2012年5月6日、午後1;00頃、茨城県で家屋を破壊するほどの強い竜巻があった。第一報を見た時、日本でこれほど大きな竜巻が起こるとは...と竜巻の傷跡を見て思った。アメリカなどでよくある竜巻と同じ光景が日本にも広がっていた。
1.被害状況
NHK :竜巻 住宅全壊は259棟に(2012.5.7 19:23)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120507/k10014948041000.html
被害(全壊:259棟 半壊:241棟 一部損壊:1373棟 けが人/死者 53人/1人)
茨城県
【家屋】(全壊:172棟 半壊:209棟 一部損壊:708棟)
全壊 :170棟(つくば市)2棟(常陸大宮市)
半壊 :207棟(つくば市)1棟(常陸大宮市)1棟(桜川市)
一部損壊:450棟(つくば市)38棟(常陸大宮市)38棟(桜川市)
167棟(筑西市)15棟(常総市:これまでに分かっている範囲内)
【人的被害】
死亡 :1人(壊れた家屋の下敷き)
けが人:42人
栃木県
【家屋】(全壊:87棟 半壊:32棟 一部損壊:665棟)
全壊 :57棟(益子町)28棟(真岡市)2棟(茂木町)
半壊 :26棟(益子町)4棟(真岡市)2棟(茂木町)
一部損壊:387棟(益子町)116棟(真岡市)162棟(茂木町)
【人的被害】
けが人:11人
2.竜巻の規模
幅 :500メートル
長さ:15km
風速:70〜92m/s(F3クラスだと考えられる)
- 資料:異常気象を追う -竜巻(この記事は、きちんと書かれています)
- http://www.bioweather.net/column/essay2/aw05.htm
- 自分は竜巻については、適当に書いているので、この記事を読むことをオススメします
- 竜巻には6段階のレベルがあり、今回はF3という6段階中4段目に位置する強力なタイプ
- 藤田スケール(Fujita-scale)一部要約、日本ではマイナーなものは省いた。
級 | 名称 | 風速(m/s) | 被害の程度 |
F0 | 軽微 | 17〜32 | アンテナが曲がる。木の枝の折損。移動式家屋が動く |
F1 | 中程度 | 33〜49 | 弱い木が引き抜かれる。建物の外側の破壊 |
F2 | 強い | 50〜69 | 屋根が飛ぶ。軽い飛散物の発生。弱い構造物の破損 |
F3 | 強烈 | 70〜92 | 家の壁が倒壊。樹が倒れる。大きな飛散物の発生 |
F4 | 破壊的 | 93〜116 | 建物の倒壊。大きな飛散物の発生。1部の樹木が裂ける |
F5 | 予想外 | 117〜142 | 強い建造物の倒壊。全部の樹木が裂ける。高速飛散物の発生 |
3.竜巻について
現象(見た目)
- 2012年5月6日 竜巻【茨城県つくば市】
- 竜巻は、積乱雲の下で起こる。黒い雲(積乱雲)が出来たと思うと、そこから、まるでなにか大きなものが手を伸ばしてくるように、するすると渦が降りてきて、地上に竜巻を起こす。(この動画のコメントによると、突然、雷と同時に雹(ヒョウ)が降り出し、それがすぐやみ、そのあと竜巻を見つけたとのこと)
特徴(どういうものか?)
- 2012.5.6つくば竜巻1
- 中心部は非常に低い気圧で、ものすごい風の渦(80%が反時計回り:北半球の場合)となっている。強烈な上昇気流が生じ、周囲の物を巻き上げる。移動速度は、不確定だが、ものによっては時速100kmになるものがあったという。竜巻の進行方向は、親雲の移動方向に左右される部分が大きく、北半球では北〜北東〜東、南半球では南〜南東〜東の方向に移動する傾向がある。ただし、台風とは異なり、大きく蛇行したり、規則性のない進路をとる竜巻も多い。(引用:Wikipedia 竜巻)個々の竜巻は比較的、短期間の内に終わるとのことだが、幾つもの竜巻が複数発生することもある。
破壊力
- 【竜巻】つくば市の竜巻被害
その1:風圧
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- 建造物が風にさらされ、風圧に建造物の強度が耐えられない場合(瓦屋なんかが飛ぶ)
その2:気圧差
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- 竜巻の中心部の圧力降下により建造物の外圧が降下し、内外の気圧差に建造物の強度が耐えられない場合(周囲の気圧が下がり、内部が膨らんでガラスなどが割れる)
その3:飛翔物の衝突による破壊
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- 強風によって飛ばされたり転がったりしたものが衝突して破壊する場合
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- 猛烈な風は、窓ガラスを割り、板やコンクリートなどの建材を崩し、木の枝を折った上、これらを猛スピードで飛散させる。また、勢力の強い竜巻は、大木を根元から吹き飛ばし、数百kg以上の車や構造物をひっくり返したりすることもある。これらの飛散物が、屋外のあらゆる物体や人に衝突して被害を発生させる。
発生原因(なぜできるのか?)
