SKY NOTE

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「株価だけ」上がっても意味が無い。

株価が上がっているから、経済が上向いているという主張は経済のことを知らない人の言うことです。というのは、株価が上がって良いのは、企業が、その株を担保にして資金調達がしやすくなることですが、デフレで需要が細っている時に、資金調達をして設備投資をして生産性を上げても、デフレで生産物が売れないので意味が無いわけです。

この状態で株価が上がって喜ぶのは、その株を持っている投資家だけです。皆さん、株価が上がって皆さんの給料上がりましたか?上がらないでしょう。ものが売れないデフレ下の企業にとって株価の上昇には大きな意味はありません。ものやサービスが売れるように需要を増やさないといけないのです。これは、日銀がお金を発行して、一般庶民にお金をばらまく政策が正しいのです。その効果を最大化するためには、省エネ機器や自然エネルギーに向けて日銀が発行したお金で補助金を出すことです。日本は化石燃料に年間27兆円も外国に払っていますので、省エネや再生可能エネルギーは、国内の内需をふくらませ、外国に流出する外貨を減らします。また、なるべく、お金のない人に配るのが効果的です。なぜなら、お金のない人ほど、右から左へお金がよく流れるからです。

大体、日本人の貯蓄率は10%と言われていますが、これは収入の10%が貯蓄に回るのではなく、収入から生活費を除いた可処分所得の10%なのです。これを年収400万円の人で計算してみましょう。日本人の平均的な生活費は15万円です。

 400万円-180万円(15万円×12ヶ月)=220万円
 貯蓄率10% 220万円×10%=22万円
 400万円−22万円=378万円(94.5%)が消費される

デフレ下で消費を増やすには、収入の少ない人にお金を配るのが正しい景気対策です。そして、その消費が一定以上を超えると、景気が好転するのです。それは機械に例えるとエンジンプラグのようなものです。十分に庶民にお金を配れば、経済のクランプシャフトが回転し始め、景気というエンジンがかかるわけです。

お金持ちにお金をやることは、デフレ下の経済において最もやってはいけない経済対策です。正確に言えば経済逆行政策と言ってもいいでしょう。お金持ちは、入ってくる量に対して、出す量が少ないからお金持ちなのです。いわば、お金を貯めるプロです。つまり、彼らにお金を渡しても貯めこむばかりで使いません。つまり、消費が増えません。そんな人達にお金を渡すアベノミクスが経済学者にアホノミクスと言われるのは、当然なのです。そして、その金持ちにお金を渡すような株価上昇政策をによって経済が良くなっているという主張も、間違っているわけです。なぜなら、デフレ下では、それは全く意味が無いばかりか、消費を増やすのに最も効率が悪い方法であり、まず、100%やるべきでない事だからです。

本来やるべきは、福島の人々を移住させたり、放射能汚染された農地に賠償金を支払い、その賠償金を原資として農家に空いた土地で電気(集光型太陽電池)を作ってくださいと頼むことです。そのための無利子融資制度などに必要な原資も通貨発行による資金を使うべきなんです。また、格差を是正するべく、税制を改正し、非正規雇用率が高い企業ほど、法人税を上げるなどして、格差を是正し、低所得者を減らすことです。それだけのお金があるのかと言われますと、あるんですね。非正規を正規に変えるのに必要な額は単純計算では、28兆円(140万円×2000万人)です。しかし、実際に必要なのは16兆円です。

労働人口労働力調査 (基本集計)平成26年(2014年)7月分(速報).pdf

平均賃金(平均賃金は過去の平均値、労働人口は最新の情報)
 正規社員 :430万円(3307万人:2014年7月)142.2兆円推定
 非正規社員:260万円(1939万人:2014年7月)50.4兆円推定
 失業者  : 0万円(248万人:2014年7月)
 合計   :192兆円推定(5200万人:2014年7月)

平均賃金
 正規・非正規:400万円(5400万人/完全雇用
 合計    :216兆円

差額
 216-192=24兆円

完全雇用、非正規消滅には、24兆円必要ですが、そんな金が企業にあるのかと聞かれる方もいることでしょう。実は24兆円ではなく16兆円あればよく、そして、その16兆円は企業の利益総額24兆円以下なのです。

