Amazonが「Fire Phone」というスマートフォンを発表した。(現地時間シアトル:2014.6.18)なかなか面白い機能が内蔵されている。
アマゾン「Fire Phone」スマートフォンの実力は?
--「iPhone 5s」「GALAXY S5」と比較
http://japan.cnet.com/news/service/35049613/
まずはスペック確認
ディスプレイ:1280×720(315ppi)円偏光を用いた反射防止コーティング
OS :FireOS 3.5.0(Androidベース)
ワイヤレス :4GLTE、802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)
Bluetooh3.0
カメラ :前面:2.1Mpixel(1080pビデオ)
+ 4ch赤外線センサ(120度)
後面:13MPixel(1080pビデオ:F2.0/光学手ブレ補正)
プロセッサ :2.2GHzクアッドコアSnapdragon 800
グラフィック:Adreno 330グラフィック
メモリ :2GB
ストレージ :32ギガバイト/64ギガバイト
拡張メモリ :なし
バッテリ :最大11時間(オンライン利用)
最大12日間待ち受け(2400mAh)
カラー :ブラックのみ
サイズ :139.2mm×66.5mm×8.9mm
重量 :160g
キャリア :AT&Tのみ(米国)
価格 :199ドル(2年縛り)
ざっと見ると、現実的なスペック、画面解像度は1280×720で315ppiと、基本的にこれ以上細かくしても分からないレベル。大体300ppiを超えると、もはや、あまり変わらない。これ以上スペックを上げても、液晶の透過率が下がったり、処理するプロセッサの負荷やメモリ容量が大きくなって遅くなったり、バッテリの無駄遣いなので、これは現実的なスペック、4コアプロセッサと2GBメモリ、32ギガバイトのフラッシュと、順当なスペックで、十分なパフォーマンスといえるだろう。スマートフォンとしての基礎体力は十分といったところ。
注目は、「Fire Fly」と3D表示機能の「Dynamic Perspective」だろう。
engadget:米アマゾン 新製品発表イベント速報。Fire Phone 発表
http://japanese.engadget.com/2014/06/18/amazonphone/
まず、3D表示のDynamic Perspectiveから見てみよう。
Amazon Fire Phone: Firefly y Dynamic Perspective en acción
小さな小窓から、立体映像を覗く感じ、これは、目の位置と端末の角度などを比較して3Dに見えるように画面を動かしている。目の位置の把握や距離の判定は赤外線センサ(4ch中2chを使用)で行っているようだ。前面カメラの方向に赤外線センサがあり、これを2ch使うことで奥行き情報を得ている。4ch中2chしか使わないのは、持ち方によって手で隠れてしまうため。
これらの赤外線センサによって、顔を追跡し、その目の位置と3D映像の角度を調整することで立体に見せるようにしている。
この機能は、似たような機能のソフトがiOSでもあったので意外と立体に見える。これをAmazonの商品写真に応用するということなので、これから、Amazonの商品写真が3Dで見られるのも、そう遠くない。ある意味重要なのは、この3D表示機能よりも、Amazonの商品写真に3D写真が加わることかもしれない。これによって、商品の立体的なイメージを掴める。また、この赤外線センサーで本体に触れること無くゼスチャーで操作できる機能も搭載している。このセンサは、とても消費電力で専用プロセッサで画像を処理しているという。この機能で重要なのは、角度に応じて物体の見え方が変わること。これを実現するためには人間の目のスピードに合わせた滑らかな3D表示が必要になる。だから最低60fpsは必要だろう。恐らくAmazonは、この機能を搭載するためにも画面の解像度をフルHDにしなかったのではないかと思う。
自分が注目しているのは、この機能のバックグラウンドにあるであろう画像フォーマットだ。通常の2chの視差成分のみを記録した3D写真と違って、見る角度によって変わる情報を含んでいる為、奥行き情報を記録した3D写真フォーマットを採用しているとみられる。現在はFire Phoneは、人間の顔をトラッキングして、それに合わせて画像を調整しているだけのように見えるが、この仕組みは、デジタルカメラを変えてしまう可能性を秘めている。光学センサ1chと2chの赤外線センサーで奥行き情報を手に入れた3Dカメラの時代が来るのではないかと思う。もっと言えば、将来的にディスプレイが120フレーム表示になれば、シャッターメガネと連動して、目の位置に合わせた立体表示+2chの視差情報を含んだリアルな3D表示が可能になる。それが大型テレビに採用されれば、画面の向こう側に、まるで、そこに実際に、それが存在しているかのような錯覚を生じさせるディスプレイが登場する。目の位置と連動するので一人しか見れないが、感じとしては、浮き上がっている上に、クビを動かして視点を変えると人の顔の見える角度が変わる様な感じ。
Fire Flyは、カメラと連動した音声、画像認識サービスで、目の前にあるあらゆるものをアマゾンの商品音声、画像データベースと照合して、それが何であるか即座に表示する。詳細は以下のページにある。
ASCII:アマソンのFire Phoneの新機能「Firefly」を使ってみた
http://ascii.jp/elem/000/000/906/906218/
1.テレビや映画のシーンの認識
- 現在視聴している動画や音声を認識し、タイトルやエピソードを教えてくれる。(Amazonが取り扱っているテレビ映画や映画に限定)
2.本、DVD,音楽、アート、その他
- 本など、あらゆるメディアをFire Flyボタンを押して認識すれば、即座に表示し、それを後で購入するためにブックマークすることも出来る。音楽もメロディを入れれば、歌詞、曲名からアーティストまで分かる。
3.食べ物(MyFitnessPalの栄養情報)
- Fireflyで食べ物をスキャンすると、今食べているポテチのカロリーとかも分かってしまうという。または、健康管理アプリMyFitnessPalとの連携によってカロリー値や栄養情報まで分かってしまう。
4.電話番号とURL,メールアドレス
- FireFlyをあらゆるテキストに向ければ、OCRになる。看板のテキスト、電話番号、URL、電子メールなど、あらゆるテキスト情報が文字情報に変換され利用できるようになる。
5.FireFlyの履歴
- FireFlyでユーザーが調べたすべての商品の履歴が表示される。これによって、気になった曲や商品を思い出したり、後で、調べるのに便利だろう。
6.FireFlay SDK
- FireFlyのSDKは公開され、サードパーティが自由に使うことが出来る。
- https://developer.amazon.com/public/solutions/devices/fire-phone/docs/understanding-firefly
Fireflyは実世界で遭遇する人、物、場所を対象に「即座に認識しアクションを起こせる」機能だという。
よって、人の顔を覚えさせれば、名前くらい朝飯前で認識してくれそうな機能だが、そういう機能は提供していないようだ。あくまでもAmazonの商品情報と合致させる事がメインのようだ。(まぁビジネスだからそうだよね)このFireFlyを使うと、ユーザーの購買意欲を把握するのに必要な高品質なビッグデータが手に入る。これをamazonがやるかどうかはわからないけど、やろうと思えば出来る。調査履歴をユーザー情報と分離して記録し、それを分析すれば、顧客がどんな商品に興味を持ち、何がほしいのか分かるようになる。つまり、amazonの商売にとって非常に重要な情報が手に入る。