SKY NOTE

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面白い親父さんの子育てに、人に物事を伝える極意を学ぶ

タブレットでニュース見てたら、面白い子供の育て方をするおやじさんの話があったので紹介する。三人兄弟の父親、是非リンクを読んで欲しい。内容のみならず書き方も面白いので、オススメ。このブログでは面白いところを削って要約して、自分のどーでもいい感想を付加しているだけなので、まず、リンクの原文を読むことをおすすめします。長文ですが、面白くて一気に読んでしまいました。リンクの文章を書いている方のお父さんの教育の賜物ですね。

 強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話
 http://storys.jp/story/8298

そんな親父さんの教育法で「自分の代わりに優秀な教師を買い込む!」これは、額面通りの先生ではなく、3兄弟が自分で学び取ることのできる優れた本、マンガ、映画、テレビ番組などを大量に買い込んで教えこむというものです。
 
マンガ
 家庭教師A:マンガ日本の歴史全巻
 家庭教師B:マンガ世界の歴史全巻
 家庭教師C:三国志by横山光輝全巻
 家庭教師D:学研伝記シリーズ全巻

ビデオ
 『ガンジー』『椿三十郎』『ニューシネマパラダイス』『レインマン
 NHKスペシャル
 ビデオが4台
 100円ビデオレンタルショップで大量レンタル

でも、そういう大量のコンテンツを消化するために、次にこの親父さんが建てた作戦は

 オヤジ「お前達、まずマンガや本については1ページにつき1円の小遣いをやる」

金で釣る!単にコンテンツを入手しても、それを読んだり見たりしないといけない、それも大量にヤラなければいけないので、それには、優れたインセンティブ戦略が必要ですが、これが面白い。しかも、ズルをしないように、感想文のノートを作らせて母親がチェックし、判子を押して貰えれば、小遣いがゲットできるというシステム、また、感想文が長くなれば口頭で説明させるなど、「内容の定着を図る&プレゼンの練習機会を盛り込む」という戦略、さらにこの過程で伝記などを読んで...

 憧れの人物を見つける・人生のお手本を知る・ロールモデルに出会う

そういうものを喚起させるものを子供に見せて、その上で単に見たことを覚えるということではなく、それについて様々な視点が持てるように質問をする。

 オヤジ「それでは、いまから『アポロ13』の上映会を始める」

 ・アポロ計画というのが当時のアメリカにとってどんな意味を持ちえたか
 ・そもそもアポロ計画の背景にあったソビエトとの冷戦構造とは何か
 ・アポロ計画に使われていたコンピューターテクノロジーは今日どこまで発展しているか

というような形で、単に知識を得ることのみならず、新しいものの見方や捉え方が出来るようにしているとの事。そう言えば、自分もNHKのニュースを見ながら、この次の展開を親父と議論したりしてました。

さらに、子供3人を襲う誘惑、ゲームやテレビに対しても、面白いことに、娯楽には娯楽で対抗しているんですね。娯楽を全否定せず、その方向性を変えてしまう所が面白い。そのシステムは、頭脳ギャンブルにはめて育てるというもの。

 トランプ:ブラックジャック、ポーカー、ナポレオン。
 麻雀は必殺技で、細かくいえば将棋や囲碁など。

まず、この親父さんはわざと負けながら、ゲームの面白さや勝利の醍醐味を味あわせて、頃合いを見計らって。じわじわと3兄弟を負かしこみ、その上で、ギャンブルですので借金が生じます。

 僕「すいません、負けました。でもこの500円はちょっといま手持ちがないんですが・・・」
 オヤジ「フフ。現金で払えなければ、本を読んで返すか家事を手伝うかだな。」

なんと巧妙な手口でしょう。借金が生じると、その分、本を読むことやお手伝いによって、返済しなければいけなくなるのです。しかも、お手伝いの相場は安く、お父さんの設定したマンガなどを読む相場は高いという構造で、自然と子供が勉強に取り組むように組み立てられているわけです。これの何がスゴイのかというと、要するに、娯楽には娯楽で対抗しているという点です。通常、勉強をするためには娯楽を否定してしまいますが、それを学ぶことの出来るいい娯楽と何も学べない悪い娯楽とを分けて、いい娯楽の方を自然に選ぶように、仕組まれていることです。しかも、それが自発的にできるようにしているところがスゴイ。強制や命令ではなく、マンガやゲームなどを通じて、きっかけを作り、そこを橋頭堡として、徐々に子供の学習意欲を育てていく、非常に戦略的な手法が見て取れます。そうやって名著や名画など、いいものを子供に吸収させるというのは流石だと思う。