 2012年法人企業統計(2008年〜2012年).pdf
 配当金 :13兆9574億円
 内部留保: 9兆8769億円
 合計  :23兆8343億円

なぜ、8兆円いらないのかというと、それは、冒頭で説明したとおり、低所得者の賃金の94.5%(年収400万円の場合)が消費になることと関係します。つまり、16兆円給与を上げれば、その94.5%が消費に回り、そして、その消費の40%が賃金になるのです。よって、これを4年繰り返すと、大体、賃金が24兆円増える計算となるのです。

ただ、これを実現するのには、ちょっと面倒なことがあるのです。実は、この利益の大半は大企業に集中しており、それは日本の企業全体の30%に過ぎません。つまり、70%の中小企業は、給料を上げたくても、それが出来る利益を出していないのです。ということは、黒字を出していて、非正規を正規にできる資金力のある大企業に対して、減税をしているのはおかしいと思いませんか、非正規率の高い企業に対して、子会社を含めた連座制を設定した上で、その率に応じて法人税増税するべきだと考えます。元々中小企業は赤字が殆どですから、この法人税増税の影響は受けない。黒字になっている大企業に対し、非正規率が高い企業は法人税が高くなり、税金払うよりも給与を上げた方が会社にとって利益になるという状況を作り出し、まず、大企業から非正規率を下げていき、格差を是正していくのです。大企業は、税金を減らすため、子会社も含めた非正規率の削減に努めなければならなくなり、同時に非正規雇用の規制も強化し、正規雇用を増やしていく事が必要と考えられます。

日本の価格競争力がという人もいると思いますが、大企業の利益の中からお金を引き出し、国内の需要を増やす事で景気を回復するという事なので、問題はないのです。お金持ちに渡る配当金や内部留保の合計が16兆円減って8兆円になるだけです。

  • 大企業の内部留保(2011年の段階で262兆円もあるので余力はあるはず)

このようにして格差を是正していけば、可処分所得が増えます。どの程度増えるのかというと、非正規が正規になると、以下のようになります。

 収入260万円-生活費180万円=可処分所得80万円
 収入400万円-生活費180万円=可処分所得220万円
 220万円÷80万円=2.75倍

この220万円という額が何を意味するのか、それは、若者が車や家を購入でき、結婚して子供が育てられる額なのです。つまり、人並みの幸せの額です。そのお金を金持ちのジジイに渡しているのが、アベノミクスの実態です。だから、馬鹿らしくて、アホノミクスと呼ばれるのです。

格差是正と並行して、省エネや再生可能エネルギーへの投資によって、エネルギー自給率をあげていいけば、長期的に考えて、日本人が生活に困ることはありません。競争力というのは外貨を稼ぐために必要なのですが、自給してしまえば、その限りではないのです。それに再生可能エネルギー市場は将来の巨大マーケットになり得るため、これに投資することは競争力が増すことになります。また、競争に負けた際には、エネルギー自給率の改善で貿易赤字を減らすという効果もあり一挙両得なのです。つまり、再生可能エネルギーに対する投資というのは、日本にとって二段構えの備えをすることになるのです。競争に勝つための投資であり、負けた時でも、エネルギー自給率の改善で国内の経済を支えるという。非常に重要な投資と言えます。

このように格差是正と自給政策の組み合わせによって、日本経済を安定させること、これがデフレ下の日本経済にとって本当にやらなければいけない経済対策であって、そこからすると、アベノミクスは、格差拡大、原発再稼働という全く見当違いな政策を実行しており、それによって上がった株価上昇もデフレ下の日本経済にとってはほとんどメリットがなく、投資家(国内投資家70%+外国人投資家30%)が儲かるだけで、私たち庶民には全く意味が無い政策なのです。デフレとインフレの違いが分かっていないと、株価が上昇したら景気がいいと思いがちですが、経済的に見ると、それは、必ずしも妥当とはいえないのです。