは酷いな

対象者の条件は法律ではなく省令に書かれる。省令は国会審議を必要とせず、内閣の承認さえ出ればいつでも好きに変えられる。 つまり、1075万円以上という条件は、国会審議を通すことなく内閣の決議で変えられる。

残業代ゼロ法案は、働き過ぎを防止するため、以下の規定があるが...
 1、年間104日の休日
 2、1日のなかで一定の休息時間を確保
 3、在社時間に上限を設ける
 4、年間有給を5日程度義務化(この程度の有給で働き過ぎ抑制とは...)

...サービス残業のような規定違反が横行している中では、この規定は守られないだろう。企業にとって都合のいい残業代ゼロの部分だけ確実に実施される。こういった規定違反が横行し、残業が無料化した労働慣行が蔓延すれば、ホワイトな企業がブラック化する。競争相手が長時間労働によって人員を削減し、コストカットしてくる。すると、その流れに引きずられて、元々ホワイトだった企業がブラック化し、リストラを始める。結果、失業者と過労死が増える。

収入:1075万円以上(裏基準では940万円:平均年収の3倍という基準が土壇場で法案に入れられたので、省令のこの基準は、法改正をしないと、引き下げる事はできないが、自民党政権であるかぎりにおいて、省令ではなく議会を通さなければいけない法律であっても悲観的にならざる負えない)
 省令で規定、法律ではないので内閣のみで変更可能→ヤバイ)
職種:研究開発や金融商品のディーリングなど高度な専門業務に限る
時期:労働基準法改正案を提出し、2016年4月の施行(予定)
条件:合意をもとに新制度の対象
 →解雇規制緩和をちらつかされて、NOと言える労働者がいるのだろうか
実施:深夜や休日の割増賃金は支払われなくなる。

...とあり、これがどういう結果をもたらすかというと、既に同様の制度を先行して実施したアメリカでは、労働条件の悪化が問題となっている。米国での制度名は、ホワイトカラーエグゼンプション(WE)

米国

・管理職や専門職、ファストフード店長や介護分野の労働者などにも幅広く適用
・WEで働くのは全労働者の約2割にあたる約2500万人
 ・約6割は年収約620万円以下
 ・約1割は年収約160万〜約310万円

週40時間超働くのは、残業代が支払われる労働者で19%だが、WEで働く人は44%に上り、時給換算した賃金が最低賃金を下回る場合もある。適用要件を満たしていないのに、使用者に対象にされる乱用も目立ち、米政府は制度の見直しを検討している。(予想通り、適用対象年齢を守らず、残業代をゼロにしてくる企業が後を絶たない様子)

企業が守らないのならば、守らせればいいじゃないかと思うかもしれない、しかし、その基準となっているのは、法律ではない省令、1075万円以上という規定は「省令」で定められており、法律ではない為、変更は議会を通すことなく、内閣の決定のみで可能なのだ。このような労働者の命に関わる重要な事項が法律に明文化されない事を見れば分かる通り、この法案は最初から労働者の方を向いていない。つまり経営者側を向いた法案ということだ。そこで、経営者の集まりである経団連がなんと言っているのかというと…

 Wikipediaホワイトカラーエグゼンプション

  • 2005年の経団連の提言(経団連は10年前から検討していた。そのたびに廃案)
  • 現行の専門業務型裁量労働制の対象業務従事者(賃金要件を問わない)*法令で定めた業務の従事者で、月給制か年俸制年収が400万円か全労働者の平均給与所得以上の者

なにやら、もったいぶった言い回しだが、要するに年収400万円といっている。大半の正規雇用の職員が対象になる年収だ。そう考えてみて、今回閣議決定された残業代ゼロ法案を見ると、厚労省の最終報告書に以下の記載があるという「平均給与額の3倍を相当程度上回る」ことを法案に土壇場で追記し、その平均給与額の3倍は約940万円になるという。つまり、1075万円を下回る基準が既に用意されており、現行法案でも940万円以上と、既に引き下げる気満々の内容である。恐らく、この倍率を3倍から2倍、そして1倍に段階的に下げる目論見なのだろう。

注:1075万円の基準の省令と違って、この倍率は法案なので、議会によって決めなければいけないが、与党自民党が多数派では、この倍率の変更は自民党次第で決められるので、倍率変更は時間の問題だろう。(2015.4.17追記)
 産経:「高度プロフェッショナル制」導入へ
 厚労省、労働改革の報告書まとまる 28年4月の施行を目指す
 http://www.sankei.com/economy/news/150213/ecn1502130051-n1.html
 産経の政権ヨイショの文言を外すと真実が見えてくる気がする。そこがヤバイ。

 3倍:940万円(2016年4月)
 2倍:626万円
 1倍:313万円(経団連の提言している「平均年収以上」だとこうなる)

