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山形大 広瀬教授:室温でガラス製膜を可能にする技術を開発

山形大学の広瀬文彦教授が、室温でガラス製膜を可能にする「ナノシリカコート技術」を開発した。

 山形新聞:室温でガラス膜処理が可能に 山形大の広瀬教授が開発
 http://yamagata-np.jp/news/201301/31/kj_2013013100850.php

従来、ガラスコーティングというのは300℃近い高温処理が必要で融点の低い素材(プラスチックなど)には使えなかった。それを広瀬教授は、プラズマ(電気放電)化した水蒸気を用いた製膜技術の開発に成功した。これまで、酸素を用いた技術が海外にあったが、水蒸気を使う技術は、安全で低コストなのだという。

膜の厚さは3.5ナノメートル(10億分の1メートル)で無色透明、低音なので基盤へのダメージもなく剥がれることもないという。携帯電話の手アカ防止、鮮度を保つ食品包装の他、金属や木材の腐食防止にも使える。

特に活用が期待されるのは、有機エレクトロニクス分野で、フレキシブルな太陽電池フィルムには、透明なアクリル樹脂の使用が想定されているが、この素材は、有機溶剤やアルコールに弱く、簡単に腐食してしまう点が問題だったという。これをガラス膜処理により、耐食性能を向上させられる。

この期待の技術の実用化だが、研究室では年内にも精密機器の金属部品での実用化に繋げる計画、広瀬教授は「ガラス膜は極めて薄く全く見た目には分からない。美術品や古墳の壁画への応用も可能かどうか検証してみたい」とのこと

この技術は「新機能性材料展2013」(2013.1.30〜2.1)に応用事例を出展した。

この技術の何がスゴイのかというと、有機素材の劣化を抑える効果があることだ。有機素材の劣化要因は、酸素による腐食と、紫外線による分子結合の破断によるものなのだが、このガラスコーティングは、前者の腐食(酸化)に効果がある。

 樹脂の劣化要因
 ・酸素(酸化)
 ・水分(加水分解
 ・紫外線(光エネルギーによる分子結合の切断)

 資料:紫外線劣化について
 http://www.eslontimes.com/data/eslonpipe_faq/faq_031.html

ガラスは、窓にも使われているとおり、非常に耐候性の高い素材、その特性を有機素材にもたせられるという点が画期的。これにより、有機薄膜太陽電池の耐候性が向上することが期待される。(下記の資料は2010年の有機薄膜太陽電池の評価)

 有機系太陽電池評価プロジェクト.pdf
 http://www.newkast.or.jp/innovation/pdf/seika_22_taiyou.pdf

有機薄膜太陽電池は、低コストで軽いのが特徴なのだが、耐久性に問題があり、実用化に課題があった。このガラス製膜技術で、有機薄膜太陽電池の実用化が一歩前進したといえるだろう。