政府が2010年の猛暑を前提に電力の需給予測をしましたが、基本的に電力は足りるかどうかと聞かれたら、火力と水力で足りる数値ではあります。しかし、2010年のような極端に暑い夏の場合、厳しい状況になると考えられます。(2010年は節電なしで1億8000万kWが日本全体のピーク電力でした)
去年の電力各社のピーク需要を全て合わせると、1億5735万kWとなりますが、原発を省いた火力と水力の合計は、1億7544万kWですので、電力各社の発電量を融通すれば、電気は1800万kWh程度、需要に対して余裕があります。NHKで東北電力並の発電能力を持つ、J-Powerの発電出力(1034万kW)を紹介せず、地域電力会社9社のみを紹介して電力が足りないといっていたのは驚きでした。また、政府の需給見通しの発表は揚水発電を含めていないようです。原発がないと揚水が出来ないという説明が一部マスコミで行われていますが、それは違います。電力が生み出せれば、火力発電でも揚水発電は出来ます。(ただし、原発の余剰電力がない分、揚水で発電できる容量は減る)単に揚水発電をすると、割高なので、電力会社はやりたがらないだけです。(効率が70%なので、コストが1.4倍に跳ね上がってしまう)ただ、これも夏場のピーク時間帯の数時間(48時間/年:猛暑日12日間×ピーク時間帯4時間)のことですので、全体に占めるコストとしては限定的です。政府の需給見通しは、地域電力会社9社のみ(融通できない沖縄電力を除く)で10社目のJ-Powerの発電出力1034万kWを加えておらず、揚水発電も加えておらず、それに加えて2010年の猛暑を前提としているので、電力が足りないという説明なのです。そして、発電出力という絶対値を開示すると、その嘘がバレやすくなるので、最も厳しい2010年との相対値(%)にすることによって、本来の数値を隠匿し、さも、電気が足りないように情報操作しているというわけです。茶番ですな
今年の夏はエルニーニョ現象(冷夏)が起きるか?
そこで、エルニーニョ/ラニーニャ現象をベースに今年の夏の気温を読み解いていきたいと思います。エルニーニョ現象が起こると冷夏となり、ラニーニャ現象が起こると猛暑となると言われています。この現象は、交互に起きていて、その周期から、冷夏となるか猛暑となるか、大体の見当がつきます。
最近のエルニーニョ・ラニーニャ発生傾向(資料:Wikipedia:エルニーニョ)
1998年春-2000年春 ラニーニャ
2002年夏-2003年冬 エルニーニョ(2003年は記録的な冷夏だった)
2005年秋-2006年春 ラニーニャ
2006年夏-2007年春 エルニーニョ
2007年夏-2008年春 ラニーニャ
2009年夏-2010年春 エルニーニョ
2010年夏-2011年秋 ラニーニャ(2010年は記録的な猛暑だった)
2012年夏(気象庁の予測では、夏頃からエルニーニョが起きるのではないか?)
夏期の温度傾向(資料:Wikipedia:猛暑)
気象庁の2012年5月11日の最新版のエルニーニョ・ラニーニャ観測予報では、現状では、エルニーニョ、ラニーニャ双方とも観測されていないそうです。ただし、今年の夏頃にエルニーニョ現象が起こる可能性があるとのことなので、どうやら今年は、冷夏傾向のようです。
エルニーニョ監視速報(No.236) (2012.5.11発表)
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/elnino/kanshi_joho/kanshi_joho1.html
過去30年のデータでは、夏が暑くなるラニーニャ現象が2年続いたのは、1983年-1985年の1回だけで、それ以後は1年以内にラニーニャ現象は、終息しています。ということは、前回、2010年夏-2011年秋にラニーニャ現象が起きたのですから、今年は平年並みか、エルニーニョ現象が起きて冷夏となる可能性が高いと考えられるわけです。
だからといって節電をしなくていいということではないのですがつまり、この夏(2012年)は平年並みか、ラニーニャ現象のあった去年(2010〜2011年)以下になる公算が高く、気温は、平年並みか冷夏となる可能性が高いと考えられる。つまり、節電をすれば、確実に停電を防ぐことが出来る可能性が高いと言えます。どうやら天も脱原発に味方しているようです。