しかも、ちゃんと手順が揃っているですね。

 まず、信長を教え
 次に武田信玄
 次に幕末

そこから、「いまの日本、そして世界がどのように形成されたのか。その始まりともいうべき幕末に3兄弟を引き込む」...という非常に手の込んだ手順を踏んで教える。さらに子供が大きくなってくると、今度は...

 子供LEVEL1 マンガ
 子供LEVEL2 小説 「花神」「世に棲む日々」「翔ぶが如く司馬遼太郎の名作
       &ビデオ

子供の興味のレベルが上がっていくと、より難しいタスクを提供するという、まるでロールプレイングゲームのようです。そういう親父さんが気をつけていたのは、「入門編を吟味する」というもの、入り口を上手に選べば、後は興味が湧くことで、自然と学んでいく、そこら辺をよく設計しているんですね。

...という形で、非常に面白い作戦で、なんというか、この親父さんのやっていることは、教育を遊びにしちゃってるんですね。しかも、その遊びを土台に、京都大学へ3兄弟、全員を送り込むというスゴイ結果を生んでいる。普通、一生懸命、真面目に受験勉強したって、日本で二番目に偉いと言われる大学に3人も送り込むなんてそうそう出来ないのに、それが出来てしまう所がスゴイ。まさに、好きこそものの上手なれといいますが、要するに、このオヤジさんは、その「好き」を子供の中で生み出せるような状況をつくりだした。

こういう教育法を見て思ったのは、これは人に物事を伝えるのにも同様のことが言えるのだろうなという事、例えば社会の仕組みを単に勉強するのは、それに関係する知識がなければ、非常につまらないものです。興味のないことは面白くもなんともないですよね。その知識をマンガなどの取り付きやすいメディアを「教師」として使って、その教師が教えたことをチェックしたり、勉強するように仕向けさせる賭け麻雀&お小遣い戦略などのインセンティブ戦略を組み合わせて、ゲーム感覚で子供のノリの良さを活用しつつ展開している所に興味があります。世の中も同じだとすれば、ある意味、新しいジャーナリズムの形が考えられなくもないのです。というのは、難しい専門用語だらけのニュースを吸収できるのは、ごく一部の人間だけです。しかし、それを万人に吸収させるには、子供にでも分かる仕組みを作らなければいけない。そこに「遊び」が入ってくるところが、このオヤジさんの戦略で、クイズ形式にしたり、見たり読んだりすると報酬が与えられる仕組みを作ったりと、ゲームシステムを構築して教える。ジャーナリズムにも、そういう「遊び」があってもいい。そうすることで、万人が社会の仕組みを理解するようになれば、民主主義は、より成熟したものになる。そう言う風に自分は見た。これは、ジャーナリズムのみならず、他の教育が必要な分野全般に言えるのだが、特に難しくて、やりにくいところを、どのようにデザインすればうまくいくのかという点で示唆に富む内容と思う。例えば入門編を吟味するとかね。マンガ使ったり、報酬システム、その報酬を与えるチェックシステム、その報酬システムより強力にする頭脳ゲームとか。タスクデザインが秀逸、そのゲームをプレイしていくうちにいつの間にか、知識と教養が身についてしまう。非常に面白い内容だった。参考になる。ネットゲームも、そう言う風にしたら、日本人、みんな頭良くなって、ヤバくね。みたいな社会になるかも、そういうポテンシャルを感じるオヤジさんの教育法だった。ちなみに、パート2の受験編もあるようなので、要チェック!

 パート2 受験編(現在、書いてる最中)
 http://storys.jp/story/8388

パート2は、世の教育ママが興味津々になる課題「受験」がテーマですね。自分も読みたい。興味を持つだけでなく、それをより高度な知識に昇華していく具体的なプロセスがそこにあるはずです。紹介されたメディアコンテンツだけでは、恐らく、複雑な知識を身に付けるのには限界があると思うので、そこをどうクリアしているのか見てみたいところ。