世の中には、外見でそれとわかる無秩序と、形式が整っていて、見るからに秩序のようにみえるのだけど、その実態は極めて凶悪な無秩序をもたらすものがある。デモを行っている人間を秩序を乱すならず者としてみる人間がいる。彼らは、歴史を知らないし、具体的に何かを考えているわけでもない。ただ、外見的に見て、それを判断しているだけだ。だから、デモなどをする人間を否定する。
だが、実際は、デモをする人たちの方が秩序であり、それらに批判されるものが無秩序なのだ。原発問題では、福島の人たちを高濃度汚染地域から移住させない事をデモをする人たちは批判している。なぜならば、チェルノブイリで移住区域とされる線量の土地に未だに福島の人たちがいるからだ。しかし、政府は、その地域を安全だと言っている。外国の政府が市民を移住させた線量の場所をそう言っている。
参考資料:空間線量率 μSv/hの数値で、直接 チェルノブイリと比較する
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20110920/1316524394
チェルノブイリ(旧ソ連:空間線量 セシウム137)
強制避難 :5.36 μSv/h以上 (年間47.0mSv以上)
強制(義務的)移住 :2.01~5.36 μSv/h(年間17.6-47.0mSv)
希望すれば移住を認める:0.67~2.01 μSv/h(年間 5.9-17.6mSv)
放射能管理が必要 :0.13~0.67 μSv/h(年間 1.2- 5.9mSv)
日本のあたらしい安全基準(3.11後 年間1.0msv→20.0msvへ変更)
移住(義務) :2.28μSv/h以上 (年間20.0mSv以上)
この基準に照らし合わせて、旧ソ連と日本の、政府の移住補償のある領域を重ねあわせると、以下の様な図になる。
移住補償(旧ソ連との比較)
強制移住区域はだいたい同じだが、希望移住区域で2倍程度の開きがある。
大体、ソ連では2μsv/hを超えれば、強制移住、0.67μsv/hでも希望すれば移住を認め、仕事と住む場所が提供された。さらにこれらの地域を避難の権利地域とし、以下の補償が取られた。
チェルノブイリ法」の避難基準と放射能汚染マップ
http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-13030
チェルノブイリ法が定める移住の権利地域の住民
1.国家の負担による追加医療保障(毎年の健康診断、薬剤の無料供与)
2.非汚染地帯でのサナトリウム治療(保養)と追加の休暇
3.妊婦に対する居住地域外での延長休暇
4.月に100米ドル相当の支払い(健康増進用、追加食品用)
5.年金の30%割り増し
当時財政的にも厳しかったソ連であっても、国民にこれだけの補償をした。しかし、世界第三位の経済規模を持つ日本が、そのソ連に対して、低い基準で国民を扱っていることは、理不尽極まりない。安倍政権は、通貨発行で60兆円も株にお金を出し、消費税増税を原資とする法人税減税で配当金を釣り上げたり、富裕層のご機嫌とりをするのであれば、これらの区域に住んでいる70〜100万人の人々のために、一人あたり1000万円の住居保証金を払っていいはずだ。その額は7〜10兆円程度であり、発行した60兆円から十分払えたはずだ。そういうお金を出さないことこそ無秩序だと私は思う。なぜならば、お金持ちは、何不自由なく暮らせるのに、放射能汚染で本当に困っている人たちには、その数分の一のお金すらケチる政権こそ、公平を欠き、秩序を乱す存在だろう。
福島の人たちの立場にたてば、金持ちには60兆円も使うのに、自分たちには数兆のお金すらケチる政権、そういう事をしている者こそ秩序を乱す存在だと思う。デモに行く人々は、そう言う秩序を求めるために、政府に抗議をしている。それこそ、真の秩序だと思わないか?外見上の見た目ではなく、きちんとデータをみて、文章を読んで、適切に判断すれば、誰が秩序を乱す者なのか一目瞭然だと思う。