SKY NOTE

skymouseが思った事考えた事を記したもの

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蝉の声がしない...(2012.7.26)

ものすごく暑いなと思いながらも、なにか物足りないと思っていたら、母が「蝉の声がしないね」と言ったので、「そういえばそうだ...」と思った。自分のいる所は、東京、でも、それでも暑くなれば蝉の声がする。それが車や雑踏の音しかしない、夏になると鳴く、蝉の声がしない...車の通る音や雑踏の音が、とても、静かな感じがした。それを聞いて「ヤバイな...」と思った。

セミは恐らく、放射能で死んだのだろう。いずれ自分のいる東京でも放射能の影響が目で見てわかるようになると思っていたが、耳でわかることになろうとは思わなかった。つまり、東京での自分の身近な放射能の被害者第一号はセミというわけだ。自分の身近では放射能の影響は数年たって徐々に見えてくるものと思っていたが、まず最初に耳に届いたようだ。

まず、最初にセミのような小さなものから犠牲になっていき、徐々に大きなものに、その影響が移行していき、最終的には人間のような大きなものに影響が現れ出す。人間に影響が出るのもまず子供からといったところだろう。蝉の声が聞こえない事は、それを予兆するかのようで不気味だった。

「ああ、東京も放射能に汚染されてしまったんだな」と蝉の声のしない猛暑の夏の風景を見て実感した。つくづく、東電並びに政府は、とんでもないことをしでかしたと思う。セミは7年間土の中で暮らす。その7年の間、土から一度も出ること無く人間のばらまいた放射性物質によって死ぬことになるとは、不憫であると同時に怒りを覚える。動物や虫たちは、こんな酷いことをした人間に文句を言えない、文句を言えずに黙って死んでいく、何も言わずに死んでいくのだ。私は物言うことのできないものが死んでいくのを見ると、ある意味、とても腹が立つのだ。

「なんだあの連中は」と思う。権利を主張できない動物や虫達、そういうものを抹殺していく放射能の恐ろしさと同時に、明日は我が身と思う。可能な限り放射能を避けてはいるが、どこまで避けられるか分からない。自分の未来もまた、あのセミと同じかもしれないと、蝉の声のしない東京の風景を見て思った。