これが彼等の暗黙のロードマップだろう。年収1075万円以上という基準が絶対値で法案に明記されていないのがまずい。これによって年収基準が可変可能になっている。法改定することで、倍率を引き下げ、対象年収を引き下げられる内容になっている。冷蔵庫の棚の高さを変更できる「変わるん棚」という機能があったが、しっかり、そう言う機能が法案に予め内蔵されている点が恐ろしい。役人が「総理、この制度はですね。ここが可変可能なんです」と冷蔵庫の機能を説明する家電量販店の店員のようにレクチャーしているような気がする。この制度は、省令によって議会を通すことなく対象年収を可変できる制度であり、ご丁寧に段階までつけてある。これは、年収を直接的に法案に絶対値で明記するとその額以下には出来ない為、倍率という間接的な相対値で可変できるという官僚の常套手段が透けて見える。つまり、既に下げる時のことまで考えているとみられる。隅々まで経営者側の要望に沿った法案に見える。国民の方は全然向いていない。

以上のように見ると、この法案は欠陥だらけである。しかも、さらに安倍政権にはまだ問題がある。安倍政権が入ろうとしているTPPでは入国規制が緩和されて移民が大量に入ってくる。これは、外国の安い労働力が入ってくる事になり、それは日本人の職が奪われることを意味する。つまり、TPPに入ることで失業する人が増える。しかも、昨今のAIの進歩によって単純な仕事ならば、機械だけで出来る時代になってきた。つまり、このまま安倍政権を野放しにしているとTPPによる移民と機械(AI)のハサミ打ちとなって、サラリーマンは仕事を奪われ、その上、働けたとしても長時間労働で過労死という社会が早ければ2016年にも到来することになる。そうなれば人命がかかった深刻な事態となる。一説には今後20年以内にAIによって従来の仕事の30%は機械化されるという話なので、これと移民がかけあわされば、失業率40%超えの超大失業社会が到来してしまう。本来は、AIが進歩した社会では、失業者を増やさないために労働時間を減らし、最低賃金を上げないといけないのに、それと逆行した法案が提出されているので、40%を越える超大失業の上に長時間労働というメチャクチャな事態が想定されてしまうのである。

では、日本はどうするべきなのかというと、以下のようにすればいいのである。

現状から考えると、日本のように若者が少なくなり、労働力が劣化していく社会では、国際競争をすることは自殺行為であり、それよりも、国際競争から離脱して、エネルギー、食料、資源を自給自足し、労働力の不足はAIで補い、国内で経済が回るようにしたほうが、多くの人々が幸せになれる社会になる。

残業代ゼロ法案は、AIの普及で仕事が30%減る時代にマッチしないしないため、できるだけ早く、安倍政権及び自民党を政権がから引きずり下ろし、以下のことをするべきです。

・TPP脱退:日本人の仕事を守るために移民は入れない。
・週休3日制:AIによる仕事の減少による失業を防ぐ
最低賃金値上げ:減った時間の分の所得の減少を抑える
・自給経済:エネルギー、食料、資源の自給政策の推進

これらは、既に技術的に可能な段階に入りつつあり、実行可能です。労働者が長時間働くような制度では、消費するお金も時間も両方が企業に奪われてしまうので、内需が低迷し、景気が悪化すると予想されます。その証拠に、非正規雇用の時のことを思い出して下さい。国際競争の掛け声の下、労働者の賃金を下げた結果、消費が抑えられ、デフレが深刻化し、経済が低迷したことを、それと同様の影響がこの残業代ゼロ法案には生じる恐れがあります。この法案は非正規雇用の制度と同じで労働者の賃金を減らしてしまうので景気を良くするための政策ではありません。むしろ、景気を悪くする政策です。労働者が苦しむ分だけ景気が良くなるのではなく、労働者が苦しむ分だけ景気が悪化し、そこで出てきた企業の利益は配当金という形で富裕層に渡るというのが、この法案の主たる目的と思われます。

こんな法案を許すことは、多くの人々の命や幸せを奪うことになり、何の益もありません。ですから、統一地方選では自民党に絶対いれてはいけないし、4月28日に安部首相が訪米し、米国議会で何か言うようですが、ハッキリ言って、その前に安倍政権を引きずり下ろしたいところです。安部首相が外国で口を開く度に人が死ぬ事態が実際に生じています。今度、殺されるのは、後藤さんのような外国の邦人ではなく、国内の日本人の、あなたかもしれません。自分の命を守るために、できるだけ早く安倍政権にNOという事をしないといけないのです。時間はあまり残されていませんが、多くの人々の命としあわせのために、そうするべきだと私は思います。

あと、今回の法案に対する報道は、報道機関を選ぶリトマス紙になると思います。この法案をヨイショしたり、欠陥を批判しないマスコミは、サラリーマンの敵です。御用マスコミと認定し、今後一切、契約、購読、視聴などを控えることが賢明だと思います。そういう行動によって徐々にですが、報道に健全性をもたらす手段があります。まずはできる事から実践しましょう。自分たちのために。
 
参考のためにダメな報道機関のリストを提示します。
 新聞 :読売、産経(ヨイショ記事)
 雑誌 :ダイアモンド(主張が経団連より)
 テレビ:日本テレビ、フジテレビ(批判するべきなのに、スルー)

まともなメディア(自分の知ってるメディアの範囲)
 新聞 東京新聞(中京新聞)、赤旗京都新聞河北新報日刊ゲンダイ
    琉球新報沖縄タイムス
 雑誌 東洋経済週刊金曜日、現代ビジネス、DaysJapan
 テレビ 国内なし(腰抜け集団)、衛星放送のCNN、アルジャジーラBBC
 ラジオ 文化放送