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原発の非常時冷却装置(ECCS)を取り外した小泉政権

小泉が脱原発と叫んでおるが、あの者ほど、脱原発を主張するのにはふさわしくない人間はいない、今日はそのことについて書いてみたいと思う。

小泉政権は2001年〜2005年まで続いたが、その中の2003年に原発の非常時冷却装置を取り外す決定を議会でしている。この事が後の福島第一原発の事故を深刻化させた要因なのだ。その経緯について説明する。

 非常時冷却システムを撤去した勝俣会長
 http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/104.html

上記の記事に出てくる上原春男氏は、福島第一原発3号機の設計者であり原発の専門家です。今、日本の原発を扱っている専門家の殆どは、この上原氏の弟子と言っていいくらいの専門家です。その彼が「なぜあれほど簡単にメルトダウンしてしまったのか。私は福島第一原発の事故以来、ずっと不思議に思っていました」と言っている。

その理由は、福島第一原発建設時には「蒸気凝縮系機能」という電源喪失時にも機能する冷却装置が備え付けられていて、福島原発事故の全電源喪失の際には、それが機能するはずだったからです。仕組みは...

  • 蒸気凝縮系機能(ECCS)というのは、蒸気が出て原子炉内の圧力が高まったら、専用の配管を通じて、タービンをまわすことで熱エネルギーを運動エネルギーに転換して冷却して水に戻し、その水を重力を使って原子炉に戻して冷却するというものである。この際、原子炉の温度も圧力も下がり、メルトダウンを避ける事が出来るという仕組みである。

しかし、2003年に小泉政権は、あろうことか、このECCSを取り外す決定を議会で決定してしまった。その経緯は以下の様なものである。

  • 2001年11月 浜岡原発で原子炉が停止する「レベル1級」の事故が発生
  • 蒸気凝縮系で水素が発生し爆発、配管が破断したことが原因
  • 「浜岡のケースは日本初の水素爆発だったと言われています。事故が起きてから中部電力は配管内に水素がたまらないよう遮断弁を設置して対応していました。しかし、〇二年から逐次、蒸気凝縮の配管自体を撤去、機能を削除してしまうのです。理由は遮断弁の保守管理に手間がかかるためと、中電は説明していました」(全国紙社会部記者)

つまり、この非常時冷却システムに使う配管のメンテナンスが難しいので、その安全システムそのものを取り去ってしまうという暴挙に出たのが、東電(勝俣会長)や中電の経営陣だった。正に安全無視の経営判断だったといえる。しかし、こういった判断も、安全上、重要な内容なので議会で通さなければいけない。しかし、当時の小泉政権は、それにゴーサインを出してしまった。

ECCSが取り外された原発は以下のとおり...
・福島(2〜6号機) 2003年取り外し
・東海第二(茨城)
・浜岡(2001年破断事故後→2002年取り外し)
・女川

では、ECCSがなくなると、どうなるのか、端的に示した事例が東海第二原発で分かっている。東海第二原発は1基のみで、茨城県にあり東日本大震災の影響を受けた原発でもある。

 東海村原発、危機一髪! 2012.5.28
 http://www5.hp-ez.com/hp/ooami/page4/bid-246076

東海第二原発は、東日本大震災の直前に堤防の工事が終わっており、津波の影響を受けなかったが、地震で電源がダウンし、炉心が急激に温度が上がり圧力が上昇した。ECCSを取り外してしまったので、圧力を逃がす方法がベントしか無く170回もベントをしたという。その結果、茨城県周囲に放射性物質が撒き散らされたと考えられる。

セシウム134+137を合算した汚染地図を見ると、茨城県周辺に離れ小島のように汚染領域が広がっていることが分かる。恐らく、これがベントの結果といえるだろう。東海第二原発は、このベントの後、ディーゼル発電機が起動し、冷却が始まったため、原子炉の破壊は免れた。

つまり、ディーゼル発電機が無事動いた東海第二原発ですら、ECCSを取り外してしまったことでベントによって周囲に汚染物質をまき散らさないと炉内の圧力が逃せない状態になった。逆に言えば、ECCSが取り外されず、正常に機能した場合、しばらくはメルトダウンするまでの時間が稼げ、その間に電源を確保できれば、福島第一原発のような深刻な事態は避けられたかもしれないのである。しかし、2003年に小泉政権が、それを取り外してしまったがために、電源を失い、冷却手段を失った原発は、極めて早い段階で制御不能になり、その結果、爆発し、周囲に大量の放射性物質をまき散らしたというわけである。つまり、こういった誤った政治判断をした主犯である小泉氏を脱原発の旗手に祭り上げようとするのは、以下に示す点において問題がある。

1.問題の原因を作り、責任追及される対象にそれを裁く権限を与える危険性

以上の理由により、この福島原発事故の証拠隠滅、もみ消しの可能性を考えれば、小泉氏に脱原発をさせることは、絶対やってはいけない選択といえる。彼を脱原発の急先鋒にするのは、根本的な問題をはらんでいる。彼は問題の原因を作った張本人であり、問題を裁く側にいるのではなく、裁かれる側にいなければいけない。このような存在に事故の問題を追求させることは、調査に支障をきたす恐れがあるだけでなく、極めて倒錯的な結果をもたらすことが危惧される。問題を裁く側と裁かれる側が同じになってしまうと、それは、モラルハザードを生む。真にこの問題を解決するためには、それらは全く別の存在にしなければいけない。それは、最低限やるべきことなのである。それと全く正反対のことをするのは根本的に間違っている。そして、そのような事をすれば、日本人は馬鹿かと世界中から笑いものというか、それ以上に馬鹿にされるであろう。やっていることがあまりにでたらめだから。

  • 正しきことをするのには、誇りが必要である。その誇りまでかなぐり捨てる奴に、何ら正しいことなど行えない。なぜなら、利に対抗する無償の思想が誇りなのだから。誇りなきものは、利に負けてしまう。だから正しきことを行えない。それらは必ず、利によってネジ曲がり、あらぬ方向に行くのが世の常なのだから。
  • 真に正しきは、誇りとそれを実現するソロバンである。世の中誇りとソロバンが大事である。誇りが中心で、算盤を弾く、誇りなき者のソロバンは必ず、悪に傾く。