SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

知識のローカライズが日本を変える。

世界的な経済学者であった故宇沢弘文教授の「社会的共通資本」を読むと、「こんなにすごい考え方が既に1994年(20年前)にあったとは」と驚きを禁じ得ない。社会主義経済の問題点、資本主義経済の問題点を的確に批判しながら、それらを、公共部分と自由市場とに二層構造にして、その双方のメリットを最大化し、デメリットを最小化する社会的共通資本という考え方を読みながら、なぜ、こんなに素晴らしい本が、世の中に広まらなかったのかと逆に疑問に思えるほどだった。

  • 社会的共通資本の模式図

そういう自分も宇沢先生の事はTPPについて調べた時に知っていたが、社会的共通資本という考え方を調べるところまではしていなかった。なんだか難しそうでとっつきにくかったからである。しかも、大先生の書いた本、さぞや難しいのだろうと思って敬遠していたところがある。実際の本はとても分かりやすく書かれていて、自分のような普通の人間にも読める内容だった。

で、なぜこういう価値のあるものが世の中に広まっていないかというと、例えば、社会的共通資本がマンガになって無料でウェブで配布されていたら、全く様相は違っていたんだと思う。難しそうな題目がついてて、実際は読んでみると平易に書かれているのだが、その題目だけで読むのに抵抗を持ってしまう。つまり、「難しそう...」という第一ステップで敬遠されてしまっていた。しかし、これが例えば、マンガになっていてウェブで無料と聞けば、どういうものかちょっと読んでみようということになる。

大事なのは、その第一ステップである。あとは、価値を理解した人が増えていって、次第に広めていく、実際、この社会的共通資本に書かれている資本主義市場の問題点は、現在の非正規雇用の問題や残業代ゼロの議論にも通じるものがあり、資本の言うままに市場に委ねても、それが自然に良くなるというのは非現実的な前提に基づく虚構であると痛烈に批判している。実際にそうなっている為、多くの人が社会的共通資本を知れば、その価値を実感をもって理解することだろう。よって、TPPのような市場原理主義の権化のようなやり方に対抗するためには、社会的共通資本という考え方を広めるという方法論もあると思う。最初に述べた第一ステップを越えることができれば、多くの人に認められるだけの価値をこの社会的共通資本という考え方は持っている。ある意味、MacGUIに似ている。昔のMacは高価でパソコン界のフェラーリとまで言われた。それがWindowsという形で低コストになって広まった。大事だったのは、ローカライズであった。つまり、その場所にあった形にすることだった。

社会的共通資本の考え方は、日本のみならず、世界の人々を救うだろう。そのためには、その情報をローカライズして第一ステップを超える必要がある。まず、知ってもらうというステップ、コレが大事なのだ。自分も高校生の時、Macに初めて触った時、コレで世の中が変わると直感した。社会的共通資本は、それと同じくらいのインパクトのある内容だった。そういう素晴らしい物は、時間を経れば確実に世の中を変える。社会的共通資本には、そういうものに共通するものを感じる。なんていうか度量の広さというものがある。GUIが多くの人々にコンピューターの力を与えたように、社会的共通資本は多くの人に人間的で安定した経済という恩恵を与えるだろう。社会的共通資本は、現在の残業代ゼロなんて言ってる市場原理主義者とは、正反対のものなのである。そして、社会的共通資本は単に社会主義というわけでもなく、自由市場の存在も認めている。ただ、それは公共の利益を阻害しない形での自由であり、至極まっとうな論理なのだ。

日本には「公私混同はするな」という格言があるが、自由市場やグローバル経済というのは、全てのものを株式などを通じて「私有」する事で公共の利益を無視する傾向があり、その観点から言うと、グローバル経済というのは「公私混同を積極的にやる」という経済なのである。そして、最終的に少数の私有財産の所有者に、多数の奴隷が付き従う経済が、グローバル経済の最終形態であり、まさに悪の帝国といっていいものであって、到底認められるものではないのである。それに対抗するためには、この難しそうな社会的共通資本をローカライズすること、それが今、一番必要なんだと私は思う。見れば分かる。そして、そう言う人を増やしていく過程で、グローバル経済のバカバカしさが、皆に広まり、MS-DOSがなくなったように、グローバル経済などというものは、跡形もなく消え去るであろう。誰も覚えていないくらいに。

  • 宇沢弘文氏:TPPは「社会的共通資本」を破壊する【Part1】(1時間03分55秒)
  • 宇沢弘文氏:TPPは「社会的共通資本」を破壊する【Part2】(37分47秒)
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