SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

Pref..
Speech
STOP
Follow..
QR Code
|◀
▶|
QR
×
voice
volume
0
rate
0
pitch
0

九州大学、内部量子効率100%近い青色有機EL素子を開発 2014.3.3

九州大学、最先端有機光エレクトロニクス研究センターの安達千波矢教授らは、内部量子効率100%の発光効率を持つ青色有機EL素子を開発した。詳細は、国際学術雑誌「Nature Photonics」のオンライン版に掲載された。

 マイナビ:九大、熱活性化遅延蛍光材料を利用した高効率な青色有機EL素子を開発
 http://news.mynavi.jp/news/2014/03/03/318/

 日経:次世代有機EL、青色の発光効率100% 九大(誤解招くタイトル)
 http://www.nikkei.com/article/DGXNNSE2INK01_S4A300C1000000/

内部量子効率とは何かというと、外部量子効率と一緒に説明します。LEDやEL素子が発行するのは、二段階あって、まず、素子の内部で光る効率のことを内部量子効率、その光が外に出ていく効率を外部量子効率といいます。一般的な発光効率は、内部量子効率に外部量子効率をかけたものです。例えば、内部量子効率50%、外部量子効率20%の有機EL素子であった場合...

 量子効率:電子の個数に対する光子の個数との事。

 内部量子効率50%×外部量子効率20%=発光効率10%

今回の青色有機EL素子は内部量子効率が100%、外部量子効率が19.5%との事なので、

 100%近い×19.5%=発光効率19.5%

...というわけです。

今までの青色有機EL素子の内部量子効率は50%だったという。それが100%近くなったことを受けて、赤が90%、緑が100%と揃ったので、有機ELパネルの発光効率がよくなり、輝度の向上、バッテリー持続時間が伸びるなど効用が期待される。総合的な発光効率20%程度なのですが、液晶ディスプレイなどは、液晶を介することで光の95%を失っていると昔聞いたことがある。今は、もっと良くなっていると思う。例えLEDの発光効率が60%程度あっても、液晶を通ることで3〜10%になってしまう可能性もあるわけで、そこからすると、19.5%の有機ELディスプレイは、消費電力の点で有利になっているのではないかと思う。少なくとも従来品は、青の輝度の低さに引きずられて全体の発光効率も10%程度だったと考えられるため、有機ELディスプレイを使ったiPadが登場するかもしれないと感じる発表だった。この青色有機EL素子の開発品は1年以内に実用化したいとのこと。

液晶で高解像度品をつくろうとすると、透過率が下がり、バッテリー消耗が激しくなるので、今回の発表は、液晶に勝てる有機ELの登場を感じさせる内容だ。ディスプレイに関しては、他にも超小型のメカニカルシャッターのような機構を使ったMEMS ディスプレイが控えているため、ディスプレイ関連は目が離せない。案外、この有機ELの登場は、MEMSディスプレイを登場させる契機になるかもしれない。MEMSを使えば、LEDの高い発光効率が活かせるため、有機ELは、結構大変だと思う。有機ELの最大の弱点は外部量子効率の低さだと感じる。それさえクリアすれば、ダイレクト表示なので、最も優れたディスプレイ素子になる筈なのだが...