- 発生するのは大気の上層と下層の温度差が大きな時、5月6日の茨城県上空は−19.7℃であったのに対し、地上は21.2℃と、その差、40.9度もの温度差が生じていたため、強い上昇気流が生じて、高度10km以上にまで伸びた積乱雲(視覚的には真っ黒な雲)が複数発生していたものとみられる。また、上空と地上での風向きが違う場合にも竜巻が起こりやすいそうだ。あと、雹(ヒョウ)が降る時にも、竜巻は起きやすいという。分厚い積乱雲からできるので、それを下から見るととても黒い雲に見える。
- 毎日新聞:竜巻:積乱雲発達が誘発 地上と空、気温差40度(2012.5.7)
- http://mainichi.jp/select/news/20120507k0000e040120000c.html
4.避難方法
資料:Wikipedia:竜巻(避難と被害防止)
前兆の把握(参考:NHK:竜巻注意情報 的中の割合低い)
- 竜巻やダウンバーストなどの突風は、発達した積乱雲の下で発生します。このため...
- 1.黒い雲が見えてあたりが急に暗くなる。(分厚い積乱雲が上空にある)
- 2.稲光、雷音など、積乱雲の接近の兆候(積乱雲)
- 3.急に冷たい風が吹く(上空の冷たい空気が降りてくる:ダウンバースト)
- 4.大粒の雨やひょうが降り出す。
・ひょう :上空の空気が冷たいので、氷ができる。
・大粒の雨:氷が地上付近で溶けて大粒の雨
“渦が急に大きくなった”(引用:NHK:気象庁 竜巻被害15キロに及ぶ)
茨城県つくば市北条の飯田武夫さんは、6日午後1時前、自宅の2階の窓から竜巻を目撃してビデオカメラで撮影しました。飯田さんは「家の前の道路で車の手入れをしていたら空が急に暗くなった。自宅の2階に上がって外を見てみると、遠くに黒っぽいすじ雲のようなものが見えた。だんだん大きくなってきたのでビデオカメラの撮影を始めた。それから1、2分後に筑波中央病院のあたりで渦の大きさが急に大きくなり、ゴーッというとても大きな音が聞こえた。自分のほうにやってくるのかと思い身構えたが、西側にそれて土ぼこりを巻き上げながら商店街のほうを移動していった。撮影しているときは夢中だったが被害が大きくて驚いている」と話していました。
屋内の場合...
- 開いている窓は閉めてカーテンを閉め、窓から離れ、シャッターやドアを閉めるなどした上で、建物の地下や1階に移動し、壊れやすい部屋の隅から離れてできるだけ家の中心に近いところで、机などの下に身を潜めて頭を保護するのが適切な避難方法である。
屋外の場合...
- 周りの飛散物に注意し、壊れて飛散しやすい車庫・物置やプレハブの建物、橋の周囲は避け、鉄筋コンクリート等の頑丈な建物の中に避難するか、体が収まるような水路やくぼみに隠れて頭を保護するのが適切な避難方法である。風の影響を受けにくく窓がないことから、地下室が最も安全な避難場所とされている。
まとめ
- 竜巻は、大気の温度差によって生じる。前線の下など大気の不安定な場所に生じ、積乱雲の下で発生する。(雷光/雷鳴)発生の予測は難しく、予測は出来ない。ただし、前兆現象として、あたりが暗くなるとか、冷たい風、ひょうや大粒の雨が降ってくるときには注意が必要との事。その際には、カーテンを閉め、窓から離れて、家の真ん中の机の下などに避難し頭を保護するとの事。できれば、地下室があれば、そこがベスト。外出時には、飛翔物に注意し、壊れたり飛び散りやすいもの(車庫・物置、プレハブの建物、橋の周囲)の近くは避け、鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物の中に入るか、身体が収まるような水路やくぼみに隠れるとの事。(竜巻を避けられるのならばそれに越したことはない)