訂正:11月3日に書いた記事の中で、年金の部分に致命的な計算間違いがありましたので、書き直しました。調べると非常に深刻な事態であることがわかり、この重要な問題について間違った記事を書いてしまったことを深く謝罪するとともに、訂正記事を載せます。修正部分は4番目の記事に集約されています。年金という極めて重要な事について間違った情報を流してしまい、申し訳ありませんでした。年金資金の50%を株に投資するという内容を見て、マウスを持つ手が震えました。年金のような安定した利回りを追求する資産に対して、株のようなリスク資産に50%も割り当てるなんて非常識であり、安倍政権の異常さを感じました。とても危険です。普通は株などのリスク資産の割り当ては20%程度です。この場合、株価が半額になっても損害が10%程度で収まります(訂正:2014.11.4 1:13)
世界標準の投資法
http://myindex.jp/study/global_allocation.html
日銀の金融緩和が肥大化している。日銀はデフレからの脱却や2%の物価目標を達成するために、これまでの緩和規模を60兆円としてきたものを10〜20兆円増やすとのこと。
NHK:効果が焦点 日銀の「追加金融緩和」 2014.11.1
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141101/k10015872781000.html
これを受けて、為替市場では1ドル108円が112円まで円安になっている。
最新為替チャート(リアルタイム自動更新)
http://zai.diamond.jp/list/fxchart/detail?pair=USDJPY&time=4h#charttop
2014.11.3 金融緩和直後のドル円為替チャート
1.今回の金融緩和は悪性インフレをより強化する可能性が高い
- これをみると、どうやら10月30日あたりに、何らかの情報が流れていたような、動きがある。これは市場ではよくあることなので、置いといて、これがもたらす経済への影響について考えてみる。この日銀の金融緩和の効果は、安倍政権の株に投資するという見当違いのお金の使い方によって、実体経済を豊かにせず、株価や物価は上げるが人々の給与は上げないので、悪性インフレがより顕在化するものと考えられる。
2.間違った使い方によって、株高、物価高しかもたらさないアベノミクス
- 本来するべきは、発行した通貨を福島県民の移住経費、原発賠償金、自然エネルギーや住宅の耐震補強やエコポイント、エコカー補助金など、株ではなく、市民の消費に関わる金に回して、実体経済の消費を活性化するべきだが、来年の消費税10%増税も合わせて考えると、物価は上がるが消費は痩せ細る傾向になりそうだ。安倍政権の見当違いの政策が、市民の財布にダメージを与え、それが実感を伴ってくるだろう。最近食料品が一気に上がり始めたことから考えると、この金融緩和を境に、もはや、為替変動による価格吸収は限界と察した業者がこぞって、値上げに踏み込んでいるようだ。これによって、安倍政権が倒れるかもしれない。
3.株式市場に希釈される緩和資本
- 通貨発行までは良かったが、その発行した通貨を株に投資するという見当違いの使い方により、実体経済へ何らの恩恵をもたらさなかったため、アベノミクスは国民に対し、消費税と円安による物価高に終わるであろう。そして、給与は上がらない。なぜなら、そのお金が株価を上昇させ、投資家を富ませるが、それらは株式市場という巨大な海の中で希釈され、無意味に吸収されるだろう。そして、株価が下がった瞬間に消え失せる泡銭にすぎない。
4.泡銭に年金資金の50%が投じられるリスク
- 問題は、このバブルに政府が年金資金130兆円のかなりの割合(50% 国内株式25%+外国株式25%)を使うという事である。
- 安倍政権の意向できまった年金資金の運用割合(資料:Wikipedia:GPIF)
- 国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%
- GPIF6月末の運用総額は、3月末から6869億円増の、127兆2640億円
- http://fx.minkabu.jp/hikaku/fxbeginner/operation-of-gpif/
