これまで、電力が足りないということを、きちんと整理された形で書いていなかったと思ったので書いてみた。今回は公的機関の資料を使ってみた。
1.電力が足りないということはどういうことか?
- 電力が足りないというのは、2つの意味があります。1つは、単純にkWhで計られる。電気の使用量です。もう一つは、停電を避けるために必要な出力(kW)です。電気は多すぎても少なすぎても停電してしまいます。そこで、需要に応じて最適な出力をし続けなければいけません。原発再稼働の問題は、夏場の電力需要のピーク時に必要な出力が足りないという話です。
- 電力ピーク(電事連の資料)
- http://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/juyou/sw_index_01/index.html
- (下の紫の原子力の部分がなくなった。今は火力で埋めてる)
- では、日本の夏場の電力ピークはどの程度なのでしょうか?去年の2011年の数字で考えますと1億5700万kWがピークの合計です。(猛暑の2010年は、1億8135万kW)このピークというのは、夏場の猛暑日(気温35度以上)の年間12日程度ある日の内、午前10:00〜午後6:00あたりの気温の高い時の消費電力の事を指しています。(年間96時間程度です)今回の電力が足りないという議論は、この年間96時間程度のピーク時の量に足りないという話なのですが、実際には、現在、猛暑日に関電以外のすべての電力会社で原発が動いていないにもかかわらず、停電が起こっていませんね。つまり、今ハッキリ言えるのは、関電以外では、必要な電力出力があるということなんです。また、その関電でも、大飯原発を再稼働したら火力発電所を止めたことからも分かる通り、実は、足りないと言われている関電でさえも、各電力会社から融通を受ければ、十分間に合うのです。
- そこで、それを説明するためにエネルギー白書2011を見てみたいと思います。この中には日本の電力10社(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)の2010年までの発電方式別の電力容量が分かります。この中で、電力の融通の出来ない沖縄電力を除き、J-Power(電源開発)の発電出力を加算した表を以下に示します。(火力の余剰分で揚水発電は、できなくはないが、今回は保守的に考えてゼロとする)
- エネルギー白書2011(このページの中のエクセルデータを参照)
- http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-4.html
- 日本の発電施設の総出力
- 2010年 2012年
- 一般水力 : 2076万キロワット → 2076万キロワット
- 揚水 : 2594万キロワット → 0万キロワット(原発なし)
- 石炭 : 3887万キロワット → 3887万キロワット
- LNG : 6253万キロワット → 6253万キロワット
- 石油等 : 4601万キロワット → 4601万キロワット
- 原子力 : 4896万キロワット → 0万キロワット(脱原発)
- 新エネ : 53万キロワット → 53万キロワット
- 合計 :2億4360万キロワット → 1億6870万キロワット
- 電源開発 : 1016万キロワット → +1016万キロワット
- 東北電力 : ー 120万キロワット(震災破損)
- 沖縄電力 : ー192万キロワット → ー 192万キロワット(沖縄電力)
- 供給力合計:2億5184万キロワット → 1億7574万キロワット
- ピーク需要:1億8135万キロワット → 1億5700万キロワット(2011年)
- 安定供給量:1億9585万キロワット → 1億6956万キロワット
- (ピーク需要に8%加算:発電所の故障に備えたバックアップ用の余裕度)
- 差引き : 5599万キロワット → 618万キロワット
- (全供給力から安定供給出力を引いた余剰出力)
- J−Power(電源開発)の発電出力1016万キロワット(資料:Wikipedia:電源開発)を加算し、震災で破損した東北電力の発電設備の出力120万キロワットと沖縄電力192万キロワットを引くと、日本の総発電出力のおおまかな数が出せる。(ちなみにJ-Powerという会社は、原発をもっておらず、この数値はJ-Powerの保有している揚水発電所の出力を省いている)すると、日本全体で1億7574万キロワット程度の発電出力があることになる。2010年は猛暑で節電なしで1億8135万キロワット、これが最大と見るとして、去年は平年より暑く、節電ありで1億5700万キロワット、今年は、その中間と見ておいたほうがよさそう。すると、原発がなくても電気は足りることが分かる。つまり、最大限、悲観的に見積もって2010年の猛暑と比較しても、市民が夏のピーク時の48時間、4%以上、節電をすれば、危険な原発を止められるのだ。つまり大飯原発を再稼働しなければ電力が足りなくなるというのは、データから見て妥当ではないことが分かる。またもっと言うと、去年の節電規模と比較すれば、1800万キロワット程度、余裕があり、原発を再稼働する必要は全くないことが分かる。また発電設備の故障に備える予備率として、需要の8%を加算した場合には、1億6956万キロワットとなるが、それでも、600万キロワットほど余裕があり、去年並みの節電をすれば、原発が十分止められることがデータからわかる。つまり、大飯原発を再稼働する必要はなかったわけだ。こういうウソが通用するのは、事実を伝えない記者クラブメディアがあってこそ可能になる。官僚と報道機関が癒着することで、このような事が可能になっているのである。そうやって、大飯原発は再稼働してしまったのだ。
2.大飯原発を再稼働の何が悪いのか?
