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東京大学、汽水培地で藻を育成し低コストで油を取り出すことに成功

東大が7月26日、微細緑藻 ボトリオコッカス・ブラウニーを海水を用いて、培養することで、乾燥や加熱など、エネルギー消費の大きい前処理を行わずに油を取り出す事に成功した。

 バイオ燃料資源候補の微細緑藻から前処理工程なしに炭化水素を抽出 - 東大
 http://news.mynavi.jp/news/2013/07/29/072/index.html

東大大学院 農学生命科学研究科 生物・環境工学専攻
 研究チーム
  古橋賢一氏
  佐賀清崇 助教
  岡田茂准教授
  芋生憲司 教授

通常、オイルを生成する微細藻類は、細胞内にオイルを蓄積させる。今回の研究で用いられた藻:ボトリオコッカス・ブラウニーは、細胞間をつなぐ細胞間マトリクスに油を貯めこむ特徴がある。この細胞間マトリクスは非常に弾性に富んでいるために、圧搾などによる物理的回収が難しく、加熱もしくは、乾燥という、エネルギーを大量消費するコストの高い処理が必要だった。

今回の研究では、海水の1/4程度の塩分濃度の汽水培地で淡水性であるボトリオコッカスブラウニーを長期間培養することにより、湿藻体に直接有機溶媒を混合するだけで、炭化水素の大部分を回収できることを発見した。(なぜ、そうなるのか、よくわからん説明だが、要するに海水の1/4程度の濃度の塩水でボトリオコッカスブラウニーを育てると、油が取り出しやすくなるらしい)

この油を取り出す処理は、藻を殺さずに取り出せるため、同じ藻を再利用して藻を再生産する技術「ミルキング」(多分牛乳のように搾り取るという意味だろう)に繋がる可能性を持つという。これにより、油のみを抽出しつつ、高い藻の濃度を保つことが出来、「コンタミネーション」(競合する微細藻類や雑菌の繁殖)を防ぐことが可能となるかも知れないという。

従来、石油を大量生成する藻(ボトリオコッカスなど)が発見されながら、なかなか実用化に至らなかったのは、この藻から油を取り出す工程にコストが掛かり、採算が合わなかったからであるが、今回の東大の発見は、その問題を打ち破る可能性を秘めている。ちょっと気になるのが長期間培養というのが、どういう意味かわからないが、とにかく、エネルギーを沢山使わず、藻も殺さずに油(炭化水素:重油相当)が取り出せるのだから、低コストに油が取り出せるという事だろう。後は、生産効率がどの程度か、数字で知りたいのだが、そこら辺はわからない。茨城大学筑波大学の渡邊教授の発見したボトリオコッカス・ブラウニーと同じ生産効率ならば、かなり期待できる。

渡辺教授が発見した石油藻の生産性
 ボトリオコッカス   :118t/ha
(重油の比重を0.9とすると13万1111リットル/ヘクタール)
 1万ヘクタールあたり、13億1111万リットル
 

  • 日本国内のプラスチック需要1600万トンであり、13.5万ヘクタールをボトリオコッカスに使えば、日本のプラスチックの自給が可能になる。こういった素晴らしい藻が存在する。しかし、抽出コストが高くて、今まで生産されることはなかった。しかし、東大の今回の研究成果は、そのコストの問題に一石を投じるものであり、ある意味、革新的とも言ってもいいのではないかと思う。今後は、この培養方法で、どの程度の油の生産ができるのか、具体的な研究成果が見てみたい。それ次第で、どの程度までコストが下がっているか分かり、実用化が近いか遠いかが分かる。