SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

Pref..
Speech
STOP
Follow..
QR Code
|◀
▶|
QR
×
voice
volume
0
rate
0
pitch
0

TPPこそが自由の敵

今日は、自由という視点でTPPについて書いてみたい。私が義父から教わった自由とは、以下のようなものだ。

 「他人の自由を奪わない限り、お前の自由だ」

これは、自由の唯一にして最大のルールである。これとTPPが何が関係しているかというと、TPPが、この原則を規制緩和という形で反しているからだ。規制とは、いうなれば、「それは他人の迷惑になるから、制限する」という理屈だ。例えば、公害を例に取ってみよう。企業が汚染物質を垂れ流し、周囲の住民に迷惑をかけたから、環境基準を設けて規制する。こういうルールは、他人の自由を守るためのルールだ。つまり、規制によって、他人の自由を奪わないように担保しているのだ。TPPは、これと逆行している。TPPの理屈は、投資家に損害が生じたら、それをISD条項にのっとって、投資家が企業を訴えることが出来るとある。ここで重要なのは、投資家のお金の理屈だけであるという点だ。他人の利益や自由は、そこにないのだ。つまり、投資家側の理屈(自由)だけで、他の人間の自由を無視しているのが、TPPの恐しいところだ。それが実際に、TPPと同種の自由貿易協定である北米自由貿易協定を締結しているカナダやメキシコであったのだ。

以下の資料の孫崎さんとは、元外交官の方です。この中で収用というのは、言ってみれば国家による略奪行為という意味ですが、国の環境規制を企業に対する略奪抗議と定義し、ISD条項で企業側が「勝ってしまう」点に注目して下さい。いかに投資家に優位な条約であり、自己中心的なルールであるか、実例で示しています。TPPに賛同する人達は、これをデマだと言っていますが、元外交官ですら、これを不当であると言っているのです。デマでもなんでもありません。

ISD条項:癌発生誘因の廃棄物処理施設不許可で1,700万ドルの賠償金  孫崎 享
http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/792.html

  • 1:Metalclad事件
  • Metalclad社がメキシコ連邦政府から、廃棄物処理施設許可をうけて投資したが、有毒物資による近隣の村の飲料水汚染等で癌患者が多数発生する等、危険性が提訴され地方自治体が同敷地内を生態区域に指定し、施設設立不許可処分をしたところ、これを間接収容等で提訴(注:「間接収容」、収容国への財産権の移転は伴わないが、受け入れ国による恣意的な許認可の取り消しや投資の厳格な制限の導入などの政策的な措置により、投資財産の利益や収益機会が阻害され、実質的に収容と同じ結果がもたらされる場合をいう.)
  • 仲裁裁判所は「間接収容」および、「最少待遇(公正・衡平待遇)」原則違反を根拠に約1,700万ドルの賠償を判定
  • 2:Ethyl事件
  • カナダ政府が人体有害毒性の指摘があるガソリン添加物MMTの輸出を禁止すると、同製品生産企業である米Ethyl社は確実な証拠もなく、これを規制しようとしているという主張を間接収容等と構成して提訴 仲裁裁判所以前にカナダ政府は1300万ドルを支払い和解。

TPPを推進する人たちは、これらの事例について、根拠が無かったからと言っているのだが、それを尊重してしまうことは、科学が常に問題の原因を把握できるという誤った前提に立ってしまうことを意味する。昔、黒死病、ペストという病でヨーロッパを中心に数千万人が死んだ。当時の科学力では原因がつかめず、経験則で、ペストにかかった人に近づかないという予防原則の論理で対処した。このことからも分かるように、TPPは、原因がわからない公害について、全く対処できないことを意味する。それは昔のことだと思われるかもしれないが、現在の放射能の事についても、私たちは、その原因がつかめているとは言いがたい。分かっているのは、放射能がDNAを破壊するという事と、様々な原因不明の疾患を生み出すという経験則でしかない。でもTPPの理屈は、それらを科学的な根拠のないものとして否定する。なぜなら、現在の科学が認識できないものは全て、評価に値しないと言っているからだ。だから、もし公害が原因でペストのような原因不明の問題が起きた場合でも、TPPに入ってしまうと国が規制を作って国民を守れない事になる。

自由とは、他人の自由を奪わないのが唯一にして最大のルールです。このルールを守れないものは自由を主張する資格はありません。しかし、TPPと同種の北米自由貿易協定の裁判では、その国の住民の健康を守るための規制を一方的な略奪行為とみなし、否定したのです。なぜ、否定できるのか、それは、収用行為の定義が単純に損得だけで決められているからです。あとは、協定によると言われていますが、基本的に不当な略奪行為とは言えないような内容のものに対しても、協定によって略奪行為と定義できてしまうのならば、その協定ですら不平等なものであり、全く評価に値しません。互いの権利が対等でない条件というのは、基本的に一方的な収奪を意味します。つまり、TPPこそが自由の敵なのです。