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訃報:宇沢弘文さん死去(東大名誉教授 理論経済学の第一人者)

経済学者、宇沢弘文さんが9月18日、午前4時49分、肺炎のため東京都内の自宅で亡くなられた。86歳

 中日新聞宇沢弘文さん死去、86歳 理論経済学の第一人者 2014.9.26
 http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2014092602000260.html

この知らせをネットで見た時、ガクッと来た。というのは、宇沢先生は、テレビに出てくる自由主義経済万歳の三流経済学者と違って、本物の一流の経済学者だったからだ。早くから海外で教壇に立ち、教え子にノーベル経済学賞をとったスティグリッツ教授がいることから分かる通り、非常に優れた先生であることが分かる。一流の人は、人を残すというが、まさにそれを地で行っている人だった。宇沢先生は亡くなったけれども、先生は、その意志を継ぐ人を残してくれた。自由貿易の名の元に世界の人々を経済的に蹂躙するであろうTPPにスティグリッツ教授は反対している。

理経済学の分野で先駆的業績をあげ、経済成長のメカニズムに関する理論は「宇沢モデル」として世界的に知られた。ノーベル経済学賞の候補に名前が浮上したこともある経済学の世界的権威であり、経済成長とは何たるかが分かっている先生だった。そこから見れば、今テレビに出てくる。エセ学者共の「経済成長のためにTPPを」という言葉のなんと薄っぺらいことか、そういう本物の方が亡くなられたのは、社会的な損失と言わざる負えない。

先生は、経済成長を重視し、環境破壊を招いた日本社会を厳しく批判した。地球温暖化問題では、二酸化炭素(CO2)の排出に課税する炭素税の導入や、国際基金の構想なども提唱した。

社会的共通資本という考え方を用いて、経済と社会の共通の利益を追求するという融和的な考え方を提唱し、それによって環境を破壊しないで経済を豊かにするというビジョンを私たちに残してくれた。

TPPにも反対しておられた。YouTube動画にも残っており、それを抜粋する。

  • 宇沢弘文:TPPは「社会的共通資本」を破壊する (2011年2月26日)

豊かな、文化的な、そして人間的な生活がね、営むことが出来るようなね条件を作ると、そのために、実は様々な暮らしの関税政策が必要なんですね。関税っていうのはね。それぞれの国がね。社会的安定と、それから持続的経済発展を求めてね。そして独自の立場から、関税体型を考えていくわけですね。あの〜...どの国もそうです。それを全く根拠のない自由貿易の命題をね、使ってね、関税障壁を撤廃する事が、あの〜なんかこう..素晴らしい世界を生み出すというようなね。「虚構」にとらわれていると、それはね。ジョン・ロビンソンも言ったように支配的な帝国にとって都合のいい考え方であるということは、私、繰り返し強調したいと思うんですね。

宇沢先生の提唱する社会共通資本とは、環境資源、教育、福祉、医療など、地域の経済文化を維持していくために不可欠なものを指し、川とか山とか水源地とか農地などの自然環境は、私有財産であるが、同時に社会的共通資本でもあると、よって、それらを法的に保護、または管理し、経済の理屈のみによって取引し、破壊することは、人の豊かで人間的な生活を営む事に逆行すると述べられている。経済学の世界的権威が、そう述べていることからも、その法的保護を関税撤廃によって破壊するTPPがいかに問題のある貿易協定であるかが分かる。宇沢先生は亡くなられたが、その教えを受け継ぐ人と考え方を私たちに残してくれた。優れた人は、いいものを残してくれる。その残したものの中に宇沢先生は生きている。私も図書館で先生の本を借りて読むことにする。まだ、生きてて欲しかった。宇沢先生にTPPが潰れるのを見せたかったと、亡くなられた今になって思う。自分も宇沢先生の死を胸にTPPを潰そうと思いを新たにした次第です。

 

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