野田総理が、TPPについて話題にし始めた。そこで、TPPの危険性について今回は書いてみたい。
それでは基礎知識、以下のビデオ、自分はTPPが農業問題であると思っていた時、このビデオを見て、考えが変わりました。
- 中野剛志先生のよくわかるTPP(12分34秒)
- 「日本はTPPで輸出を拡大できっこない! 」
TPPは、報道では農業問題と捕らえられがちだが、実態は、ISD条項を背景としたアメリカの経済植民地政策である。その内容は、アメリカの市場開放要求をISD条項によって法的に担保されたものである。では、そのISD条項とは何かというと、私企業が、その国の法律や規制、制度で損失を被った時、その国を訴えることが出来るというルールである。
この法律や規制、制度の中に医療保険や年金基金、農業、原発などが入ってくるのである。既におとなりの韓国では、李明博(イ・ミョンバク)大統領が議会に無断でISD条項の入った米韓FTAを結んでしまったことで大問題となっている。(ISD条項を受け入れたことで事実上、韓国はアメリカの経済植民地となった)
- 韓国FTAの反対デモ
- ハンギョレ・サランバン:‘FTA批判’部長判事 "フェイスブックの文に対して社説?
- http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1567280.html#more
- チェ判事「FTA通過は "国を売り飛ばしたこと"」
- 韓国の判事という法律の専門家が国を売り飛ばしたとfacebookで非難した。
- 上記リンクの引用
- チェ判事は「韓米FTA批准案が闇討ちで通過したことに対して討論と疎通を価値と見なす民主主義が民意の殿堂で蹂りんされる姿を見て民主主義と人権擁護のために裁判官職を遂行する自分としてはとうてい耐え難く自分の所感を短い文にして上げた」と明らかにした。
事実上、韓国は米韓FTAのISD条項によってアメリカの経済植民地になったと考えられます。なぜ、経済植民地になったといえるのか、それを国民主権の観点から図で説明したいともいます。
この図を見れば分かる通り、国民主権は、立法、司法、行政の三権から成り立っています。しかし、ISD条項は、立法において条文で国内法に優越するとハッキリ書かれており、このことをもって、国内の規制や制度を上回る権限を有することを意味します。その結果、国内に別の国ができたかのような状態になります。ISD条項による裁判は、アメリカにある裁判所で判決されるため、事実上、立法権と、司法権をアメリカに牛耳られ、その法に従って機能する行政も、自動的にアメリカの支配下に下るのです。
三条委員会
- 図の中にTPPとは、直接関係のない.3条委員会の原子力規制委員会と、人権委員会がありますが、これらの委員会は、官僚とアメリカが結託していると想定すると、行政における上位行政として機能すると考えられるのです。この三条委員会は一度決めてしまうと、5年間は、議会の干渉を受けない独立組織であり、その権限は強大です。原子力規制委員会だと核関連行政の全ての権限が、この機関に組み込まれていますし、人権委員会の場合は、人権委員会が差別行為と指定すると、犯罪となり、逮捕できます。つまり、言論弾圧が可能なのです。しかも、人権委員会をチェックする機関が存在しないため、事実上やりたい放題です。原子力規制委員会と言論弾圧が可能な人権委員会(審議中)がセットで存在すると、例えば、原発反対運動をする人間を人権委員会が差別行為をしたと指定すれば、捕まえることが出来るのです。こうすることで、原発を再稼働して、アメリカに核兵器に使うプルトニウムを供給するなんてことも可能になるのではないかと疑っています。(最近、日本企業による世界の核関連企業の買収行為も非常にきな臭いです)
- 萌えキャラで人権侵害救済法案の漫画を描いてみた
- この漫画でも書かれているとおり、委員会の主観で差別を定義できてしまうことが問題なのです。
国内法を優越するISD条項によって、外国企業が日本国政府に訴訟を起こし、日本が敗訴した場合、多額の賠償金や、国内の制度や規制の変更を余儀なくされるのです。既にNAFTA(北米自由貿易協定)でISD条項をのんだカナダが、アメリカ企業に訴えられ、国内の環境規制を撤回するという事態も起きています。しかも、その裁判所の判断基準は、投資家が損失を被ったかどうかのみで判断されるため、日本国民の健康や安全は無視されてしまうのです。これによって、アメリカの対日要求の全てが通る下地ができます。つまり、日本がTPPに入ってしまうという事は、アメリカの経済植民地になることを意味します。
その対日要求とは、国内の農業市場と、保険市場の開放と言われています。保険と聞くと外国の企業も入ってきているから日本は、大丈夫じゃないのと思われるかも知れませんが、要求しているものが全然、違うのです。
資料:Wikipedia:TPP:環太平洋戦略的経済連携協定(ISDS条項を参照)
一例を上げますと、日本には公的医療保険があります。公的医療保険ですから、利益を追求する保険制度ではないわけです。その結果、米の民間医療保険会社は、日本国内の医療保険市場に参入することができませんでした。片一方は利益を出さなくていいのですから、勝負になりませんよね。それを日本がTPPに入ってISD条項が機能する状況になると、「この公的医療保険制度の存在によって、我々、民間医療保険企業は、日本市場に参入できず、損失を被っている」という訴訟が起こされたとします。すると、ISD条項に従ってアメリカにある裁判所で、投資家が損をしたかどうかのみで判決が下されます。その結果、当然、敗訴です。日本は多額の賠償金と公的医療保険制度の廃止を余儀なくされます。そうなれば、今は医療費1割負担で済んでいる老人や、3割負担の人たちが今よりも3倍から10倍の医療費を支払うことを余儀なくされるのです。今の日本からは信じられないかも知れませんが、アメリカでは既にそうなっているのです。つまり、TPPとは、多国籍企業の利益のためにあるのです。しかも、国内法に優越するため、国内の法律、規制、制度を飛び越えて、そう言う判決が尊重されるのです。こういう事が行われれば、日本人の健康や安全、権利を守る制度は、お金の論理で否定されていき、経済的に人々が必要な医療が受けられなくなったり、安全を守ることが出来ないという状況が生まれるのです。事実上、日本国民の主権が多国籍企業によって侵害される結果となるのです。しかも、TPPは、それだけではなく、農業、雇用、経済、あらゆる側面で、国内のルールが変更を余儀なくされ、その結果、日本は多国籍企業を介したアメリカの経済植民地となります。その内容を分かりやすく、書かれているページを紹介します。PDFもあります。
サルでもわかるTPP
http://project99.jp/?page_id=75
サルでもわかるTPP(PDF版:タブレットに入れて他の人に教えてあげてください)
http://project99.jp/wp/wp-content/uploads/2012/03/sarudemowakaru%EF%BC%B4%EF%BC%B0%EF%BC%B02.pdf
しかも、TPPは本国アメリカでも批判されています。なぜなら、アメリカ国民の利益になるのではなく、アメリカの1%程度の富裕層の為のルールだからです。以下の動画は、TPPの条文がアメリカ国内でリークされ、その驚愕する内容が記されています。
- 【高画質】TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具
- http://democracynow.jp/video/20120614-2
- 【低画質】米国市民団体がTPP協定に警鐘を鳴らす(字幕) 20120614
- 【書き出し】アメリカ本国ですら批判されるTPP【動画あり】