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「年収は住む所で決まる」日本の低迷の理由

年収は住む所で決まるという記事を読んだ。

 『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』
 http://www.lifehacker.jp/2014/09/140901book_to_read.html

それによると...

ある都市でイノベーション産業の新たな雇用が生まれると、それ以外の業種の雇用もつくり出されることになる。科学者やソフトウェアエンジニア、数学者などの雇用が増えれば、タクシー運転手、家政婦、大工、ベビーシッター、美容師、医師、弁護士、犬の散歩人、心理療法士など地域のサービス業に対するニーズが高まる。地域レベルのサービス業で働く人たちは、ハイテク企業の社員たちが暮らす地域に集まり、そこで求められるニーズに応えていくというわけです。

つまり、その場所で、特定の産業が発展すると、その産業に従事する人たちを支えるために他の産業も発達し、結果としてその場所の経済価値が高まり、ドミノ的な連鎖によって年収が決まる。つまりイノベーションを起こす場所に住むと年収が上がるとのこと

この点について、そのイノベーションを起こすのには、インテリジェンスが必要ですが、その点について、大卒労働者と高卒労働者の賃金格差については...

大卒者と非大卒者の賃金の格差がこれほどまでに拡大しているなら、どうして大学に進む若者が増えないのか? この謎を突きつけられると、たいていの人は、大学の学費の上昇を理由に挙げる。(296ページより)

ただし同時に注目すべきは、「もうひとつの要因」にもあると著者は言います。それは、友だちからの影響。大学に関心を持たない友だちの間で育った若者は、大学を目差す友だちに囲まれて育った若者に比べて大学に進む確率が低いというのです。つまり経済的な事情もさることながら、大学進学率が充分に上昇しない本当の理由は、若者たちの高校時代よりも前の段階にあるということ。だから、幼児期に子どもたちに「投資」しなければ、大学に進学する若者を増やすことは難しい

ここでは、大学に進学する子供は、そういう友達のいる環境に左右されるとのこと、つまり、大学進学に興味のある子供のいる環境、そう言う場所に大学進学者が生まれ、それが、ゆくゆくは大卒労働者となって年収に影響する。ここでは、友達環境ということ。そういう友だちのいる場所にいると年収が高くなる傾向にあるということ。

また、日本が勢いを失ったり烏有については...

1980年代、日本のハイテク産業は世界の市場を制していたが、この20年ほどで勢いを失ってしまった。特に、ソフトウェアとインターネット関連ビジネスの分野の退潮が目立つ。運命が暗転した理由はいろいろあるが、大きな要因の一つは、アメリカに比べてソフトウェアエンジニアの人材の層が薄かったことだ。(313ページより)

ソフトウェアエンジニアの不足が、イノベーションへの適応を遅らせ、ソフトウェアとインターネット関連のビジネスが発展せず、勢いを失ったとのこと。確かにそのとおりだと思う。

この内容を見て、自分が思ったのは、確かに日本のハイテク製品にはソフトの力が足りないと思っていた。例えば、カメラの手ぶれ補正ひとつとっても、ソフトでもやっているが、より高度なソフト処理をすれば、もっと手ブレを減らせるのに、低レベルなソフトしか搭載されていないなど商品の付加価値に影響する分野で、立ち遅れている。

3Dカメラにおいても、解像度の低いセンサから奥行き情報を高精度に得るためには、ソフト技術は必要で、そういう面では外国のものは多いが日本は少ない、3Dカメラは日本製でも中のソフトは外国製という事になる公算が高い。

年収を上げる場所
1.イノベーションを起こす地域
2.イノベーションを起こす人材が豊富の場所
3.高学歴な人材が沢山いる場所

日本は、所得格差とゆとり教育によって、高学歴な人材を減らし、コンピューターエンジニアを使い捨てにするような劣悪な雇用環境によって、そのなり手を減らした結果、イノベーションに立ち遅れ、競争に負けた。

日本のするべきこと
1.所得格差を是正し少子化を食い止め
 消費税廃止/TPP脱退/非正規規制強化:同一労働同一賃金
2.優秀な学生は有利な奨学金制度によって、大学まで行かせて
 特Aクラスの学生:学費の全額を国が補助
 Aクラスの学生 :学費の半額を国が補助、もう半額は無利子融資
 Bクラスの学生 :学費の無利子融資(親の所得が低い学生に限る)
3.ゆとり教育→コンピューターエンジニアを増やす教育(ハイテク教育)
 学校の週休二日はやめ、理数系を中心に教育カリキュラムを立て直し。
4.プログラマーなどのエンジニアの待遇改善と給与アップ
 プログラム単価の相場を上げ→グローバル展開(世界から収益を得る)
5.優秀な人材が集まる都市を建設
 指定開発都市、環境、IT、医療、様々な専門分野の優秀な人材を集める

質の高い教育、質の高い都市、質の高い労働環境、公平な雇用慣行など、日本がするべきことは多い。90年台、日本はゆとり教育で教育の質を劣化させ、優秀な人材を集約する事を怠ったため、世界の都市間競争で敗北、学資予算も削減し、株にばかり金を出す始末、雇用も非正規の拡大で格差を拡大、イノベーションをけん引する高学歴な人材の欠乏、その上にプログラマーなどの重要な労働者の待遇は諸外国に比べ低く、労働者の欠乏をも引き起こし、最終的に教育の競争に負け、都市間競争に負け、雇用競争に負けた結果、諸外国に比べてイノベーションが立ち遅れ、結果として、収益を改善できずにいる。問題は、イノベーションを起こす環境の整備を怠り、もっぱら、企業に対する減税や補助金など、旧来の政策に固執したため、優秀な人材を生む環境を作れず、低迷することになった。つまり、日本は過去の成功にあぐらをかいて所得を生む環境の整備を怠ったのである。

 「日本はカネを動かしてばかりで場所を作るのを怠り負けた」

イノベーションを生む環境づくりをせず、国は教育を怠り、企業に金を渡すだけだった。企業はその金を貯めこむばかりで、重要な人材の給与や教育に振り向けるなど将来に向けた建設的な投資を怠った。それが敗北の原因だったのだ。企業への優遇税制をやめ、より優れた奨学金制度の整備、教育の改善、都市への投資、公平な雇用慣行の整備などやるべきことは沢山ある。これらは1990〜2000年台の誤った政策によって劣化したものが多い。これを反転させ、競争力の強化を図るのである。