SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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日本が軍事力で交渉テーブルに登れるなんて絵空事である。

子供の頃、テレビの前で親父と第一次イラク戦争の事を話していた。その中でイラクはなぜ負けるのかという事を親父に聞いたら、「兵器の性能が違いすぎるから」と言われた。要するに現代の戦争は兵器戦であり、その性能によって勝敗が決まる。

さて、集団的自衛権で軍事力を強化すれば交渉テーブルに登れると考えている人がいると思うが、その戦争の趨勢を決める兵器という視点から見て、それは絵空事であることが分かるのだ。というのは、交渉のテーブルに登るためには、お互いが対等でなければならない。しかし、現代の兵器は、防御兵器よりも攻撃兵器のほうが圧倒的に優位な状態なのである。この不均衡が何をもたらすか、攻撃すれば確実に当たるから、それは一度戦争が起きれば、武器の量の多い方が勝ちなのである。冷戦時を考えてみれば、米ソが拮抗していたのは、その兵器において拮抗していたからである。

だが、経済的に見て、今や中国より経済規模が劣る日本が、同等の兵器を持とうとすると、ソ連のように経済が破綻する。日本は戦争をする前に経済で敗北することになる。つまり、この交渉のテーブルに登るということは、経済面から見て、まるで現実性がない。お花畑の論理である。

また、中国も日本と戦争することにはメリットがない。なぜなら、中国は、日本のマザーマシンを手に入れないと自国の工業力を維持できないのだから、よって、中国が攻めてくることはない。中国は、周辺の小国を軍事力で脅すことは出来ても、日本を軍事的に攻めることは難しい。中国が日本を攻めるシナリオは、日本が中国を攻めた時である。つまり、安倍政権のような好戦的な存在が実は日本にとっても最も戦争のリスクを上げる存在なのである。

軍事力があれば国が守れるというのは、近代兵器戦を理解していない。特に核兵器の存在を理解しておらない。また、核のリスクも理解してない。科学の知識がないというものである。知識が圧倒的に欠如しているので昔の槍と盾と同等の発想で戦争を捉えている。近代兵器戦では、兵器の性能を見れば、防御できない兵器、特に弾道ミサイルを使われた段階で、終わりである。先にその兵器を使われた瞬間に勝負が決する。

孫子の兵法にもあるように、戦争は戦う前から勝負が決している。よって、趨勢を見極め勝てる見込みの無い戦争は絶対してはならないと戒めている。軍事力の比較、兵器の破壊能力の比較、経済規模の比較、そのどれも、ハッキリ言って日本は中国に軍事的には勝てない。だから、孫子の兵法に則れば絶対、戦争をしてはならないという事になる。では、孫子の兵法は、そう言う状態の時、何をすればいいと言っているのかというと、諜報と外交を重視せよと言っている。つまり、情報戦で戦えと言っているのである。

戦後の日本がなぜ平和でいられたのか、その要因は、単に日米同盟だけではない。その背後には優れた技術力で他国に恩恵を与えてきたからである。つまり、軍事力によらずとも、それ以外の力で国を守る術はあるのである。外交と経済、中国の経済(工業力)を支えている日本を、軍事的に攻撃するのは、中国にとって損である。損である以上することはない。この状態を維持する事こそが、小国日本にとって、国を防衛する最大の盾となりうるのである。それは孫子の兵法に完全に合致する正しい戦略なのである。「戦わずして勝つのが上策」

私は、軍事力を高めるという人の理屈を聞く時、自分は思うのだが、「では、どの程度の軍事力を持てば中国との交渉テーブルにつけますか?」と質問してみたい。正直いって、これに答えられる人はあまりいないだろう。それをまともに考えたら、金が足りないことに気づくはずだからだ。まず、戦略の方向性から間違っていることに気づかないといけない。現実を直視して、身の程を弁えなければいけない。特に戦争について論じるのであれば、そうでなければいけない。

自分より、はるかに賢い相手と対決した時の怖さを知らない人が多すぎる。ケンカを売ってはいけない。かなり怖い(危ない)から、やめたほうが良い。