SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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TPPというのは経済の津波

デモの帰り道、繁華街で楽しそうにしている若者を見かけて思うのは、自分の国が、植民地になるかもしれないってのに、悠長なことだと思ってしまう。日本人がああいう甘い顔になったのは、いつ頃だったかと考えてみれば、それは1989年以降だったと思う。バブルの頃にその徴候は見え始めていたが、本格化したのは1990年頃だった。生物として危機に鈍感になるということは、死ぬということなのだが、そういう危機が全くない安全な社会に育った彼等に危機感覚がなくなってしまうのは、仕方がないのかもしれない。

今回の震災で、危機に対してきちんと機動的に動けたのは、自衛隊だけだった。自衛隊は危機を前提にして行動する組織であるため、危機対応教育がしっかりしている。それに対して、事務職というのは、そういう危機管理能力がなく、もっぱら責任のなすり合いの末に、必要な対応が遅れ、多くの死傷者を出した。

自分が思うに、文明社会の中で保護されて生きてきた今の若者、私の世代も大して危険ではなかった。しかし、あの危機意識の低さは、どういうことなのか、何が原因であそこまで甘いのかといえば、多分、教育の結果なのだと思う。まだ私の世代には、戦争を経験した世代が生きており、危険というものを戦争の話を通じて知っている。しかし、今の若者にはそれがない。だからこそ、危険という事態が想定できない。社会の前提そのものがひっくり返ってしまうという事が分かっていない。

この国の主権がTPPによって狙われている事態も彼等には想定できない。想定していたら、デモに参加し、反対している。しかし、それができていない。発想がとても甘い、平和ボケしすぎている。主権というのはカネになる。労働基準法を甘くすれば、従業員を安くこき使えて、経営者側に年間、年間兆単位の金が転がり込む、それを経営者と投資家で山分けなんてことになる)その金を狙って外国が忍び寄ってきているというのに、TPPで失業するの?そんな事あるわけ無いと、根拠もなく考えてしまう甘さ、非常に危険。外国では、北米自由貿易協定NAFTA)、米韓FTAなどの現実を見れば、それは明らか、報道されていないだけで、実際には、非常に事態は深刻。

この危機を忘れた国民の末路は、大体、予測がつく、津波が来ても逃げなかった人たちを彼らはバカとはいえない。なぜなら、TPPという経済津波が来ているのに、そこから逃げるのでもなく、大丈夫、大丈夫と、考えている。とても甘い、その甘さ故に災難に会う。世の中は彼らが思うほど甘くない。日本にあるお金は巨大だ。世界第三位の経済大国は伊達じゃない。それを世界中の金の亡者達が狙ってきているというのに、全く、今の日本の若者はのんき過ぎる。津波が来た時、そこから逃げなかった人をバカだなと思えるのは、後から客観視出来ているからである。しかし、一度、そうではない状況に立たされれば、そのような事は言えない。津波から逃げなかった人を馬鹿といえるのは、後から全体を網羅的に見れることで、正確な判断が出来ているだけなのだ。しかし、当事者になると、大抵情報は断片しか手に入らない。その断片から何が正しいか決めなければいけない。すべてが揃ってからでは遅いことがある。また正確でない情報もある。

今回のTPPでは、外国の先行事例があるので、大体、TPPが来ると、どうなるかが分かる。まず最初に労働規制が緩和されて外国人労働者が増えて、リストラ、非正規、賃金下落である。日本にある分厚い正規社員の保護が剥がされる。日本の正規労働者は分厚い労働規制に守られている。だから多少は、緩和されてもいいと思うが、TPPの場合、経営陣が際限なく、その要求を通すことが出来るため、分厚い労働規制は、ペラペラのものにされてしまう可能性が極めて高い。例えば、残業代なしとか、長時間労働OKとか、そういうのね。

TPPに入ってからだとひっくり返すのがとても大変なのだが、当の安倍総理はやる気満々のようだ。私は大抵人の本質を見るのには、その言葉よりも行動を見れば良いと思っているが、今回の安倍総理の行動から、彼の行動は、国民を欺くのに最も合理的な動きをしている。最初は、TPPに入らないという様な主張をすることで、反対派の反発を押さえこみつつ、実際の行動は交渉参加をした。つまり、最初から交渉参加と言っていれば、反対派が強行に反発し、うまく行かなかった可能性もあるのだが、最初はやらないように見せかけて反発を抑止し、最終的には交渉参加という結果となっている。これは、安倍総理がTPPに参加する意思があるということを示している。安倍総理がTPPを骨抜きにするという主張は、非常に難しいと思う。なぜならば、既にTPP交渉は最終段階に入っており、その内容を変更する時間的余地は、もうないからだ。つまり、現時点で既に交渉によって骨抜きにするという前提がないのであり、そう考えると、安倍総理の言っていることにはなんの根拠もないことが分かる。

根拠もないことを、まるであるかのように見せつけながら、最終的には、TPP参加に持ち込むのが彼の魂胆なのだと思う。彼は言っていることとやっていることが真逆の人間である。行動を観察すれば、それが分かる。7月の参議院選挙でねじれに持ち込める可能性は極めて高い。なぜならば、前回の衆院選自民党の得票数1600万人、その内1000万人が農協表と言われている。今回、農協の票は、安倍総理のTPP参加表明により、他の党へ移ることが決定的となった。つまり、自民党の実質的な票数はたった600万票ということになる。この結果、参議院では共産党や生活の党が躍進することが、ほぼ確実な情勢、つまり、この時点で参議院での評決は常にねじれ状態になる。ねじれ国会で審議が滞ると同時に、衆議院選挙の一票の格差問題で各地の裁判所で違憲判決が出てくるようだと、いよいよ、衆議院選挙もすぐやれということになる。意外と安倍政権短命に終わるのではないかと自分は思う。そして、その時、自民党は完全に消滅する。本当のところ、実質600万票しかない政党なのだ。自民党は、昔の社会党のようになくなる運命にある。