- 実に株に50%をつぎ込むということで、株価の下落と同時に年金資金が数十兆円消える可能性がある。(安倍政権は年金基金の日本株の投資割合を12%→20%(130兆円)へ引き上げたという。20%ということは、日本株が30%下落したら、年金資金6%が失われるということである。それだけでなく、大抵、日本株が下がっている時は、外国株も下がっているので、そこから察すると、政府の年金資金の株への投資割り当てが50%なので、株価の下落幅の半分の規模で年金資金が消失する。つまり、株価が半減したら、年金が25%失われることを意味する。つまり、最近は、10年毎にリーマンショックのような巨大不況が来る傾向があるので、つまり、そのたびごとに年金資金が25〜30%程度なくなるような運用の仕方である。数十兆円規模の年金資金は、規模が大きすぎ、売るのに時間がかかるので、大不況が来る前に、売り抜けるには、この政権は、できるだけ早く潰さないといけない。そうでないと、周期的に来る巨大不況によって、年金が20〜30%なくなってしまうだろう。
- 少数の素人に年金130兆円を任せる“アベノミクス”
- http://president.jp/articles/-/13401
- これについて、大阪経済大学経営学部客員教授 岩本沙弓氏は、こう述べている。
- ということなので、通貨発行による円安と、消費税による物価上昇に苦しんだ上に、株価の下落と同時に年金資金も大量に消え失せ、年金が大幅に減額される可能性が高いのが現状である。故に、できるだけ早くアベノミクスを終わらせないと危険だ。株に50%も年金資金を投じるなんて、常識的にあり得ない割合だ。
5.後世には「悪性インフレをもたらしただけだった」と記録されるだろう
- アベノミクスは国民にお金を配るということをほとんどせず、もっぱら富裕層の口座の数字を増やすだけに終わった政策として、後世に記されることになるだろう。そして、このような国民の財布を痛めつける政策は、度々、政権を転覆させてきたので、安倍政権もいよいよヤバイかもしれない。今まで株価が上がって良くなっているように見えた経済も、物価や株価は上がっても、給与がまるで増えていないので、経済は悪くなっているという実感がより強くなるだろう。そして、その実感は安倍に対して向けられる事になる。御用メディアは、通貨発行でも効果がなかった日本経済と揶揄するだろうが、本当の問題は、見当違いのお金の使い方であって、通貨発行そのものは正しい。これは、クルーグマンなど、ノーベル経済学賞をとった学者も言っている。だが、それを消費につなげるという当たり前の政策をしなかった結果、株価や物価だけが上がって、市民の給与が上がらない結果を招いた。これにより、国民の生活はますます厳しくなる。
- 世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』
- 第94回 クルーグマン教授の結論
- http://npn.co.jp/article/detail/47818205/
- ノーベル賞経済学者クルーグマン
- 「日本経済は消費税10%で完全に終わります」
- http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40411
6.現実と乖離した「ねじれ報道」
- しかし、マスコミは、この大失政を批判しないというねじれ現象が起きる。特に読売、日経、産経、など御用新聞、NHK、日本テレビ、フジテレビ、テレビ東京などの御用テレビ局は、そういう「ねじれ報道」をするだろう。思うに現実と乖離した「ねじれ報道」こそ本当に解消すべき「ねじれ」ではないだろうか。このままだと、悪性インフレに苦しんだ上に、株価の下落と同時に高齢者は年金も減らされて、その上、消費税10%と更なる円安による物価高が襲うのだから、かなり経済状況が厳しくなる。しかも御用マスコミが、それを批判しないという「ねじれ」がこの状況を継続させる。
- この「ねじれ」が限界に達するタイミングは、株価の下落であろう。今回の日銀の金融緩和は、その状況を察しての事だろう。だが、それは根本的に間違った政策の前では焼け石に水、故に最終的にアベノミクスと呼ばれる焼け石でヤケドするのは御用報道を信じ続けた国民自身となるだろう。
- 経済学を少しでもかじれば、いかにアベノミクスが間違っているかわかる。しかし、世の中の人々は、経済学を勉強しないし、大手マスコミが本当のことを報道しないとくれば、多くの人々は、株価などの分かりやすい数字を見て、景気が良くなっているんだと漠然と思うだろう。しかし、なぜ、自分たちの収入が上がらないのか、よくわからないという事になる。重要なのは、消費を増やすことなのだが、その重要性を多くの人が理解していない。(理解していれば、アベノミクスが株を持っていない人には何の意味もないことが分かる)それが現状なのだ。最大の問題は、御用報道であると言える。それによって間違った政策が継続され、日本経済の傷を深くしている。明らかに間違った経済政策を、さも正しい政策のように言う御用マスコミの報道には、吐き気がする。