SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

Pref..
Speech
STOP
Follow..
QR Code
|◀
▶|
QR
×
voice
volume
0
rate
0
pitch
0

2014年の映像技術を総括してみた。

今年も、もう終わり、テクノロジーではJobsがいなくなってからというもの、技術を適切にプロデュースしたり、表現する人がいなくなって、散発的な印象しか受けない。実際には、凄い変化が起きつつある。だが、表現したりプロデュースする人がいないので、それが凄く感じられない。そういう意味でJobsは偉大だったと思う。彼は技術と人々を結ぶ役割を果たしていた。そして、世界を変えた。

というわけで、2014年、自分が注目した技術というテーマでいってみよう。

ディスプレイ
・色   :量子ドットによる波長変換で色が綺麗になる技術

  • 色が良くなると、リアル感が違ってくる。ディスプレイ感がなくなり、そこに実際にあるかのような錯覚が生じる。NTSC100%以上(H.265 30bit DeepColor)

・解像度 :4Kディスプレイ(ドットが見えない)

  • 解像度が上がると、細部の質感が改善され、立体感が生じる。これ以上の解像度はあまり違いを感じない

・パノラマ:ヘッドマウントディスプレイ(Oculusなど)

  • クビを動かすと、それにかなりの精度で追従できると臨場感が生じる。

・視差  :120Hz表示(DisplayPort 1.3)

今年は、ディスプレイは4Kに突入し、しかも、かなり安くなった。しかし、ケーブル規格の都合で4Kで3D表示(120Hz表示)ができないなど、自分としては残念な仕様となった。恐らく、来年にはDisplayport 1.3の対応品がリリースされ、3D表示が可能になるし、しかも、量子ドットで明るく、そして、色が綺麗な4Kディスプレイが登場するだろう。そして、コンテンツも4KのH.265動画を軽々と表示できるHBMを使ったGPUが登場するだろう。そうなると、かなりリアルな映像が2015年には見れると思う。

ディスプレイの次の競争は、解像度から、パノラマ、視差、色、コントラストの時代へ

  • ディスプレイの解像度は4K以上になると、ほぼ感覚的に差が生じないので、4K以上の解像度の感覚的なメリットは少ない、しかし、人間の目は、色は256階調(8bit)だが、コントラストは1024階調(10bit)なので、色は、従来の24bitColorではなく、30bitColor(H.265 main 10 profile)が標準であるべきである。その意味でH.265の静止画プロファイル(HEVC-MSP)には注目している。

 H.265規格の仕様
 情報源符号化部 H.265 | MPEG-H HEVC 規格の概要.pdf
 Main10:H.265動画の10bit階調プロファイル(30bitColor)
 HEVC-MSP:H.265の静止画プロファイル

また、視差表現も重要であり、その意味で4Kで120Hz表示を可能にするDisplayport 1.3の対応品も待たれる。更に見る方向によって画像の見え方が変わるように、奥行き情報を加えるようなものも出てくるだろう。それを再現する、見る方向によって映像が切り替わるダイナミックパースペクティブにも注目している。この技術はとても過小評価されている。眼鏡なしの立体視が出来る技術であり、大画面で見れば、非常に有望だと思う。だが、処理負荷が大きい技術であり、また人間の目の位置を感知するセンサと、その位置から表示を切り替えるプロセッサパワーが必要なので、インテルのRealSenseというセンサー技術とHBMを使った高速プロセッサが必要となる。現状のRealSenseは、プロトタイプレベルで認識精度も低い、なぜなら使っている赤外線センサの解像度が640×480と低いためで、既にソニーやシャープから、1280×720の高解像度な赤外線センサが出ているので、それと、工学院大学の合志教授の超解像度技術を組み合わせて、高品位な奥行き情報が取得できれば、精度の高い立体データが撮影できるはずだ。だが、それだけでは、ダメで、裏側など見えていない箇所がどうしても生じる。そこら辺を補完するプログラムとしては、カーネギーメロン大学とカリフォルニア大学の研究者グループが発表した。類似のサンプル3Dモデルをネット上から集めてきて、それを伸張させて見えていないところを再現するというものがある。

