SKY NOTE

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Jobs死去から一年...

デモから帰ってTwitterを見るとJobsがなくなってから1年というツイートが流れてきて、「もう1年か...早いな」と感じた。彼が亡くなってからの穴は誰も埋められておらずテクノロジーの世界は退屈になった。Jobs亡き後のAppleは、どうなったかというと、ちょっとダメって感じがする。iOS 6のマップアプリの酷さは目を覆わんばかりで、ディスプレイサイズを16:9にしたのもダメだと思う。やはり、紙のサイズが人々が最も親しんでいるサイズであり、16:9は、細長すぎる。

Appleが安易な妥協をするようになってしまうと、普通のハイテクメーカーとなってしまう。妥協せずコンセプトを貫く事のできる人間がいないことが今のAppleなんだと思う。ライバルにとってはチャンスだが、1年程度では、準備ができないらしく、まだAppleを倒すようなスゴイハードは出てきてない。Jobsの強烈なコンセプトとそれを表現するプレゼンがないAppleは、今後、厳しい戦いを強いられるだろうが、それが出来るようなものがまだライバルから出てきていないのが現状。

さて、自分のJobsの思い出は、復帰後、日本のMacWorld Expoに来るということで幕張メッセのプレゼンを見た。生であのウィットに富んだプレゼンを見た。会場で会った人にJobsの写真をとってくれとデジカメを渡されたが、デジカメを動かす度に同時通訳のレシーバーに雑音が入ったので、その人に謝って写真を撮るのをやめた。プレゼンが終わった時にJobsの周りに人だかりができていて、そこへ近づこうとすると警備員に止められたが、Jobsを間近で見れる距離まで近づくことが出来、その時に自分は一言「ありがとう」と言った。

この「ありがとう」の意味は、高校時代、色々なものに絶望して、体調も優れなくて、何をする気力もなかった頃、MacOS(当時はSystem 6と呼ばれていた)を見て、「これで誰でもコンピューターが使える」と感じ、そこに一丈の希望を見出した事だった。その希望に支えられて今の自分があるという感謝の念だった。

その前の間接的なJobsとの接触は、JobsがNeXT社にいる頃、NeXTの社員がとある秋葉原のお店に来て、NeXTのことについてユーザーに聞きたいということで、自分がNeXTの問題点を指摘した。当時の私の意見は、NeXTは素晴らしいが高価すぎ、そして、売る人間を間違えているということだった。革新的なものをウィンドウズユーザーに売ってもダメだと、彼等は追随者であり、革新者ではない、だからリスクを犯して新しいものに突っ込みなどしない。マックユーザーにこそ、それを売るべきだという趣旨のことを言った。そして、「(Appleに)帰っておいで、皆待っている」といった。その直後、AppleがNeXTを買収し、JobsがAppleに返り咲いた。恐らく、NeXTの社員は買収される時の準備のためにNeXTの立ち位置を聞いておきたかったのだと思う。そのNeXTの社員の対話の後、彼等は「スティーブに言っておくよ」と言ったので、自分は思わず「本当かい!?」といってしまった。その直後のThink differentキャンペーンは、正に追随者への決別を宣言するものだったので、本当に自分の意見をJobsに言ったかどうかわからないが、言っていることは伝わったような気がした。残念ながらJobsの伝記にはその時期のことは1冊目と2冊目の間のエピソードで書かれていない。

そんなJobsのことを、私はTPPやら原発問題に意識が集中していたので忘れていた。テクノロジーよりも、人々の自由や命が大切だという優先順位から、そう考えてしまったのだが、Twitterを見て、ふと、彼を思い出した。思い出して、自分に希望を与えてくれた人に感謝を述べたい。「ありがとう」と。