SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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構成力はあるが、構想力がない日本企業

Appleが他のメーカーと違うところは、その構想力である。昔のSONYも同様の構想力を持っていたが、成果主義を導入した後、その力はなくなった。どうやら、成果主義のような実務主義的なルールは、構想力を摩滅してしまうものらしい。Appleは、成果主義というよりもビジョン至上主義の企業なので、ビジョンを実現するために全体が統一した行動が取れるが、SONYのように成果主義を導入すると、業績を達成するために、ひたすら、コストダウン、ハイスペック化などの構成力が求められる。だが、それでは人件費の安い途上国とのコスト競争において敗北は目に見えている。つまり、最初から負けることが確定した戦場で戦っている。この場合、構想力をベースにした新しい市場、つまり、自分たちが勝てる戦場で戦うのが正しい選択なのだが、そういう闘い方が出来ない。なぜなら、構想力が何であるかわからないから。実務主義というのは、夢を徹底して持たないことで結果を出す方法論であるから、構想力のような理想主義は最初からバカにして切り捨てているのである。

ジャンプの編集者がこう言っていた。「いいアイディアなんて簡単に思いつく、問題はそれを、面白い漫画に出来るかだ」しかし、私に言わせると、そのジャンプ、ここ10年でナルトやワンピースを超える作品を作れたかと聞きたい。ハッキリ言って出来てない。それは、構想力の大切さをバカにして切り捨てているからだ。つまり、間違った方向性で物事を見ているから、大作を作ることが出来ない。

よく、その道に優れた人は、いとも簡単にそれをやっているように見えるが、実際にやってみると難しいというのがある。構想力も同じで、軽いジョークのつもりで喋った事が非常に素晴らしいアイディアだったりする。それは、とても軽いように思えるけど、実際には、それを真似することが出来る人はあまりいないと思う。なぜならば、世の中には、優秀な実務家というのは掃いて捨てるほどいるのだが、もし、良い構想が簡単にできるのならば、日本には優秀な実務家はたくさんいるのだから、その構想力を持つものに構成力のある実務家がタッグを組めば、日本は世界一のメーカーや世界一のコンテンツが作れるクリエーターが沢山いる事になる。でも、実際には、そうなっていない。

それは、優れた構想力を評価する土壌の貧困さ(成果主義など)や、あるいは、そういうものを生み出す事が、実は思っていたよりも難しいからなんだと思う。つまり、構想力を馬鹿にする文化が日本にはある。故にAppleGoogleに負ける。

構想力とは、実際に出来るかよりも、実際にできたらいいなと思うことから始め、それに現実を近づけるには、どうしたらいいかという考え方の手順なのだ。つまり、夢から始まって現実に帰結するのが構想力、現実から始まって現実に帰結するのが構成力、構想力のない人間の問題点は最初のステップにある。最初に現実を持ってきてしまう所で、発想のスケールが制限されてしまうのだ。こんな簡単なことが出来ない事で、日本はAppleGoogleに負けている。でも、実は簡単ではないのかもしれない。なぜなら、新しいことを常に考え、そして、それを現実に近づけるためにいつも考えている。理想のプロでなければ、構想力は身につかない。現実、現実と言って目に見えるものに甘え、それ以上のことを考えてこなかった理想のアマチュアには、もしかしたら出来ないことなのかもしれない。
 
手っ取り早く利益を出そうという発想からは、構想力は生まれない。なぜなら、それを実現しようとすると、夢を徹底的に否定するしかなくなるから。だから、成果主義は駄目なんだ。目先の利益を絞り出すために、リストラしかできなくなってしまう。そこには夢も希望もないので、面白くもなんともない。よって、製品が売れない。
 
構想力とは、一言で言うと、夢と現実をメリハリを付けて考えることが出来る能力。
構成力とは、現実に始まって現実に終わる
夢想とは、夢に始まって夢に終わる。