SKY NOTE

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ドイツに8年遅れている日本の再生可能エネルギー普及率

1.ドイツに比べて立ち遅れる日本の再生可能エネルギー

  • 日本の再生可能エネルギーの普及率は、ドイツに比べて8年遅れている。ドイツの2005年(10%)のレベルで総発電量の10.8%(1006億kWh:850億kWhの水力+その他156億kWh)である。
  • ドイツの人口は8062万人、日本は1億2777万人、日本はドイツに比べて約1.6倍の人口である。2013年のドイツの発電量は5690億kWhで、その内、再生可能エネルギーは、23.9%の1360億kWhである。それに対して、日本の再生可能エネルギーは、1006億kWh(10.8%)である。しかし、人口比で合わせてみるとドイツの再生可能エネルギー1360億kWhを1.6倍にしてみると、2176億kWh相当となる。つまり、日本に比べてドイツは人口比で倍以上の再生可能エネルギーの導入実績を持っている。では、どのようなエネルギーを電気の生産に使っているか具体的に見ていこう。
  • ドイツの発電エネルギー源別内訳(2013年7月1日-2014年6月30日)
  • 石炭      :2770億kWh
  • 原子力     :1190億kWh
  • 天然ガス    : 660億kWh
  • その他(枯渇性): 235奥kWh
  • 枯渇性エネルギー合計:4615億kWh
  • 全発電量:6195億kWh(売電もしているので消費量とは異なる)
  • 2013年ドイツ 発電用エネルギー源内訳(%)
  • ざっと見てみると、石炭(褐炭+石炭)が最も多く45.2%、その次に原発(15.4%)が続く、注目に値するのは、日本では多い850億kWh(9.1%)ある水力発電(3.2%)と少ないかわりに、ドイツでは風力(565億kwh/8.4%)がある事、そして、出力調整の出来るバイオマス発電が344億kWhとかなり多いこと。日本では原発ムラが息を吹き返し、電力会社が供給が間に合っていると買取をしないと言い出す始末だが、ドイツでは、買取は厳密に義務化され、確実に再生可能エネルギーへの移行が進んでいる。

2.ドイツと日本のエネルギーコストの違い

  • 旧体制が勢力を吹き返し、新体制を駆逐している日本に対し、ドイツは、新体制をきちんと政府が保護し、旧体制を駆逐し、継続可能なエネルギー源への移行を着々と進めている事がわかる。ドイツは無理をしているんじゃないかと言われるが、そこのところは、燃料費の安い石炭火力を有効に活用して、移行資金としているようだ。(安い燃料で生まれる利ざやを、電力会社にではなく、再生可能エネルギーに回している)
  • ドイツと日本の電力コスト内訳
  • 日本では、電力会社が、その殆どの収益を得ているが、ドイツは割安な石炭火力のコスト競争力を活用して、その余った収益分を再生可能エネルギー補助金に上乗せしている。これにより、ドイツと日本の電力コストは同等でありながらも、再生可能エネルギーへの投資も進められるドイツに対し、日本の場合は、このコストの上に原発のコスト(割高な電力コスト:15円/kWh+福島第一原発事故処理コスト+原発再稼働に伴う安全対策費用)に再生可能エネルギーのコストを上乗せしないといけないという形になっている。ドイツと日本では、電力コストは同じでも、その中身が決定的に違う。原発というレガシーテクノロジーを引きずり高コスト構造になる日本に対して、ドイツは安い石炭コストを使い次世代エネルギーに投資し、賢く立ちまわっているといえる。
  • ドイツ家庭用電力コスト 2000-2014
  • また、ドイツも産業分野には、割安な電力価格を設定していて、2013年には15.37円/kWhである。これは、日本の産業分野の電力コストと同等である。
  • ドイツ産業用エネルギーコスト 2000-2014

3.遅れた日本の再生可能エネルギーはどうするべきか?

  • だが、遅れた日本にも打開策はある。再生可能エネルギーのコストが下がり、補助金が必要でなくなってきたからだ。つまり、補助金を払わなくても、設備投資に有利な融資制度さえあればいいという状況が生まれつつある。それを示す資料として、アメリカエネルギー省の資料を開きたい。
  • 太陽電池のコストグラフ(2012年:1ワットあたり0.8ドル/80円)
  • 集光型という新しいタイプの太陽電池の設備コストが乗っている。
  • アメリカの集光型太陽電池の写真
  • この1ワットあたりのコスト80円が、どれだけ安いのかというと、平面型の通常の太陽電池のワットあたりのコストは、ヤマダ電機太陽電池で計算すると1ワットあたりのコストが418円である事から分かる通り、集光型は1/5のコストで同等の電力を発電できる設備が導入できるのである。
  • 発電設備1ワットあたりのコスト
  • 平面型:418円/w(23.0円/kwh)
  • 集光型: 80円/w( 4.4円/kwh)
  • ここでも旧体制が流す情報に日本の情報空間は汚染されていて、古いタイプの平面型太陽電池のコストを引き合いに出して、自然エネルギーは高コストだと産経新聞などの御用メディアあげつらうのだが、実は、米国のエネルギー省が指標としているのは、平面型ではなく集光型という新しいタイプの太陽電池で、大幅にコストが安いのだ。大体4円/kWhである。なぜ、ここまで安いのかというと、最も高コストなレアメタルの消費量が発電量あたり、1/1000にできることが大きい。レンズで集光することで1/500の面積で済み、同時に発電効率は倍なので、1/1000のレアメタルの消費量で済むのである。ただし、集光型に使う太陽電池人工衛星などに使う高熱に耐えられる通常の100倍は高価な太陽電池素子を使うので、太陽電池素子自体の実質コストは1/1000×100倍で1/10となる。これが設備コスト1/5を実現する源泉となっているのである。この集光型と地熱発電バイオマス発電、風力発電などを無利子融資制度で普及させれば、補助金の上乗せをせずとも、再生可能エネルギーへの移行は可能である。日本の再生可能エネルギーへの移行に必要なのは、省エネに加えてスマートグリッド電気自動車(電池)の普及である。電気自動車の電池が自然エネルギーのムラを吸収し、その電力を需要のあるところにスマートに電送する送電設備、スマートグリットこそ、日本の電力の向かうべき方向である。
  • 日本の発電エネルギー構成(2010-2030)
  • 年間4兆円程度の無利子融資制度(総額40兆円の日銀引受)を20年程度行えば2030年の日本は、国際競争をそれほどしなくていいエネルギー自給国(自給率70%)になっているだろう。アベノミクスで投じた60兆円よりも少ない額で、日本は再生可能エネルギーに移行する融資資金を得られたのに、それを株屋に渡すというのは、無駄ではないだろうか?一時の株価上昇のために60兆円使うのと将来の日本のエネルギー自給のために40兆円使うのと、どちらが大切だろうか?