- さて、そうやって再稼働してしまった大飯原発、その何が悪いのでしょうか?福島第一原発を見れば分かる通り、原発は基本的に地震に弱く、どこの国でも地震のある場所には原発は建てません。原発はメルトダウンによる放射性物質の流出が最も恐ろしいからです。日本は、世界の大地震の20%が発生すると言われている。世界で一番地震の多い地域です。その日本に原発を建てるということは、正に狂気の沙汰なのですが、今までは運良くメルトダウンしてきませんでした。しかし、福島第一原発事故によって、「運悪く」メルトダウンし、大量の放射性物質が撒き散らされました。
- しかも、この「運の悪い状況」は、当分、続きそうなのです。というのは、世界のM6以上の地震が2004年のスマトラ沖地震以降、急激に増えているからです。
- 世界のM6以上の地震の発生回数のグラフ
- 大飯原発の耐震性能は最近の日本の巨大地震に比べても低く、その上、原発の下に活断層があるという疑いがあり、それらの状況を勘案すると、とても安全とはいえないのです。しかし、それを野田首相は再稼働させてしまった。
- 原発の耐震性能と、最近の地震の揺れの強さ(ガル:この場合、揺れの加速度を示す単位)
- 福島第一原発 : 600ガル(設計基準:実際には460ガルで壊れた)
- ストレステスト : 700ガル(近年の地震に対し、あまりにも過小な基準)
- 阪神大震災 : 818ガル(1995年)
- 大飯原発 :1260ガル(3〜4号機 耐震性能)
- 新潟県中越地震 :2516ガル(2004年)
- 東日本大震災 :2933ガル(2011年)
- 岩手・宮城内陸地震:4022ガル(2008年:観測史上最高/世界最大)
- つまり、原発を壊す危険な大地震が来る状況が2004年の段階で、すでに始まっていたのです。そして、その予兆は新潟県中越地震の際の柏崎刈羽原発の火災事故にあった。しかし、この自然の警告を私たちは無視してしまい、原発を使い続け、福島第一原発事故という悲惨な事態を招いてしまった。今また、野田政権が大飯原発再稼働という誤った「決断」をし、第二の福島を生もうとしてします。もし、大飯原発がメルトダウンしてしまうと、風下の9000万人の人々が被曝する恐れがあります。
3.立ち上がる人々
- また、7月16日には17万人規模のデモが代々木公園でありました。
- 多くの良識ある市民が立ち上がり、この原発再稼働という愚行を止めようとしています。そして、7月29日、つまり明日の午後3:30から、日比谷公園でもデモがあります。第二の福島を生まないために、このデモに来れる人は来てください。
7.29脱原発 国会包囲網
- 日付 :7月29日(日)
- 時間 :集合15:30→出発16:00→国会包囲19:00〜終了予定20:00
- 集合場所 :日比谷公園中幸門集合(日比谷公会堂裏:GoogleMap:日比谷公園)
- 交通 ;山手線:有楽町駅
- 千代田線 :霞ヶ関駅(C1出口より200m)
- 日比谷線 :霞ヶ関駅(C1出口より200m)
- 丸の内線 :霞ヶ関駅(B2出口より300m)
- 都営三田線:内幸町駅(A7出口より150m)
- 持ち物 :ペンライト(ライトで国会を包囲する)
- 直射日光対策:帽子、サングラス、日傘
- 熱中症対策 :水、塩、保冷剤(銀色の保冷袋に予備を用意すると効果的)
- スモッグ対策:マスク(光化学スモッグ:喉が痛くなります)
- ブログ :http://coalitionagainstnukes.jp/?page_id=648
- ツイッター:首都圏反原発連合
- 天気 :
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