 写真や絵画を立体物として編集する3Dレタッチ技術、CMU研究者が発表
 http://japanese.engadget.com/2014/08/07/3d-cmu/

これらの技術を組み合わせて、自然な3D表現が可能になる。処理負荷は従来よりもはるかに大きいが、従来よりも数十倍の帯域幅を持つ高速なメモリバス(HBM
2:2.0TB/s HBM1:512GB/s GDDR5:28GB/s)と多数のマイクロコアプロセッサで処理できるようになるだろう。そこで得られる映像品質は、そこにまるで、本物がいるかのような錯覚が生じる品質、それがこれらの技術が結実した映像と言える。人間の知覚能力に匹敵する画質によって、映像に「存在感」をもたせることができるだろう。2015年は、それを可能にする技術が表面化してくる時期、しかし、完成するまでには、ソフトも含めて2020年頃まで待たないとダメだろう。

理想のモニタ
 インチ :28インチ
 解像度 :4K(3840×2160)
 色深度 :10bit以上(1024階調)
 色再現 :NTSC100%以上 or BT2020対応(量子ドット蛍光体による色再現)
 視差  :120Hz表示(Displayport 1.3/32.4Gps 4K3D/30bitColor:29.9Gbps)
 センサ(ダイナミックパースペクティブに必要)
  奥行き:RealSense(1280×720)×(1 or 2)
  映像 :フルHD(1920×1080)×2
  音声 :ハイレゾステレオマイク(24bit/96KHz)

映像フォーマット
 静止画 :HEVC-MSP(H.265静止画プロファイル)
 動画  :H.265 main 10プロファイル(10bitColor,拡張規格で12bitColor)

音声
 音声  :24bit/96KHz

プロセッサ
 メモリ :HBM1 容量:2GB 転送速度512GB/s
 プロセッサ:マルチコアプロセッサ(64bit/1GHz×64個以上)

ソフト
 記録部分
 ・奥行き情報のノイズ除去
 ・超解像
 ・3Dモデルの生成(不可視部分の補完:パターン類推補完)
 再生部分
 ・視点策定処理
 ・3Dモデルの表示

解像度、視差、色、コントラストなど、完全なる立体映像が出来る。目に有害なブルーライトも量子ドットで波長変換され、疲れにくいディスプレイになるだろう。2015年には、コストをかければ、人間の目の感覚にかなり近い再現性を持ったディスプレイが作れる規格や技術が市場に出てくる。そして、それを撮影するカメラや動画規格が必要となる段階になるだろう。現在、3D動画フォーマット規格策定中とのことなので、来年は、その分野のニュースが来るのではないかと思っている。そして、立体的でリアルな質感を持った映像に人は、触りたいと思うだろう。ものであれば、商品を回転させて見るとか、動物だったら、撫でたら、その反応がほしいと思うだろう。そう言う世界になると、ビジュアルマテリアル市場が生まれるかもしれない。つまり、映像で出来たもの、AIペットや手の動きを感知するセンサなどが生まれる。現実と見間違えるほど、リアルな仮想世界が人間の欲を疑似的に満たす世界が生まれる。

立体映像を見ると思うのは、触りたいという衝動と、そこに存在するかのような存在感、そういうものがCGで作れるのならば、人は存在させたいものを自由に作れることになる。そういった映像を作るのにHBMの帯域幅で大幅に向上したプロセッサパワーが使われるんだと思う。映像がリアルになると、それに付随して、音声やら、反応が自然でなくてはならなくなり、他の分野にも質的向上が求められるだろう。そういった総合的なクオリティが向上していくと、市場としても大きくなっていくんじゃないかと思う。インテルはプロセッサが売れるし、ソニーはカメラやテレビが売れるし、シャープは液晶が売れるしと、オーディオメーカーハイレゾ製品が売れるし、ソフトメーカーはAIで作ったマテリアルが売れるし、そうやって世の中全体が映像によって仮想化していく時代が来年から始まるのかもしれない。