SKY NOTE

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児童ポルノ法改定の修正案、衆議院法務委員会に提出

児童ポルノの単純所持を違法とする事を柱とした児童ポルノ法改定の修正案が、自民、民主、維新、公明、結いの5党でまとまり、今国会に提出する見通しとなった。修正案は6月4日に衆議院法務委員会に提出

 児童ポルノ改正法成立へ 所持に罰則、漫画などは対象外
 http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/03/child-porno-laws_n_5441547.html?utm_hp_ref=japan-politics

内容は、児童ポルノの定義が曖昧だった箇所を、厳密にして、小さな子供の裸の写真を持っている親や家族が逮捕されないような形となっている。

 児童ポルノ禁止法改正案 法案要綱(全文)
 http://blogos.com/article/87876/

いわゆる三号ポルノの定義を「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」に改めること。(第二条第三項第三号関係)

また自公維の付則にあった

「政府は漫画、アニメーション、CGなど児童ポルノに類するものと児童の権利侵害の関連性について調査研究を推進する」

という文言が修正案では削除された。これは、「ドラえもん」のしずかちゃんの入浴場面までが児童ポルノになりかねないといった批判があり、漫画家や出版界から強い反発があった。

児童ポルノを定義する文言が、実在の少女に限定されたのは、正しい形といえるだろう。というのは、ポルノ自体は、各国の統計から見ると、性犯罪を抑止していると考えられるからだ。統計では、ポルノが増加している時期、VHSビデオの普及、DVDの普及、インターネットの普及の時期に性犯罪は減っている。そして、ポルノ(エロ本やエロビデオ)を規制すると性犯罪が逆に増える傾向があることから、仮想物ポルノは、規制せず、児童虐待のみを規制するという点に文言が改められたのは、正しかったのではないかと思う。

「ポルノが性犯罪を誘発する」のならば、ポルノ(エロ本やエロビデオ)が爆発的に増えた時期に、性犯罪が増えなくてはいけないが、統計では逆に減っている事から、この仮説は、統計的に見て説得力がない。また、規制が出来たから届け出がしやすくなったという説明では、規制ができた時に性犯罪が増える部分を説明できても、規制がなかった時期、特にポルノが増えている時期に性犯罪が減っている事を説明できない。

 児童ポルノ法が性犯罪を増やしたという根拠
 http://d.hatena.ne.jp/skymouse/20140430/1398800010

罰則は

自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とすること。(第七条第一項関係)

要するに児童ポルノは麻薬と同じ扱いで持っているだけで捕まえることが出来るという状態になる。これは、刑法上、問題があるかも知れない。というのは、法律ができる過去にさかのぼって規制できることになるからだ。そんなエロ本すてちまえよと思うかもしれないが、これは、そのエロ本の適用範囲が広がった時に問題が起こる。戦前、戦中の治安維持法に同様の問題があり、その適用範囲が広がることで、政府の気に入らない特定の思想(考え方)を根絶やしにする事ができるからだ。ただし、自民党を政権に登らせてしまった以上、このような状態になることは目に見えていたわけで、そこからすれば、まだ、今回の改定案は、マシである。今後はその適用範囲が、子供の権利を守るものに限定されるように政府を監視する必要があるように思える。

治安維持法について>

  • 戦前、日本の民主主義を破壊した天下の悪法、治安維持法は、最初に如何わしい物の規制(エロ本みたいなもの)からはじまり、それが大体、3段階をへて、民主主義を破壊するまでに成長した。その経緯を以下の様なものである。
  • 治安維持法の成長過程
  • 1.如何わしい物を規制するという事で誕生
  • 2.規制が強権化 ←今ココ(特定の情報を持っているだけで処罰できる)
  • 3.規制の対象が広がり、民主主義の根幹である言論の自由が消滅する。

なるべく、第三段階の最終形態に達する事は阻止しないといけない。そうしないと、市民の言論が封殺され、独裁政治という暗黒の時代が来てしまう。

仮想物のポルノまで規制した場合、性犯罪が増えることが予想され、問題視していたが、それがなくなったのは良かったと思う。内容が内容なだけに反対運動などは表立って行われた様な感じがしないが、集団的自衛権解釈改憲による戦争容認や、残業代ゼロ、原発再稼働を無理やりやる政府を見ていると、これは、まだ子供を守るという哲学を守っている点でマシに見える。ある意味、一定の勝利と言って良いのではないかと思う。

言論規制という観点から見て、法律の強権化を許してしまった点は問題があるものの、その範囲は、文言を見る限り限定されており、これはまだ、想定よりもマシであったと自分は思う。これが適用範囲が広がってしまうと、かなり怖い法律になる。なにしろ、特定の情報を持っていただけで犯罪に出来るのだから、政府に都合の悪い情報を徹底的に規制できる法律になってしまうので、その点については今後、留意しておかないといけない。